・2020年3月4日(水)、ワイン会「Bon Vin Club"Special"」の20回目となる例会が開催されました。
テーマ:ペトリュス1979
Gosset ゴッセ
シャンパーニュ最古の造り手であり「シャンパーニュの最も小さく偉大なメゾン」と言われるゴッセは、1584年アイ市長であったピエール・ゴッセによって設立され、ネゴシアンとして「ヴァン・ド・アイ」というスティルワインを造り出したことからスタートました。
他の生産者と大きな違いは、マロラクティック醗酵(以下MLF)を一切行わないことです。他の多くのシャンパーニュは、MLFによりリンゴ酸を乳酸へと変化させることで柔らかい酸と複雑さを得ています。しかし醸造責任者のジャン・ピエール・マレネは「MLFを行わないことこそが、本来のシャンパーニュらしい姿を具現化するための鍵となる」と考え、他のシャンパーニュ以上にリリースまでの時間を要しますが、法定を大きく上回る熟成期間を設けて全体のバランスをうまくコントロールし、妥協することなく自らの信念を守り続けています。
ロバート・パーカーより「傑出したシャンパンハウス」と最大級の評価を受け、デカンター誌、ワインスペクテーター誌等でも最高ランクの評価を受けことが多く、世界的なワインコンテストでも多数の賞を獲得しています。
①&②・・・生産地:フランス>シャンパーニュ 生産者:ゴッセ
①Gosset Grande Reserve Brut
ゴッセ・グランド・レゼルヴ・ブリュット
ぶどう品種:シャルドネ43%、ピノ・ノワール42%、ピノ・ムニエ5%
ゴッセのスタイルを最も忠実に表したシャンパーニュとされ、長熟の3つのヴィンテージのベースワインがブレンドされています。4つのグラン・クリュのぶどうを中心に使用し、法定の倍以上の時間をかけて熟成させています。
レモンやオレンジ、花の香りに、炒ったアーモンドやモカのような香ばしさも感じられます。フレッシュで活き活きとしながらも尖りすぎない酸を残しつつ、豊かな果実味とのバランスが秀逸で、複雑さや骨格、上品なミネラリティを感じさせます。
②Gosset Grand Millesime Brut 2006
ゴッセ・グラン・ミレジム・ブリュット
ぶどう品種:ピノ・ノワール56%、シャルドネ44%
通常はシャルドネ主体で造られるキュヴェですが、気候に恵まれた2006年はピノ・ノワールの出来が非常に良かった(1990年以来)ため、ピノ・ノワールが主体となりました。
洋梨やプラムのアロマに、ピンクグレープフルーツやヴァニラなどの多彩でデリケートな香りが重なり、柑橘類を思わせる豊富な果実味に蜂蜜や焼き菓子のニュアンスが加わります。上等な白ワインのように、暖かみの奥に緻密なミネラリティと酸が繊細に存在しています。
③S de Suduiraut 2004
エス・ド・スデュイロー
生産地:フランス>ボルドー>ソーテルヌ・バルサック
生産者:シャトー・スデュイロー
ぶどう品種:セミヨン主体、ソーヴィニヨン・ブラン
世界最高峰の甘口ワインの産地として知られるソーテルヌの頂点「ディケム」に隣接し、最良のヴィンテージではディケムと肩を並べるほどと称される「シャトー・スデュイロー」は、フランス最大の保険会社で、日本でも有名なアクサ・グループが1992年から所有するシャトーです。
エス・ド・スデュイローは、貴腐菌であるボトリティス・シネレアが付着する前のぶどうを使用し、新樽率20%のオーク樽で9ヶ月間の熟成を経て造られる辛口白ワインであり、2004年がファースト・ヴィンテージです。
ディケムで言うところの「イグレック」に相当し、生産量はごく少量です。
始めはフレッシュなアロマながら、温度の上昇に伴い白い花や桃などのエレガントで複雑な香りが現れ、果実味、酸味、ミネラル感、そしてボリューム感のバランスの良さが秀逸で、長く続く心地よい余韻も印象的です。
④Chateau Bellisle Mondotte 1998
シャトー・ベリル・モンドット
生産地:フランス>ボルドー>サン・テミリオン
生産者:シャトー・ベリル・モンドット
ぶどう品種:メルロー主体、カベルネ・フラン
シャトー・ベリル・モンドットはサン・テミリオンの町から東へ約5km、サンローラン・ド・コンブという村に位置しています。シンデレラワイン、シャトー・ラ・モンドットに隣接し、優れたぶどうの生育環境を有しており、1997年からはポムロールの銘醸シャトー「ベルグラーヴ」の当主ジャン・マリー・ブルディを醸造家として迎え、年間約3,000本の生産量です。
外観は少し茶色みがかった輝きあるルビー色で、熟成由来の香りはタバコ、なめし革、茸、スパイスのニュアンスあります。
豊かな果実味が健在しており、ほどよい酸と、角が取れて丸くなった滑らかなタンニンとの調和が見られます。
⑤Chateau Latour A Pomerol 1992
シャトー・ラトゥール・ア・ポムロール
生産地:フランス>ボルドー>ポムロール
生産者:シャトー・ラトゥール・ア・ポムロール
ぶどう品種(栽培比率):メルロー90%、カベルネ・フラン10%
小さな塔(ラトゥール)のあるシャトーで、ポムロールの村の教会近くに位置しています。
第二次世界大戦中と大戦後、ペトリュスの評判を確立したマダム・ルーバが所有していましたが、1961年に彼女の姪マダム・ラコストに託されました。敷地は当時彼女と共同でペトリュスを経営していたジャン・ピエール・ムエックスと、彼の率いるチームによって管理されています。
ムエックスは、ペトリュスと同様にシャトーを管理し、雨が降った1987年ヴィンテージの間、水分を吹き飛ばして乾かすために、ヘリコプターでぶどうの木の上を飛行するなど、彼らは最高のワインを生産するために出費と努力を惜しみません。
熟したプラムやブラックチェリーのような甘くこなれた黒系の果実に、土やマッシュルーム、なめし革などのニュアンスが加わります。落ち着いた果実味と、豊かながら滑らかな質感のタンニンが溶けあい、熟成感のある長い余韻へと続きます。
⑥Chateau Pavie 1983
シャトー・パヴィ
生産地:フランス>ボルドー>サン・テミリオン
生産者:シャトー・パヴィ
ぶどう品種:メルロー主体、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン
サン・テミリオン第1特別級の中で最大級の栽培面積を誇るシャトー・パヴィの畑は、サン・テミリオンの南向きの長くなだらかな斜面にあります。
オーゾンヌやパヴィの丘の斜面に初めてぶどうの樹が植えられたのは4世紀ごろのことでした。
18世紀まではたくさんのパヴィ(桃の仲間)を収穫しており、シャトー名の由来となっています。
1954年に行われたサン・テミリオンの格付けの際には第一特別級Bとされていましたが、2012年の最新のサン・テミリオンのワイン格付けで、こ
れまでオーゾンヌとシュヴァル・ブランの2シャトーのみであった第一特別級Aの中に、アンジュリスとともに新たに昇格し加わりました。伝統のある、厳格な格付けが変更されるのは異例なことで、大きな話題となりました。
近年、以前からの非常に伝統的なスタイルのワ
イン造りを、一挙にモダンなスタイルのワインへと変化させていますが、変わらぬ高い評価を得ています。
ややレンガ色を帯びたルビーカラーで、熟した赤い果実の香りに茸やスパイス、土、ヴァニラ、トリュフのニュアンスも加わります。柔らかいタンニンと熟した果実味の調和が見られ、上品な余韻が長く持続します。
⑦Chateau Petrus 1979
シャトー・ペトリュス
生産地:フランス>ボルドー>ポムロール
生産者:シャトー・ペトリュス
ぶどう品種:メルロー主体、僅かにカベルネ・フラン
現在、世界最高峰の赤ワインとされるペトリュスの名前の由来は、19世紀頃、オーナーであったアルノー家によって名付けられ、当時のラベルには「Chateau Petrus-Arnaud」と書かれていたそうです。意外なことに現在の状況とは真逆で、かつての知名度はさほど高くありませんでした。
転機は1889年、パリ博覧会で金賞に輝いたことから始りました。さらにその名声が世界に広がるようになったのは、マダム・ルーバが単独オーナーになった20世紀半ばからです。
彼女の尽力によりこのワインは脚光を浴びはじめ、やがてアメリカのケディー、ロックフェラーといった名門ファミリーからも愛される、上流社会のステータスシンボルになっていきました。
マダム・ルーバの戦略で一定の地位を築けたペトリュスですが、1961年にマダム・ルーバがこの世を去ってしまいました。その後、甥・姪が引き継いでいましたが、ビジネスパートナーであったジャン・ピエール・ムエックス社が1964年にペトリュスの株式の半分を取得すると、シャトーの支配人や醸造責任者を一新し、数々の改革を行ってペトリュスの品質にますます磨きをかけ、2002年には完全に所有権を得ました。
ポムロールの丘の最上部に位置した畑は、黒粘土(スメクタイト)が畑表面に露出している珍しい地質で、絶妙な水分調整によりぶどうを成熟させているのが特徴です。70年以上の樹齢の樹も多数存在すると言われています。土壌とメルローの相性が絶妙なため、実に肉厚でまろやかなワインを生み出します。
そのワインは、熟成させるほどにトリュフや湿った土を思わせる官能的な香りをグングンと増していき、複雑な風味と微妙なニュアンスを持つようになります。しかも素晴らしい果実の濃縮感は時を経ても失われることなく、まるでジャムのような粘り気と圧倒されるような力強さ・存在感を保ち続けます。
一般的にメルローは柔らかいと言われていますが、ペトリュスに限っては当てはまらず、最低でも20~30年の熟成が必要と言われます。希少性・ステータスの高さから、ペトリュスもロマネ・コンティ同様「飲むより語られる方が多いワイン」と言っても過言ではないのかもしれません。
格付けもない右岸の無名ワインが、わずか100年の間に歴史ある5大シャトーを凌いで最高価格のワインになるということは、誰も予想していなかった奇跡と言えることでしょう。




