「底辺を広げる作業」について、続きです。
【底辺】が広がると市場が成長する大きな要因となり、従って必然的により高レベルな結果を生み出すことになります。ただし、市場を三角形のピラミッド型に見て捉えると、三角形の面積を求める公式からもわかるように、【高さ】が重要なファクターになってきます。つまり、「底辺を広げる作業」とともに「高さを上げる作業」が必要になります。
◆三角形の面積(市場の大きさ)=底辺(ユーザー数)×高さ(市場価値/レベル)÷2
例えば、プロスポーツの世界ではトップ選手が稼ぎ出すその賞金額(技術に対する成果)やスポンサー料(広告宣伝としての付加価値)がいくらかによって、三角形の【高さ】が決まります。1年間で135億円稼ぐタイガーウッズのゴルフや、F1、野球、サッカー、バスケットボール、テニスなどのトッププレイヤーは世界的に高収入となっています。
トッププロが高収入で有名になると必然的に競技人口の増加が見込まれます。単純に子供たちが「将来の夢は?」「プロゴルファーになりたい」「(有名な)○○選手のようになりたい」ってわかりやすい構図になるからです。
では、バンクーバー五輪で活躍するトップアスリート達の年収はいくらでしょうか?
フォーブスが発表した2009年の長者番付でみると、1位が女子フィギアスケートのキム・ヨナ選手で、約800万ドル(約7億1,800万円)、同じく1位タイがプロスノーボーダーのショーン・ホワイト選手で、この2人がダントツの1位です。3位はアルペンスキーのリンゼイ・ボン選手が約300万ドル(約2億7,000万円)、ベスト10には7位の選手が4名いますがそれぞれ約100万ドル(約9,000万円)となっており、日本の選手はトップ10には入っていません。
えー、じゃあ女子フィギアの浅田真央選手(銀メダル)や、モーグルの上村愛子選手(4位)はいくらなの?と疑問になります。アマチュア選手なので公表されていないようですが、数千万円レベルでしょうか。浅田真央選手なんかはTVCMもばんばん出てスポンサー料がっぽり稼いでいそうなイメージがありますが、どうやら本人の取り分は少なく、JOC(日本オリンピック委員会)絡みであったりして協会の強化費等に多くは当てられている模様ですね。
このへんがいわゆる「日本式」なんでしょうね。「個」よりも「組織」をまず優先する考え方というか。欧米などのまず「個」があって「組織」があると言う考え方と違い、まず「組織ありき」の考え方は法人税の高さや累進課税率の高さなどからも伺えます。(JRAのテラ銭も世界一ですし。)
今後の女子フィギア界の市場育成のマネジメントを真剣に考えるならば、早急に国内トップ、世界2位の浅田真央選手の年収をキム・ヨナ選手と同等(約7億1,800万円)にし、世界のトップ・プロ選手として扱うべきですね。女子フィギア界の将来の為には何より手っ取り早い方法だと思います。
日本中の小学校低学年の娘を持つ親が、「お!うちの娘はスケートがめちゃめちゃ上手い!才能があるかも!?」と思ったら、「よし!第二の真央ちゃん目指すぞ!」ってわが子の育成に力を入れることになるでしょう。もしもトップになれば年収で7億円稼げる競技であれば、なおさらでしょう。年収ってモチベーションは日本人的にはいやらしい感じがするんですが、でも実は一番リアル(現実的)です。
協会がトップ選手の活躍分の報酬を必要以上に奪いとってしまうのは、自分で自分のクビを締めているようなもんです。高さが無いと三角形の面積も大きくなりません。それでは市場の発展をマネジメント出来ていないことになります。
市場(ピラミッド型の三角形だとして)の発展には、
◆底辺を広げる作業・・・ユーザー数(競技人口、ファン数)を広げる
◆高さを上げる作業・・・記録、成果、年収、価値を上げる
この2つが重要なファクターになるんですね。
うーーーん。
市場を国(政治)と見立てると、その発展には、
◆底辺を広げる作業・・・人口を増やす(→少子化、移民反対?)
◆高さを上げる作業・・・優秀な企業、優秀な人材(お金持ち)を増やす。
(→優秀な企業、金持ちからもっと増税?)
うーーーん。
日本の政治は全部逆じゃない?