Bon Vin Club "Special" 19th | レストランおいしんぼ  Petit Bon

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2020年1月15日(水)、ワイン会「Bon Vin Club "Special"」の19回目となる例会が開催されました。

テーマ:ボルドー右岸

 

 

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□Pierre Callot ピエール・カロ

シャンパーニュ地方、コート・デ・ブランのアヴィーズ村に本拠を構えるピエール・カロは、祖先ルイ・カロが1780年頃にアヴィーズ村に定住し、その息子がアヴィーズ村に最初のぶどう畑を購入した事から始まります。その後、1860年に生まれたオーギュスト=ルイが、ドメーヌで初めて醸造を行いました。
 カロ家は1971年に、メゾン・エイドシックがアヴィーズ村に所有していた畑と醸造所、セラーを買取り、ネゴシアンに提供するぶどうの圧搾を開始しました。また、1985年にドメーヌ・ピエール・カロを設立と同時に、元詰めシャンパーニュ製造を開始しました。1987年には醸造学の免状を取得し、ボルドー、そしてシャンパーニュのテタンジェやヴランケンなどで働いていたティエリーがドメーヌに参画し、1996年にドメーヌの当主に就任しました。
 アヴィーズ、クラマン、シュイイ、グローヴの4つの村に合計7.25ヘクタールの畑を所有していますが、そのうちの2.25ヘクタールで栽培するぶどうはすべてボランジェが購入しています。また、ボランジェがアヴィーズ村に所有する0.6ヘクタールの区画の栽培も任されており、カロの造るぶどうはボランジェも惚れ込むほど、極めてクオリティの高いものである事に間違いありません。
 しかし、自身のドメーヌ・シャンパーニュもフランスを代表するワインガイド誌で高く評価されると同時に、その卓越した技術から、同村のジャック・セロスとは何かにつけ頻繁に比較されています。
生産量は年間4万本程と少なく、毎年フランス国内の古くからの顧客を中心に直販されるため、日本をはじめ海外への輸出は僅かな、非常に稀少なシャンパーニュとなっています。
 現在、フラッグシップ・キュヴェのクロ・ジャカン(本日のメイン)をはじめ、6種類のキュヴェが生産されています。

 

①Piere Callot Blanc de Blancs Brut Diversite Grand Cru  
ピエール・カロ・ブラン・ド・ブラン・ブリュット・ディヴェルシテ・グラン・クリュ 

生産地:フランス>シャンパーニュ地方>コート・デ・ブラン
生産者:ピエール・カロ
ぶどう品種:シャルドネ100%

 

同キュヴェはアヴィーズ(90%以上)とクラマン、シュイイ産のシャルドネが使用され、単一年の収穫ぶどう65-70%とリザーヴ・ワイン30-35%(内5%は木製キューヴで1年間熟成させたもの)をアッサンブラージュします。ステンレス・タンクで発酵後、シュール・リーの状態で8ヶ月熟成、マロラクティック発酵,瓶内二次発酵及び38か月の熟成を経て出荷されます。
 明るいグリーンがかったイエローの外観であり、カットしたりんごや柑橘系果実、フルーツのコンフィ、ローストしたアーモンドを思わせるアロマへと続きます。
 繊細な味わいながらパワフルな一面も見られ、熟れたジューシーな黄桃とメロンが全面に出ている印象があり、強く引き締まったミネラルを感じさせる、美しい余韻が長く持続します。

 

②Pierre Callot Clos Jacquin Brut Avize Grand Cru
ピエール・カロ・クロ・ジャカン・ブリュット・アヴィーズ・グラン・クリュ

生産地:フランス>シャンパーニュ地方>コート・デ・ブラン>アヴィズ
生産者:ピエール・カロ 

ぶどう品種:シャルドネ100%

 

ピエール・カロのフラッグシップ・シャンパーニュであり、アヴィーズ村に存在するわずか0.07ヘクタールの単一畑「クロ・ジャカン」のシャルドネから造られます。生産量は年間わずか800本と非常に希少です。

また、某誌のプレステージ・シャンパーニュ特集にてサロン、ボランジェ、エグリ・ウーリエといったシャンパンを押さえて、第一位に輝いた実績もあります。
 使用されるぶどうは1975年に植樹されたものであり、10%のリザーヴワインがアッサンブラージュされています。
 深みのある黄金がかったイエローで、持続性のある泡は柔らかく立ち上り、香りはリンゴ、パイナップル、ローストしたナッツ、蜂蜜、ヴァニラ、ブリオッシュ、クルミ等が複雑に混ざり合うかのようです。
 テロワールを感じさせる豊かなミネラルにしっかりとした酸、凝縮感のある果実味が融合し、力強さとフィネスを兼ね備えています。
 非常にスケールが大きい、極上のブラン・ド・ブランであり、とても長く感じられる余韻も素晴らしいものがあります。 

 

③Chateau Talbot Caillou Blanc 2009
シャトー・タルボ・カイユ・ブラン

生産地:フランス>ボルドー>サン・ジュリアン
生産者:シャトー・タルボ
ぶどう品種:ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン

 

フローラルで香り高く、繊細かつエレガントで柔らかい赤ワインを産出するサン・ジュリアン村の「シャトー・タルボ=メドック格付け4級」が少量生産する白ワインです。
 赤ワイン用のぶどう畑が102ヘクタール、白ワイン用のぶどう畑が5ヘクタールと約20分の1の面積となっています。
 現オーナーの祖父ジョルジュ・コルディエ氏は白ワインをこよなく愛していました。そのため、メドックでもいち早く畑の一部を白ワイン用のぶどうに植え替え、自らの為に白ワインの生産を始めていたそうです。
 現在、ソーヴィニヨン・ブランを中心にセミヨンをアクセントに加え、ブルゴーニュと同じ手法で特別な白ワインを生産しています。
 熟成を経た深い黄金色で、白い花、柑橘系果実、トロピカルフルーツ、蜂蜜などのニュアンスがあります。たっぷりとした果実味を持ちながら、フレッシュな酸が全体を引き締めることにより、非常にバランス良くまとまっており、樽熟成由来の、ナッツやバニラを思わせるリッチで複雑な余韻をもたらします。

 

④Chateau Corbin 2009

シャトーコルバン

生産地:フランス>ボルドー>サン・テミリオン
生産者:シャトー・コルバン
ぶどう品種:メルロー80%、カベルネ・フラン20%
 

英・仏百年戦争時代(1339~1453)からという、この地域で最も古い歴史をもつシャトー・コルバンの畑は、シュヴァル・ブランの畑と同じ地続きの土壌にあり、特にイギリスでは古くから絶大なる人気を誇っています。
 同地区においてコルバンと名のつくシャトーが7つありますが、その本家筋にあたり最も由緒あるシャトーであるのが「コルバン」であり、1996年に所有者が変わったことから、品質が格段に向上したことでも知られています。
 濃いガーネットの色調で、ブラックベリー、カシス、プルーンなどの黒い果実、樽香、腐葉土、キノコ、スパイス、チョコレート、コーヒー等の香りが複雑に重なり合うかのようです。タンニンは角が取れて丸みを帯びなが
らも力強さを感じさせ、果実味もたっぷりとしたボリュームを持っており、メルローらしい複雑な余韻を長くもたらします。
 畑がポムロールとの境界近くの台地に位置することから、サンテミリオンながらポムロールに近い、リッチでしなやかな丸みを帯びた柔らかい味わいを造り出しています。

 

⑤Clos des Litanies 2000

クロ・デ・リタニ

生産地:フランス>ボルドー>ポムロール
生産者:ジャヌイクス家

ぶどう品種:メルロー100%
 

ペトリュスと並ぶポムロールのトップのシャトー「ル・パン」に隣接するクロ・デ・リタニの畑は1514年からの歴史があり、由来はここを訪ねた巡礼者がヴィニュロン(ワイン生産者やワインメーカー)達を相手に祈祷したことから始まったと言われています。
 所有者は名門ジャヌイクス家であり、現在はラ・クロワ・サン・ジョルジュ、そしてクロ・デ・リタニ等を一躍有名にした「ジョゼフ・ジャヌイクス氏」に代わり、ジャン・フィリップ・ジャヌイクス氏により運営されています。右岸の若手のホープとされ、非常に注目されている彼は、その一家に受け継がれる伝統・技術を身につけながらも、常に伝統の技術で終わることなく、新しい方法を模索し続けています。
 わずか0.84haの畑からの生産量は年間約400ケースと極少で(日本への入荷は毎年25ケース程)、樹齢60年越えのメルローを新樽100%にて18か月熟成して造られます。
 エッジに僅かにレンガ色がかかるルビー色の外観で、完熟したチェリー、プラム、ブラックベリー等を連想させる赤~黒い果実の豊かな芳香があります。円熟味を増した純粋な果実味と、丸く滑らかな舌触りのタンニンとの絶妙な調和が見られ、官能的な長い余韻には、上品さ繊細さも感じられます。

 

⑥Chateau Canon 1988

シャトー・カノン

生産地:フランス>ボルドー>サン・テミリオン
生産者:シャトー・カノン
ぶどう品種:メルロー80%、カベルネ・フラン20%

 

1760年、フランスの海軍に属していたジャック・カノン氏がこの土地を購入します。その土地がぶどう栽培に適していることを見抜き、当時ぶどう以外に植えられていた穀物などを抜き取り、全てぶどうに植え替えた事からシャトー・カノンが始まりました。
 畑はオーゾンヌやベレール、マグドレーヌ、ボーセジュール・ベコといった1級シャトーが集まった南西部斜面に、22haを所有しています。こうした好条件から造られるワインは、80年代にはオーゾンヌに匹敵すると言われるほど質の高いワインを造り上げますが、90年代に入り所有者が変わると品質は著しく低下してしまいます。
 その後1996年に「シャネル」を所有するヴェルテメール家がシャトーを買収、支配人に就任したジョン・コラサは、セラーなど施設の整備、将来を見越したぶどうの植え替えなど、このシャトーの能力を再び引き出すことに惜しみない投資を始め、かつての名声を取り戻すことに成功しました。
 鮮やかなルビーパープルの色調で、熟れたブラックチェリーの甘い香りに、なめし革、西洋杉、コーヒー、トースト、ミルクチョコのニュアンスが絡み合います。凝縮感のある果実味に滑らかになったタンニンが溶け込んでおり、気品が感じられる香りが余韻にまで長く続きます。

 

⑦Chateau Cheval Blanc 1988

シャトー・シュヴァル・ブラン

生産地:フランス>ボルドー>サン・テミリオン
生産者:シャトー・シュヴァル・ブラン
ぶどう品種:カベルネ・フラン、メルロー

 

サン・テミリオンの格付けでトップに君臨する第一特別級Aには4シャトーが名を連ねており、オーゾンヌと並んでツートップとされるのがシュヴァル・ブランです。
 シャトー名の由来は、ワイン王とも呼ばれていたアンリ4世が、シャトーの前身であった宿屋に白馬で訪れたためと言われています。
 シュヴァル・ブランは、長きに渡って同じ家族が所有し続けてきた、ボルドーでも数少ないシャトーの一つです。もともとは「フィジャック」の一部でしたが、1832年にデュッカス家に16haの畑が売却されてから、デュッカス家が買い足していったものが、今日のシュヴァル・ブランの基礎となっています。 
 サン・テミリオン地区の土壌は2つに分けられ、1つはメルローの栽培に適した粘土石灰質の「コート」と呼ばれる地域で、オーゾンヌをはじめ、第1特別級に属する多くのシャトーがこちらに位置しています。

   もう1つは砂利質の「グラーヴ」と呼ばれる地域で、ボルドー地方では補助品種とされているカベルネ・フランの栽培に適しています。
 グラーヴに位置するシュヴァル・ブランは、カベルネ・フランとメルローをほぼ同じ割合で使用して(カベルネ・フランの割合が多いヴィンテージも有)ワインを造っています。
 このように、ボルドー地方では補助品種とされているカベルネ・フランを多用しているのが、シャトー・シュヴァル・ブランの大きな特徴とされ、この特徴的なブレンドから、豊かなコクと力強い味わいを持つ独特なワインに仕上がります。
 芳醇で華やかな香りが魅力的であり、超熟したカシスなど黒系果実の深みのある味わいの中に、甘草やシナモンなどのスパイス、なめし革のニュアンスがあります。丸みのあるふくよかな果実味にビロードのようなタンニンが溶け込み、心地良い余韻が長く続く、非常にエレガントな味わいです。究極に滑らかな舌触りはしばしば、まるで絹のようであると例えられます。