20話目 場面緘黙症についての経験談小説 | HSP✖️不登校サポーターaikoᵕ̈*親と子を繋ぐ居場所作りをしています‍‍

HSP✖️不登校サポーターaikoᵕ̈*親と子を繋ぐ居場所作りをしています‍‍

集団の場が苦手、人と話したいのに緊張して上手く話せない、場面緘黙症、共感性の高いHSPの気質をもつaikoだからこそ不登校になる子供の気持ちをくみとってきました。これから不登校の子と親を繋ぐ居場所を作ります ̖́-‬

あゆは、5年生になった。
 
 
 
日常に何の変化も起こっていなかった。
 
 
 
 
ただ、あゆには、自分が気がついていない大きな変化があった。
 
 
 
 
学校の廊下を歩きながらふと思った。
 
 
 
 
そういえば私、前みたいにしゃべりたいとか思わなくなったな。
 
 
 
もう学校で友達がほしいとも思わない。
 
 
 
何でこんな気持ちになったのか不思議だけど、すごく楽だな。
 
 
 
 
あゆは、自分の気持ちが穏やかになっていることに気がついた。
 
 
 
 
もう頭も痛くない。
 
 
 
イジメもない。
 
 
 
誰も何も言ってこない。
 
 
 
嬉しくもないけど辛くもない。
 
 
 
 
まるで
 
 
 
 
何も感じない。
 
 
 
 
だけどあゆは、初めて楽になれた気がした。
 
 
 
もう、しゃべれないと悩む必要も怖がる必要もない。
 
 
 
そう、恐怖心さえ感じなくなってしまったのだ。
 
 
 
 
このまま学校で普通に過ごしていくと決めたあゆは、無意識に自分を脅かす感情を全て心の奥においやり、しっかりとカギをかけて見えないようにしたのだ。
 
 
 
自分を守る為に
 
 
 
 
感情を脅かすバリアをはったのだ。
 
 
 
 
 
 
 
「中村のバーーか!!!」
 
 
 
 
突然、後ろから大きな声が聞こえてきて、思わず振り返った。
 
 
 
声の主は、あゆのことを散々いじめていたあの男の子だった。
 
 
 
 
すぐに前に向き直ったあゆは、そのまま何もなかったように顔色を変えずに歩き出した。
 
 
 
 
 
 
 
「知らないふりをすればいい」
 
 
 
そんな小さな心のつぶやきさえも、また心の奥におしこめて見なかったことにした。
 
 
 
 
 
何も見なかったことにして。
 
 
 
何も聞かなかったことにして。
 
 
 
 
平気なふりをして生きていく。
 
 
 
 
そんな人生がここから始まった。
 
 
 
 
しばらくしたら、急に石井くんに対しての憎しみが湧き上がってきた。
 
 
 
 
何で私にあんなひどいことをしたの?
 
 
 
 
許せない!!
 
 
 
 
あれから2年の時がたって、
 
 
 
 
ようやく許せないという感情がいきなり湧き上がってきた。
 
 
 
 
許せない感情とひたすら向き合い、感じきるとまた別の感情が顔を出した。
 
 
 
 
そういえば、先生が石井くんは、中村さんの事を好きだからいじめているって言っていたな。
 
 
 
 
そうなのかな?
 
 
 
 
 
そんなことを思っているうちにあゆの頭の中にありもしないストーリーが勝手に作られていった。
 
 
 
 
 
実は、石井くんは私のことが好きでいじめたんだ。
 
 
 
 
もちろん、そんなことは本気では思っていなかった。
 
 
 
 
そういうことにしておきたかったのかもしれない。
 
 
 
そこから、あゆの妄想ワールドに火がついた。
 
 
 
 
好き勝手にストーリーを頭の中で考えていく。
 
 
 
 
そうすると不思議と楽しい気持ちになれた。
 
 
 
 
いつのまにか憎しみは、なくなり楽しい気持ちにしかならなかった。
 
 
 
 
 
楽しいという感情を学校で感じたことがなかったあゆは、自分で楽しい気持ちを作り上げたかったのかもしれない。
 
 
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