献食菜集 -157ページ目

欠け満ち

欠け 満ち 12ヶ月
欠け 満ち 12年


私は 他人から 出来ている
私は 他人から 出来ている


欠け満ち 6ヶ月
欠け満ち 6年


私は 言葉で 出来ている
私は 言葉で 出来ている


欠け満ち 46年
欠け満ち 2007年


私は 他人で 出来ている
私は 他人で 出来ている





















すてきな 歌声


一年の 終わりに あわせるように
庭木の 葉は すべて落ちた


静かで 
のびやかで 美しい 
歌声 が 流れている


声主は 夏川 りみ という


美しいうたごえ に 聞き惚れてしまい
そこに 立ち尽くし
2日も経ってしまった


しかし 気が付けば

 

秋の夕暮れ や
吹雪く 琵琶湖や 暗い雲
陰気な 田んぼの土や


銭勘定 に明け暮れる 言動や
布団の中で聞く 母が父を
罵倒する声や
冬の放課後や 
つらいばかりの工場勤めの 記憶や


そんな

片付けておいたものが
その 美しい歌声に  ひっぱりだされていた


あなたが うたう 民謡は
なぜ そんな ものを 
私に 思い起こさせるのか


あなたの 歌声は 美しいのに
なぜ あとから 
私を ゆううつにさせるのか


したがって
もうこれ以上聞きたくない

 

しかし
それが何故か 
もういちど 聞きたい 


おそるおそる聞けば
やはり美しい歌声はすてきで
すばらしく


とつとつ とした 三線 の音は
素朴で また 海のように 広がる


そしてまた 

物悲しく 憂鬱になる


そして少し わかった 気がする


輝きこそ 雲泥の差 であるが
彼女と 私は 

同じ周期の 者である


今は じっと耐え
春に向かって 力をためて いるに 違いない


そう思ったとたん


彼女の歌声は すこし
鼻に かかり

適当に 太い声であると

気が付いた 


そして  やはり

美しい





































































 
 


1212 あめ


ゴミ箱から ひろいだす


おお なんと きれいな
小さな 作品片


すてたのは たれか


おお なんと まぬけな
この  わたし


しかし きれいだな



おもいがけない いろ かたち



また あしたも
つくります
























































南町アトリエ

ドアノブ についた 手垢 


ガス台 の窓の 油汚れ


上り下り した 階段 


隣の棟 にいくための 窓


皆で 酒盛りした 床


寒い冬に 皆で囲んだ ストーブ



アトリエの 汚れは
皆の 笑いの 積み重ね



ここは新しく 生まれ変わる


 

石を 割る音
接着剤の におい
はじめて訪れた 18年前


そして
私はここで 初めて 出会った


素晴らしい いい加減に


美味しい 食事に


楽しい 行き当たり ばったりに


真似のできぬ 深い友情に


吝嗇 から ほど遠い者達に




アトリエの 汚れは
皆の おしゃべりの 積み重ね


この薄汚れた 白い壁に
私は 感謝しよう


このセメントだらけの 床に
私は 感謝しよう


一瞬の18年に
私は 感謝する







































小さい鳥

停車した 車のほんの前に
小鳥が降りてきて
こちらを うかがっている


わざと 自動車の 屋根を
ぎりぎりにかすめて
舞い降りてきたのだ


右目 左目
交互に こちらにむけている


君の体は小さいが
生きるに 必要なものは
揃っている


私の体も 君より 大きいが
生きるに 必要なものが
揃っている


君は何のために この世に 
存在しているのか を知るか


僕は何のために この世に
存在しているのか を知らない


君は本当は 知っているのでは
ないか