パンク侍の切っ先
町田康
「告白」
冒頭、主人公の熊太郎が幼少時、「自分は他人より独楽が巧く回せない」ということに気が付き、「家族は上手上手いうけど、まともに聞いたらあかんねんな」と考えます。
そして、世間への接し方に関しては「まともに聞かへんほうがかっこいい」というスタイルを作ってしまい、結果当然正業につけるはずもなく、チンピラ人生を歩むようになります。
そこに生来の思弁癖が合わさります。
自分のことを考え、他の人のことを考え、今起こっていることを考え、今後起こるかもしないことを延々と考えつづけます。
この2点だけで熊太郎はずいぶんと生きにくそうです。
思弁癖については、まわりは何も考えずに動くのに、熊太郎だけあーでもないこーでもないことをえんえんと考えて気疲れする上、周りにはその苦悩をまるで理解されません。
それと職をもたないチンピラとしていることで、色々と不測の事態が起こり、しだいに歯車が狂ってきます。
どーもまともに他人のやっていることを同じようにやる気がしない、という種が、自分自身の考えすぎ・思弁的傾向を、他人に理解されないという土壌に植えられ、芽を出してきた奇妙な植物のようです。
単純なボタンのかけ違い的な思考思弁の偏りが、こうもおかしくなっていくのか、というところをいつもの饒舌で丁寧な筆致で書かれてあり、圧巻です。
社会に適合できにくい性質を、そのまま不条理として書くのではなく、情感溢れながらも分析的に書けるのはさすがパンク道を長い間歩いてきただけあります。
まるで若者の無軌道な衝動に任せて刀を振るっていたのが、年を得て無軌道な衝動を洗練された剣技
にまで昇華したような印象をもちます。
上手いだけの作家や狂気だけの作家は多くいますが、狂気を持ったまま上手く書ける作家そうはいません。
今までの町田康は、狂気を秘めながら饒舌に日常を丁寧に書いてきましたが、いよいよその狂気そのものも書きはじめました。
次作がとても楽しみになりました。
目次 日本ノンフィクション
目次 日本ノンフィクション
作家・・・書名・・・ブログタイトル
ア行
赤瀬川原平
『 新解さんのなぞ』 / 『日本美術応援団』 / 『悩ましき買い物』
『赤瀬川原平の日本美術探検隊 其の1 』
芥川喜好
『「名画再読」美術館』
荒俣宏
『知識人99人の死に方』 / 『文明移動説』
池澤夏樹
『パレオマニア』
いとうせいこう
『 岩だらけの懐かしい星』
『職人ワザ!』
稲本正
『 森の博物館』
内田百閒
『 第一阿房列車』
大森望 豊崎由美
『 文学賞メッタ斬り』
カ行
賀曽利隆
『日本一周バイク旅4万キロ』
孔健
『 日本人は永遠に中国人を理解できない』
小林紀晴
『 ASIAN JAPANESE』
『 写真学生』
小林照幸
『 毒蛇』
『死の貝』
『フィラリア』
『床山と横綱 -支度部屋での大相撲50年-』
『僕が、落語を変える。』
サ行
sight
『日本一怖い!ブック・オブ・ザ・イヤー2005』
さくらももこ
『もものかんづめ』
椎名誠
『わしらは怪しい探検隊』
『でか足国探検記』
篠田香子
『世界で探す私の仕事』
澁澤龍彦
『私のプリニウス』
週刊日本の伝説を旅する
『週刊日本の伝説を旅する』
白川静 / 梅原猛
『 呪の思想』
杉浦日向子
『 大江戸美味草紙』
妹尾河童
『 河童が覗いたヨーロッパ』
タ行
タレコミW杯サポティスタ編
『タレコミW杯サポティスタ編』
谷沢永一
『人間通』
つり人社出版部
『釣り人の「マジで死ぬかと思った」体験談』
ナ行
長嶋俊介、斎藤潤、仲田成徳、河田真智子
『 島 日本編』
中島らも
『せんべろ探偵団』
中丸明
『スペインひるね暮らし』
西丸震哉
『山歩き山暮らし』
日本エッセイスト・クラブ編
『耳ぶくろ』『午後おそい客』など
野田知佑
『カワムツの朝、テナガエビの夜』
『魚眼漫遊大雑記』 / 『日本の川を旅する』 /
『北極海へ』 / 『ともに彷徨いてあり』
野村進
『コリアン世界の旅』 / 『事件記者になってみた』 /
『脳を知りたい』
ハ行
パキラハウス
『おしゃべり用心理ゲーム』
『日本作法マニュアル』
『1DK棲息者の自己分析』
畠山重篤
『日本<汽水>紀行』
星野道夫
『旅をする木』 / 『長い旅の途上』
マ行
松坂實
『 ナマズ博士放浪記』
松田哲夫
『編集狂時代』
水木 楊
『 メキシコ灼熱』
宮崎学
『 叛乱者グラフティ』 / 『突破者』 /
『神に祈らず-大杉栄はなぜ殺されたのか』 / 『血族』
『幇という生き方-[中国マフィア]日本人首領の手記-』
南日本新聞
『日本のゴーギャン 田中一村伝』
村上春樹
『Portrait in Jazz』
ヤ行
ラ行
梁石日
『タクシードライバー日誌』
ワ行
渡辺一枝
『私と同じ黒い目の人-チベット旅の絵本-』
目次 海外
作家・・・書名・・・ブログタイトル
ア行
ランス・アームストロング
『ただマイヨ・ジョーヌのためでなく』
シャーウッド・アンダスン
『アンダスン短編集』 / 『ワインズバーグ・オハイオ』
イシグロ・カズオ
『日の名残り』
ジョージ・オーウェル
『パリ・ロンドン放浪記』
ポール・オースター
『 ムーンパレス』 / 『偶然の音楽』 / 『リバイアサン』
マイケル・オンダーチェ
『 イギリス人の患者(イングリッシュ・ペイシェント)』 /
『アニルの亡霊』 / 『バディ・ボールデンをおぼえているか』 /
『家族を駆け抜けて』
カ行
スティーヴン・キング
『 刑務所のリタ・ヘイワース』
サ行
パトリック・ジュースキント
『香水』
タ行
レフ・ニコライビッチ・トルストイ
『アンナ・カレーニナ』
ジョン・ダニング
『死の蔵書』
ナ行
ハ行
アラン・ピーズ
『 話を聞かない男、地図が読めない女』
チャールズ・ブコウスキー
『 町で一番の美女』
ニック・ホーンビィ
『僕のプレミア・ライフ』 / 『ハイ・フィディリティ』 /
『アバウトアボーイ』
ロバート・ホワイティング
『東京アンダーワールド』
マ行
ヤ行
バリー・ユアグロー
『一人の男が飛行機から飛び降りる』
ラ行
マイケル・ライト
『 FULL MOON』
ヒート・ムーン,ウィリアム・リースト
『ブルー・ハイウェイ-内なるアメリカへの旅-』
目次 日本フィクション
作者・・・『作品名』・・・ブログタイトル
日本フィクション
ア行
岩井志麻子 ・・・
『ぼっけえ、きょうてえ』・・・
奥田英朗・・・
『空中ブランコ』・・・
カ行
梶井基次郎 ・・・
『檸檬』・・・
片山恭一
『世界の中心で、愛をさけぶ』
金城一紀 ・・・
『レヴォリューション No.3』 / 『GO』・・・
『FLY,DADDY,FLY』 / 『対話編』・・・
金原ひとみ
『蛇にピアス』
川上弘美・・・
『光ってみえるもの、あれは』・・・
『センセイの鞄』
サ行
さだまさし・・・
『解夏』・・・
佐藤亜紀・・・
『バルタザールの遍歴』・・・
『モンティニーの狼男爵』・・・
山頭火/大山澄太編・・・
『山頭火著作集 あの山越えて』・・・
タ行
田口ランディ・・・
『コンセント』 / 『アンテナ』 / 『モザイク』・・・
壇一雄・・・
『火宅の人』・・・
『火宅の人』
ナ行
長嶋有・・・
『猛スピードで母は』・・・
中島らも・・・
『今夜、すべてのバーで』・・・
新田次郎・・・
『アラスカ物語』 / 『孤高の人』・・・
野坂昭如・・・
『火垂るの墓』・・・
ハ行
古井由吉・・・
『山に彷徨う心』・・・
マ行
舞城王太郎・・・
『山ん中の獅見朋成雄』・・・
『阿修羅ガール』
『みんな元気。「Cuckoos & The Invisible Devile」』
『煙か土か食い物 「Smoke, Soil or Sacrifices」』・・・
『好き好き大好き超愛してる「love love love you I love you」』
町田康
『告白』
『パンク侍、斬られて候』
三浦綾子・・・
『塩狩峠』・・・
三島由紀夫・・・
『金閣寺』・・・
『潮騒』・・・
水村美苗・・・
『本格小説』・・・
宮城谷昌光、田中芳樹 他
『異色中国短編傑作大全』
村上春樹・・・
『国境の南、太陽の西』・・・
『アフターダーク』・・・
ヤ行
山崎豊子・・・
『ぼんち』・・・
山本周五郎・・・
『赤ひげ診療譚』・・・
『青べか物語』・・・
『さぶ』 / 『樅の木は残った』 / 『栄華物語』・・・
横山秀夫・・・
『半落ち』・・・
Yoshi
『Deep Love』
吉田修一・・・
『長崎乱楽坂』 / 『ランドマーク』・・・
吉村萬壱
『ハリガネムシ』
ラ行
ワ行
綿矢りさ
『蹴りたい背中』
できるだけ普通の家族
地球家族
確かに世界は広い。
しかしだからといって
「家の中ものを全部家の前に出して写真を撮らしてください」
というお願いを30カ国30家族にしてみるという発案を誰が出して誰がやりきろうとしたのでしょうか。
この本は1992-4年の世界30カ国で平均的家族の持ち物と暮らしレポートです。
国連と国際銀行の後援を得ています。
当然、日本にもやってきています。
ウキタさんです。
想像できるようなものが並んでいますが、その前後の騒動(取材の話がくる、家族で話を受けるか検討、受ける、掃除、近所への説明、日本語のしゃべれない外人がくる、1週間その外人がついて周る、食事や買い物や通勤や飲み会につれて回る、荷物の運搬、撮影、荷物の運搬、お別れ、近所への説明、本発刊、説明)を、世界中でやろう、と思うだけ、タフ、だなと思います。
だって撮影のほかにも、お祭りなのに通りを封鎖する手はず(ドイツ)やクレーンのパレット上に全部荷物を載せる手配(イスラエル)をするんですよ。
逆に読む側にとっては、それだけのタフさの成果をみることができるわけです。
グアテマラの家族の目が忘れられません。
近くで最近盗賊ががでるので、17時には仕事をやめてほしい、といって撮影時の緊張と不安と親切の入り混じった顔。
クウェートの果てしない豊かさ
アイスランドの国土の美しさ
イタリアの人生の楽しみ方
ボスニアの引退した神経医の生死におびえながら食料を探さなくてはいけない都市戦争生活
ロシアの1週間前に父が殺された一家の行方
この本にあるのは、ただ住む場所の違いだけでなく、人生のそれぞれの場面が写っています。
そしてページをめくっていくうちに、これだけの労力をかける意味が、なんとなく分かってきます。
このそれぞれの労力が、それぞれの世界の違いのせいだなと。
うーん。
- 地球家族―世界30か国のふつうの暮らし/マテリアルワールドプロジェクト
- ¥1,988
- Amazon.co.jp
森に実る牡蠣
日本<汽水>紀行
畠山重篤
「森は海の恋人」という、言葉を知っていますか。
豊かな海をもたらすのは、川の上流にある森に秘密があるのだそうです。
生物の栄養分として必要な鉄分が、森によって吸収されやすい形になり(光合成により鉄分がプランクトンい吸収されやすいフラボ酸となる)、川によって海に供給され、多くの生物が育まれる海ができます。
そのため、川が海に注ぎ込む汽水域は、とてもよい漁場なのです。
そこで作者が簡単なメッセージとして「森は海の恋人」と言い始めました。
作者は宮城県の気仙沼で牡蠣の養殖をやっていて、海と川とが出合う汽水域を仕事場にしている方です。
北は青森県陸奥湾から南は鹿児島県屋久島まで、果ては中国の揚子江まで、全国各地の汽水域と森を周って、森と海の関係について講演しては、うまいものを楽しんでいます。
森と魚の関係は「魚付き林」と言う言葉があるように、昔から言い伝えられてきたりしていましたが、そのサイエンスが解明され、本格的に漁民が植樹をするようになってきたのは最近です。
驚きは東京湾が非常に漁獲量の多い漁場なこと。
これは隅田川や荒川など多くの川が注ぎ込み、非常に栄養が豊かな海だからだそうです。
江戸前、というのは本当に良い漁場だったのですね。
やっぱり、知識が現場で結びついているところは、なにかしら興味深く驚きがあります。
そしてなぜか昭和天皇に逢っていたり、崖の新しい工法を試したり、和船に興味を持つ外人居候の面倒をみたり、と思いもよらないことが次々と起こります。
現場と知識。
興味がつきません。
来た球を打つ、って
赤瀬川原平の日本美術探検隊 其の1
赤瀬川原平
たとえば浴衣や着物とかTシャツに和柄が増えているとか、ここしばらく日本熱が続いています。
私もごたぶんにもれずなんだか日本美術に引かれている人間の一人です。
その火付け人は、柳宗悦と、この赤瀬川原平です。
柳宗悦についても赤瀬川原平についても依然書いていますが、柳の民藝への熱と、赤瀬川の力を抜いた美術の楽しみ方を教わって、 楽しみのジャンルが少し増えました。
んじゃ、もう少しつっこんだものを見てみようか、というつもりで読んだのが「赤瀬川原平の日本美術探検隊 其の1」です。
50程の、茶碗、仏像、屏風、掛け軸、壁画が集められ、赤瀬川が感想を書き、いつもの山下裕二が解説を書く、「日本美術応援団」のパターンです。
がしかし。、「日本美術応援団」ではちゃんと現物を見ていたのでその迫力も伝わってきたし、初めてなので驚きも面白かったのですが、この「赤瀬川原平の日本美術探検隊 其の1」では、本人も書いているように「来た球を打つ」と言った感じで、まさにこなしているだけのように感じられる個所がいくつもあります。現物も見ていないようだし。
ものを見て想起されることをつらつら書いてしまう、赤瀬川の悪いパターンにはまってしまっています。
山下裕二の短めの切れ味のいい解説は、なかなか読ませるのですが。
入門書にしては少々わずらわしい気がしますし、編集者のコンセプトありきなところが見え隠れします。
これからシリーズ化していくみたいですし、大きい本で写真が見やすくていいのですが、誰か赤瀬川を驚かせて、ピリッとしたものを書かせてやってください。
メキシコ灼熱
メキシコ灼熱
水木 楊
メキシコって遠い。
アメリカの南にあって、簡単に行けそうだけど、フックがないので、行く理由も知る理由も見当たらない。
そんな自分のなかの空白を埋めようと思って手にとった本です。
まぁ、現代メキシコ紹介みたいな本です。
サッカーなんかのイメージだと陽気でラテンなソンブレロ(例のとんがり帽子ですね)たち、という感じですが
本の中で紹介されているエピソードは、なかなか面白い。
「ダムをつくったはいいが、川を一本間違えて水が貯まらない」とか
「日本の定置網漁を伝えたら魚が採れすぎて、マフィアがやめさせようとした」とか
冗談では
「日本人とドイツ人にメキシコを10年貸したら、国がかわるだろう」とか
なかなか、予想どおりのおかしさです。
でも結構まじめな本なんで経済の話もあります。
まず、工場としてのメキシコ。
低賃金の労働力が手に入りやすいので、世界中から工場が集まる。
松下もいっている。手先はとても器用だそうだ。少なくともアメリカよりは。
アメリカは多民族国家なので、教える言語も色々で大変なので、メキシコはその点スペイン語のみなので楽なのだそうだ。
舌もアメリカよりは5倍は優れているとのこと。
5倍?と思いますが、それはもう主食のトルティーヤからアメリカにあるものとは違うそうです。
トマト、たまねぎ、じゃがいも、とうもろこしの原産地ですからね。
経済自体は混乱しています。
アメリカの自由貿易圏にはいり市場経済の下に入ると、国内の農業などは国際価格の食い物にされてしまいました。そして、農民は昔からの共同生活をやめ農地を売り都会へ。そしてスラム化。
メキシコシティーは世界最大のスラムがあるそうです。
まさにグローバル経済の影響を一番最初に受けている国、という特殊な位置にいるともいえるでしょう。
しかしメキシコには偉大な歴史があります。
アスティカ文明とマヤ文明です。
滅ぼされた文明と滅んだ文明です。
心臓を生きたまま生贄から取り出すという血なまぐさい反面、あっさりとスペイン軍を受け入れてしまったアスティカ文明。
高度な天文学とジャングルの真中に奇妙な遺跡を残し、消えていったマヤ文明。
メキシコシティーには3文化広場、というのがあり、先住民時代(アスティカ)、植民地時代、現代の象徴する建物がある、まさにメキシコの鬱屈とした歴史を象徴する広場です。
さらに政治。
アメリカを追随するグローバル経済派から先住民の開放を訴える国民的ゲリラ組織サパティスタ国民解放軍までそれぞれの問題に対応した派閥がひしめき合っています。
いわゆる旅行記ではなく、政治・経済・歴史・生活をくまなく見渡しているのはさすが元新聞記者、というところで、それに答えられるものを持っているメキシコもなかなか熱い。
個人的には、メキシコ料理と陽気さ、メキシコサッカーでも分かるしたたかさ、古代文明と現代の今後の融合、メキシコ人には関西弁が良く似合う、というのに興味が持てました。
まずは子山羊料理でも食べにいこうかな。
ぼんぼんではなくぼんち
ぼんち
山崎豊子
商人の町、大阪船場の中でも船場貴族と呼ばれる老舗問屋の息子として生まれついた主人公。
祖母、母ともに養子迎えることで、生まれたときにはすでに奇妙な女系家族が出来上がっていた。
嫁をとったものの底冷えのするいじめに、ついに嫁は家をでる。
主人公は、ではこちらも勝手に、ということで妾を囲い、情の深い妾を5人持ったところで第2次世界大戦がはじまる。
妾をも含めた船場文化も壮絶ですが、5人もの妾を持ちそれぞれをそれぞれの愛し方で接する主人公も重いです。
行き先1つさえも、船場文化と妾5人にがんじがらめになり、妾の横で他の妾のことを考え、ふと「なんのために妾をもっているんだ」、という自問自答にも負けず、船場・妾に筋を通す姿は、なにを好き好んでという感じは否めません。
しかし金持ちの御曹司として、へらへらしたボンボンではなく、金持ちなりの筋を通すぼんちとしての態度は立派です。
が、金も妾もいて、まったく幸せそうでないのはなぜでしょう。
ぼんち人生を生ききった、という感はありますが。
これだけ船場・妾に拘泥しているかのように見えた主人公が、最後やってくる新しい時代を受け入れる当たりは何か不思議な感動があります。
なんにせよ、船場のぼんちを書ききったこの本は、一読の価値ありです。
空中ブランコ
空中ブランコ
奥田英朗
久しぶりに、ただ楽しむだけの読書ができました。
社会常識の欠如した天真爛漫な精神科医伊良部と様々な真剣な外来患者のお笑いストーリーです。
無垢で巨漢の伊良部が空中ブランコをやるイメージはなかなか秀逸でした。
「イン・ザ・プール」に続く続編ということですが、「空中ブランコ」だけでも十分楽しめます。
奥田英朗は初読みでしたが、結構純粋に楽しめました。
「最悪」あたりも興味があるので、イマイチな本ばかり読むことになったときは、口直しに読みたいと思います。
しかし、表紙の子供、なかなか違和感があるので何だろう、と思っていましたが本を読んで分かりました。
伊良部なんですね。
「イン・ザ・プール」の表紙はニルヴァーナのイメージかと思っていましたが、「空中ブランコ」まで続けるとしっくりきました。

