1年が過ぎ、あゆは4年生になった。
またクラス替えがあり、担任も町田先生に変わった。
町田先生は、優しい口調の女の先生だった。
そんな先生の雰囲気が大好きで小学校時代で、あゆが一番安心できる担任だった。
町田先生は、宿題やってこいとは言わない。
やっていかなくても怒られない。
あゆは、相変わらず宿題をやっていかなかった。
そのおかげてまったく勉強が分からなくなっていた。
テストも常に悪かった。
だけどあゆは、どうでもよかった。
勉強楽しくない。
やりたくない。
そんな思いしか湧き上がらなかった。
だから宿題をやってこいと言わない先生に感謝していた。
4年生も相変わらず状況は、変わらないままだった。
ただ、3年生の時の担任が町田先生に
「あの子は、体が弱いから気にかけてやってほしい」
と言っていたようだった。
あゆは、その話しを母から聞かされた。
そんなふうに思っていてくれたんだな、先生。
ありがたいような、さみしいような複雑な感情が胸をはしった。
あゆは、ただクラスのみんなが話す姿を見ていた。
だんだんとなんとなくこの状態に慣れてきた。
そういえば最近は、頭痛くならないな。
可もなく不可もなくあゆの感情は、平らになったみたいだった。
この年、5人目の兄弟が生まれた。
女の子だった。
「中村さん、赤ちゃん生まれたんだってね、よかったね」
町田先生が声を小さくしてあゆだけにそう伝えてくれた。
あゆは、嬉しくてこの言葉を大人になってもずっと忘れずにいるのだった。
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