檀一雄 No.1◇小説 太宰治◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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無頼派最高の作家と一緒に駆け巡った酒と女と文学の青春の日々!

 
 
 
◇小説 太宰治◇
檀一雄
 
 
作家・檀一雄は太宰治の自死を分析して、「彼の文芸の抽象的な完遂の為であると思った。文芸の壮図の成就である」と冒頭から述懐している。「太宰の完遂しなければならない文芸が、太宰の身を喰うたのである」とまで踏み込んでいる。 
昭和八(1933)年に太宰治と出会ったときに「天才」と直感し、それを宣言までしてしまった作家・檀一雄。天才・太宰を描きながら、同時に自らをも徹底的に描いた狂躁的青春の回想録。作家同士ならではの視線で、太宰治という天才作家の本質を赤裸々に描いた珠玉の一編である。
 
 
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異能【夜叉白雪】によってポートマフィアに囚われた太宰さんは芥川に殴られた後、「……そろそろ」彼が来ることを予感します。その「彼」とはかつての相棒兼犬猿の仲、中原中也。2人は顔を合わせれば罵り合い、太宰さんは中也をおちょくりながら、中也は言い返してはまた太宰さんのおちょくりを助長させてしまう……という掛け合いが生まれます。でも2人ともお互いの力と才能を認め合っています。
 
 
 
 
その設定はもちろん、史実を踏まえてでの設定だと思われます。最後の無頼派作家と呼ばれる料理の達人作家←檀一雄は有名な「青鯖が空に浮かんだような顔」「モ、モ、ノ、ハ、ナ(泣)」事件が起こった時、中也と太宰の関係をこう表しています。
 
 
簡単に云ってしまえば、中原を尊敬しなければいけないように自分で思い込みながら、実は中原を嫌っていた。それは、太宰の自惚れと、虚栄心が脅かされるからだ。太宰はつきあい上の悪友は決してこばななかった。しかし、あの凄絶な中原の酒席の搦みは耐えられなかったに違いない。
 
 
コミックを読み進めると、特に15歳編を読むとよく分かるのですが、中也と太宰さんって性格はもちろんのこと、本質的にも真反対なんですよね。出生は不明点が多いけれど人間的な中也と、おそらく出自ははっきりしているが非人間的な一面を持つ太宰さん……2人の関係性はお互いのアイデンティティを脅かしては否定しかねないところでわかり合ってはいけないと太宰さんの方で線引きしているのかも知れませんね。
 
 
本書は中也をはじめ、沢山の当時の文豪たちがたくさん登場します。しかし「文豪ストレイドッグス」にはほとんど登場してこないのでこの計画で語れるのはこれだけです。悲しい← なので此処からは作家の檀一雄と本書のことを「文豪とアルケミスト」と「文豪ストレイドッグス」を添えて語っていこうと思います。
 
 
檀一雄(1912〜1976)は小説家で料理も得意で最後の無頼派と呼ばれています。無頼派は「文スト」と「文アル」のお陰でまた脚光を浴びた感有りますが、それでも檀一雄ことだんだん先生←はバー「ルパン」にいなかったせいか除け者感が……それでも両者によって無頼派沼に落ちたファンはだんだん先生を待ち続け、去年やっと実装。アニメではだざー先生のヒーローみたいにかっこよかったです。本書で有名になった、中也先生を丸太でぶっ飛ばす事件や「走れメロス」の元ネタ!? 熱海に置き去り「あんまりじゃないか」事件も描かれ、「文アル」のゲーム内での会話でも回想されます。というか丸太って殺る気満々じゃん←
また「君は天才だ!」も最初で登場。この人無しに「天才、太宰治」はいなかったんじゃないかと思います。
そう考えると「文スト」で登場するなら太宰さんの才能を見抜いた→ポートマフィア加入のきっかけになる人として描かれるのでしょうか。そうなるとだんだん先生、ここでは爺さんになる、とか? もしかしてもう故人とか??
 
 
……もうこの人、太宰治が好きで堪らなかったんだなぁ。と思います。前書きの文章が太宰治の全てを賛辞していて逆に素晴らしい。破天荒でめちゃくちゃ振り回すし、道化めいていてどこに本心があるか分からない男で だけどものすごく哀しくて惹かれずにはいられないというか……太宰治はめちゃくちゃですが、ーーーよく友達がやれたものだーーー檀一雄も負けず劣らずめちゃくちゃなのでどっちもどっちだった。僅かな時間ではあったけれど確かに笑い語り合ったあの日々はだんだん先生にとってとても大事なものでこんな小説まで書いたのですね。
 
 
小説でその人を書くことはその人を永遠永久に覚え、守ることにつながる。「文アル」を見るとだんだん先生は確かに無頼派だけど無頼派3人組の隣では無く、前や背後から襲ってくる敵や嫌なものから守る為にわざと後ろにいて丸太を常に構えているようなイメージ……だんだん先生は根っから観察者で3人の永遠の肯定者なのかも知れません。
 
 
「小説 太宰治」でした(・∀・)/
殺人現場から容疑者が消えた!?(*^o^*)/