花布(はなぎれ)編み | ryoko’s 手製本ジャーナル

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2019/11- 西宮

3月になりましたね桃

まだまだ気温は低いですが、

昨日の息子の卒業式では日差しのある屋外の方が体育館より暖かく、ポカポカ陽気に春を感じました。

 

さて今日は製本の国際コンクール向けの作品についてのお話です。

以前に、
「フランスで行われる製本コンクールに出品します。」と書きましたね。少しずつではありますが、進めています。だんだん5月の締め切りが近づき焦ってきました。

今は表紙のボール紙を綴じつける工程まで進んでいますが、その前の「花布を編む」工程についてご紹介。(工程の順番については先生によって違いがあります。)

これは工芸製本ならではの作業で、私は大好き。ご覧になるのも珍しいでしょうから、是非紹介したかったところです。

まず花布とは
本の天の端、背の端にあたる部分についている、これ⬇


これは市販本ですが、
ハードカバーの場合、布製の花布が貼り付けられていますね。文庫本や、絵本などの薄いハードカバー本は普通、何もついていないです。

総革装の綴じ付け製本(パッセカルトン)では通常、絹糸を用いて手で編みます。他に、革で作った花布を貼り付けたり、縫い付けたりする方法もあります。



これは4年前のコンクール作品の画像です。先生のアトリエです。

本を花布プレスに挟み、作業します。


編み始め。


編み終わり。


“バトネ”とよばれる紙製の細い棒(綿棒に似ています)を芯にして糸を巻つけ編んでいき、途中で糸を針に通し、所々本に刺して固定しながら形作っていきます。

イメージできますでしょうか?

 

手編みの花布は、

もちろん装飾の意味もありますが、こういった作り方をすることで、「折り丁がバラバラにならないための補強」「指をかけて本を取り出しても本を傷めない」という機能的な役目も果たします。

 

貼り付けただけの花布では取れてしまいますからね。

通常バトネは、太、細の2本を使いますが、⬆この様に太い1本だけもありです。この場合は糸も太目を使用しました。作品のイメージに合わせます。


今回の試作ではバトネを2本使用。

フランス製のバトネは入手しにくく高いため、試作には水引を使っているんですよ。他の国の人に教えてあげたい。

これ⬆は、実際の本に編み付けているのではなく、古電話帳を利用して作ったダミー本です。製本の先生が作ってくださいました。これまで何度使ったことか。

クラシカルな花布はシンメトリーが多いですが、今回はアシンメトリーにしています。

バランスが難しく、糸一本分でも感じが変わるので、試作しながら糸を巻く回数を決めていきます。どうすべきかは直感で決めますが。


これは先に作ったシンメトリーバージョン。

こんな風に作っては切り取り、今後の参考に保管しておけます。製本材料の引き出しにはこんな花布虫がぞろぞろ。


糸の色数に制限はないですが、今回は3色の絹手縫い糸を使用。細かい作業なのでルーペ(ドイツ製)も欠かせません。

質の高い工芸製本は花布だけでも惚れ惚れする美しさがあり、興味深いものです。そんな機会があれば是非注目してくださいね。

<関連する投稿>
2016.11.10 こんなこともしています。

 

おはなおはなおはなおはなおはなおはなおはなおはなおはなおはなおはなおはな

今後のレッスン予定

 

◆3月17日(金)◆

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「着物地で作る御朱印帳」

 

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