F・W・クロフツ No.12◇二つの密室◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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三角関係は密室の中で遺体と血に塗れる! フレンチ警部、密室の謎に挑む!

 
 
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◇二つの密室◇ -Sudden Death-
F・W・クロフツ 宇野利泰 訳
 
 
平和な家庭には陰があった。病弱な妻、愛人のいる夫、典型的な三角関係から醸し出される無気味な雰囲気には不吉な前兆であった。若い家政婦アンの目を通して語られる事件の進行。アリバイ・トリックの巨匠クロフツが、今度は趣向を変えて案出した密室トリック。一つは心理的、もう一つは物理的なトリックで、この二つが有機的に関連する殺人事件に、わがフレンチ警部が挑戦する!
 
 
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お金が心もとないアン・デイは長年の求職の果てに家政婦の仕事をゲットした。給料も良い、一緒に働く使用人達とも仲良くなった。
 
 
だけど雇い主のグリンズミード夫妻間の空気がどうもおかしい。どうも2人は上手くいっていないらしい。やがてアンはグリンズミード氏に愛人がいることに気がつく。夫人はそこから重度の被害妄想を抱くようになったのだ。アンは夫人とも信頼関係を築くようになったが、夫人はガス自殺を遂げてしまった!
 
 
自殺と断定されたが、どうしても自殺とは思えない。フレンチ警部が派遣されるも彼もやっぱり自殺と断定する。ーーーが、夫人の指紋スケッチを見た瞬間、これが殺人であることに気が付いた!
 
 
フレンチ警部は地道な調査の末、グリンズミード氏と愛人ホルトランシング夫人の犯行と見るが、今度はグリンズミード氏が自殺を遂げた!
 
 
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「二つの密室」です(・∀・)
 
 
フレンチ警部シリーズ史上初密室ものです! 今までは海だー、鉄道だー、しか出てこなかったのに舞台すら海のうの文字1つ出てきません。事件は密室が要というところで本作はかなり異色です。
 
 
しかも序盤はほとんどアン・デイのターンです。彼女が感じた不和から疑惑、確信。第三者の主観から事件の舞台道具が語られる訳です。
今までは地元の警察やフレンチ警部の聞き込みの下、事件の概要やその場所、関係者が語られたので今まで客観的に見られたのが、今回は語り手1人に限定されたおかげで読者が知る範囲は限られています。語り手に思うところがあると超有名なあの作品になります。
 
 
女性を語り手にしたり、アンが他の使用人や夫人と話すところは現実味があって、初期の方には見られなかった箇所だと思います。今まで文章オンリーだったし。でもクリスティーやアン・ペリーには負けていますが← おしゃべりシーンの描写は女性作家の方が断然優れています。
 
 
密室トリックは「もしかしてこうかなー」と思ったら概ね正解でした。単純で呆気ないぐらいだけどまぁ、実際やってみようと思ったらこれしかできないと思うんだ。
 
 
今回は犯人の結末も今までとは違います。フレンチ警部では初めてのパターンです。重要証拠の入手に遅れを取ったこともあり、フレンチ警部には苦虫を噛み潰したような結果になりましたが、事件関係者の再会が救いでした。
 
 
「二つの密室」でした(・∀・)/
次は「文豪ストレイドッグス制覇計画」、6巻編突入(*^o^*)/~