アーサー・C・クラーク No.16◇10の世界の物語◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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宇宙で地球で惑星で! 数多の人間ドラマ!

 
 
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◇10の世界の物語◇ -Tales of Ten Worlds-
アーサー・C・クラーク 中桐雅夫・他 訳
 
 
通信衛星の恐るべき悪用の可能性を諷刺性豊かに描いた「思いおこすバビロン」、小惑星イカルス着陸に成功したものの、母船に帰還するときに致命的な事故に見舞われた宇宙飛行士の物語「イカルスの夏」、宇宙時代の悲劇的な事件をドラマチックに語る「憎悪」、200万年に一度現れる巨大彗星の調査のために派遣された宇宙船チャレンジャー号の驚くべき冒険を描く「彗星の中へ」など、イギリスSF界の重鎮クラークが、あるときは感動と詩情をこめて、あるときは諷刺と警告を含めて、遙かな未来無窮の宇宙に生きる人類の運命を格調高く描きあげた傑作中短篇15篇をここに収録!
 
 
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1.思いおこすバビロン
  (I Remember Babylon)
  ……ぼくことアーサー・C・クラークは通信衛星という当時には画期的なアイデアを持っていた。そんなある時ぼくはハートファッドという男に合会うが、彼は通信衛星を使って……
 
 
2.イカルスの夏
  (Summertimes on Icarus)
  ……シェラードは宇宙で事故って宇宙船は壊れ、太陽の物凄く近くーーーイカルスまで接近してしまった。
 
 
3.ゆりかごから
  (Out of the Cradle, Endlessly Orbiting…)
  ……人類が真に宇宙を征服した瞬間とは?
 
 
4.幽霊宇宙服
  (Who's There?)
  ……「90億の神の御名」参照。
 
 
5.憎悪
  (Hate)
  ……海の中でロシアの難破船が見つかった。ブダペストの出身でロシアを憎む潜水夫ティボルは船を引き揚げるロープに細工し、船員を死に追いやるが……
 
 
6.彗星の中へ
  (Into the Comet)
  ……彗星調査宇宙船チャレンジャー号のコンピュータが壊れた。このままでは軌道の計算ができず、遭難と死を免れない。日系人タケオはある案を思いつく!
 
 
7.我が家の猿
  (An Ape about the House)
 ……ドーカスという名前の、チンパンジーから遺伝改変からできたパン・サピエンスを家政婦として置くことにしたわたしは美術学校で学んだ知識を活かしてドーカスに絵を教えることにしたが……
 
 
8.土星は昇る
  (Saturn Rising)
  ……土星から帰還した話題の人であるぼくは土星に惹かれるホテルオーナー、パールマン氏と出会った。パールマン氏は土星の衛星の1つにホテルを建設したがっていた。
 
 
9.光あれ
  (Let There Be Light)
  ……光線が凶器になりえる殺人光線は実在する? 今日の白鹿亭もパーヴィズの話で盛り上がる。
 
 
10.死と上院議員
  (Death and the Senator)
  ……余命半年を宣言された元大統領のスチールマン上院議員。打って変わって孫たちと接するようになった彼の前にハークネス博士が現れる。博士はかつてソ連がやったように宇宙空間で人を治療しようとスチールマンをその試作員に選ぶが……
 
 
11.時とのもめごと
  (Trouble with Time)
  ……火星の犯罪は少ないが、全くないわけではない。事実シレーンの女神像が盗まれそうになったことがある。盗難を回避できたのはひとえに日付変更線のおかげ。
 
 
12.エデンの園のまえで
  (Before Eden)
  ……金星にも命があることを発見したハッチンス、ガーフィールド、ジェリー。ところが、彼らが帰った瞬間から金星の生き物たちの命は滅亡に向かった!?
 
 
13.軽い日射病
  (A Slight Case of Sunstroke)
  ……ペリヴィアという国ではフットボールは足で行われる。ペリヴィア・パナグラ戦で不正ばっかりの主審が焦げ跡だけを残して消えた!?
 
 
14.ドッグ・スター 
  (Dog Star)
  ……わたしはかつてライカという犬を飼っていた。仕事で宇宙に行くため手放したが、そこで初めてライカの存在の重さを思い知り……
 
 
15.海にいたる道
  (The Road to the Sea)
  ……5000年前。地球を抜け出し、宇宙に進出した人類と地球に残った人類。そして5000年後、地球に残った人類の子孫の1人、ブラントは廃都になったシャスターで宇宙に進出した人間たちの子孫と再会するーーー
 
 
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「10の世界の物語」です(・∀・)
 
 
宇宙を主軸に、様々な世界の物語です。
全15編なので「なんで"10の世界"?」と思いましたが、これは色の世界という意味なんでしょうか。
 
 
いつも思うことですが、クラークのSFは確かに宇宙と科学のSFですが、人間ドラマに富んでいるものが多いです。
2、5、7、8、10、14、15はその類に括られる作品で、5はロシアに対する憎悪が却って我が身を滅ぼす悲劇です。
7は死を直前に迫った上院議員の究極の選択。映画にもなりそうな優しい感動があります。
9は「白鹿亭綺譚」。テームズ川に本当にあるのかもしれません。科学好きだけが入れるし、存在を認識できるんです。きっと。
14は犬ライカに対する思い出と後悔の話。ライカというとロケットに初めて乗ったというあのライカを思い出します。そのライカとはまた別です。
15は「地球幼年期の終わり」のバリエーションのようなお話。いや「遥かなる地球の歌」の暗い邂逅か?
 
 
1はまさかのアーサー・C・クラーク登場! この話、まさかの実話か!? 解説がないので詳しいことは分かりませんが、ほかの短編集に詳しいことが書いてあったらアップします!
 
 
科学と宇宙だけでなく、そこで生きる人間たちの心や感情を書き出して根本的な思想を問うところがクラークSFの魅力ですね。15を読むと特にそう思います。
 
 
「10の世界の物語」でした(・∀・)/
次は久しぶりのエラリー、ノン・シリーズ(*^o^*)/~!