ワインの火入れ | レストランおいしんぼ  Petit Bon

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秋田市八橋本町 けやき通り の
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ワイン、食、秋田の日々を綴っています。

S庭です。

先日、知人が某食品店で、国産ワインを勧めれた事から発端した話題。




「このワインは美味しいですよー、何たって生ワインですから」


「え?!生って・・ ワインはみんな 生じゃないんですか?」


「ワインはみんな火入れしているんですよ、でもこれはしてないから生ワイン


「ワインは火入れしてるんですか?!初めて知りました」


「してますよ、だから生ワインは美味しさが違います!」



試飲した知人談 「確かに美味しかった、フレッシュジュースみたい」




えーと(;^_^A・・上記のやりとりには誤解を生む箇所があります。


生と言えば、日本酒の生酒が真っ先に浮かびますが、これはその通り火入れしていないお酒です。

ちなみに「生酒」表記以外は火入れを行っています。生貯蔵酒、生詰酒も1回火入れしているので(通常は2回)半生と言えるでしょう(笑)

火入れとは出来上がった新酒の中で、まだ生きている酵母や他の菌等を加熱して減らし発酵を止め、品質を安定させる作業です。1862年フランスでルイ・パスツールがワインの為に考え出したパスツリゼーション(加熱殺菌法)よりもずっと古くから日本では火入れ技術を駆使していました。

日本の歴史を遡るほど、古来より卓越した技術とセンスに日本人の誇りを感じます。


パスツールさんがワインの為に考え出したのですから、昔はワインを火入れしていました。

実は今もワインを加熱殺菌している大手メーカーはあります。

ですが、加熱により、ワインの繊細なアロマや色素の劣化、そして長期熟成に必要な有機酸等を破壊してしまうのは避けられません。醸造技術が発達していくと、品質を追求する生産者達は、パスツリゼーションよりも、どの微生物をどのくらい取り除き、どのくらい残しておきたいかを考慮したフィルターリングを施したり(生産者の意図によりフィルターを使わないアンフィルターの生産者も多い)窒素充填環境下での作業、酸化防止剤等でワインの品質安定を図っています(火入れとSO2添加はまた違った問題です)


ですから、ワインはみんな火入れしている・・これは違います。


現在、一般に出回っている日本産ワインは火入れしたものが多いです。某食品展のメーカーさんは、そこを視野においての発言だと思います。



ふと疑問が浮かびました。


でも、火入れしたワインが悪いワインで、火入れしていないワインは良いワインなのでしょうか?

なぜ日本ではワインのパスツリゼーションが多いのか?(もう気づいた方も多いと思いますが)



次回はこちらを考えていきます(脳疲労により本日はここまで)