今日のアルバムは1977年11月頃から録音しながら未発表に終わり、ロリー・ギャラガーの没後にリリースされた作品です。録音時期からいうと "Calling Card" と "Photo-Finish" の間になるはずだった作品になります。このアルバムをリリースしないことを決定した頃にルー・マーティンとロッド・ディアスが脱退してしまいます。その後テッド・マッケンナ(元センセーショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンド)を加えた3人体制のバンドになるため4人編成最後の録音になります。

なお、このアルバムは2枚組になっていて、2枚目は3人体制になってすぐのライブなのですが、ロリーのライブをとりあげるのならもっと別なものにしたいのでここでは割愛します。あしからず。

 

レコーディングメンバーは

Rory Gallagher・・・Guitar, Vocals, Harmonica

Lou Martin・・・Keyboards

Rod De'Ath・・・Drums, percussion

Gerry McAvoy・・・Bass

ゲストプレイヤーとしては

Joe O'Donnell・・・Electric Violin (④)

Martin Fiero・・・Saxophone (①⑧)

プロデユーサーは Elliot Mazer ("Harvest" などニール・ヤングの多くの作品をプロデュースしています)。

 

全曲ロリー・ギャラガーの楽曲になります。

① Rue The Day

ルー・マーティンのローリングピアノから始まるロックンロール。スライドギターによるギターソロも楽しげです。このアルバムがストレートなスタイルになったのには一説によると録音スタジオがあるサンフランシスコでセックス・ピストルズのライブを観たことが大きな影響を与えているとのことです。

 

 

② Persuation

2曲目はシャッフルのリズムのハードロック。ハードロックといってもロリーのヴォーカルとギターが熱いだけでギターサウンド自体はディストーションもナチュラルな程度でハードロックバンドとは言い難いトーンなんですけどもね。

 

③ B Girl

1979年にリリースした「トップ・プライオリティ」の "Public Enemy No 1" の原曲とされている作品。ブルースでよく聴くスタイルのハードロック。

 

④ Mississippi Sheiks

次作「フォト・フィニッシュ」で④⑥⑦⑧⑨が再レコーディングされています。この曲はスローでヘヴィなブルース。よく転がるピアノとスライドギターが絡み合う作品になっています。

 

⑤ Wheels Within Wheels

アコースティックギターを中心にしたロリー独特のブルースバラード(?)。 ロリーのアルバムに必ずこのような作品が1曲入っています。これを楽しみにしている人もいるはず。無骨な感じのロリーだからこそピュアな感じのギャップがいいね。

 

 

⑥ Overnight Bag

ロリーらしいギターリフから始まるハードロック。ブルースやハードロックにある陰鬱な感じがロリーには皆無なので聴きやすい曲に仕上がっています。

 

⑦ Cruise On Out

ロックンロールな曲でロリーも張り切って楽しんでいる感じがします。どんな音楽が流行っていても関係ないのがロリーの真骨頂ですね。

 

 

⑧ Brute Force & Ignorance

70年代初期を思わせるハードなブルースロック。そこにロリーらしいメロディをまぶした作品。

 

⑨ Fuel To The Fire

前作の "Edged In Blue" を思わせるイントロからミディアムテンポのブルース。このアルバムではブルースよりロックンロールに重きを置いたものになっていて、エリオット・メイザーにプロデュースを依頼したのもその辺に理由がありそうですね。

 

そこそこよくできているアルバムだ思うのですがなぜボツになったんでしょうかね。

①ロリーの納得のいく作品に到達しなかった

②パンクの時代の真っ最中でレコード会社が売れないと判断した

③メンバー2名が脱退して権利の関係から

などが考えられると思うのですが真相はわかりません。ただ、ロリーは前作のプロデユーサーのロジャー・グローバーと揉めていたり、次作でのミックスが気に入らなかったりしてますし、本作でもプロデユーサーのエリオット・メイザーともトラブルがあったようです。ロリーにとっては難しい時代になっていったんでしょうね。

 

ロリー・ギャラガーの作品で取り上げ済のものはこちら。

RORY GALLAGHER / BLUEPRINT | さとまるのROCKな日々 (ameblo.jp)

RORY GALLAGHER / AGAINST THE GRAIN | さとまるのROCKな日々 (ameblo.jp)

RORY GALLAGHER / FRESH EVIDENCE | さとまるのROCKな日々 (ameblo.jp)