献食菜集 -156ページ目

はじめまして

はじめて 出会う 人と
あいさつ をかわす


表情 をみて
声 を聞き
ことば を受け渡す


何故 今まで このひと と出会わなかったのか
何故 今ここで このひとに 出会ったのか


今後 ずっと 交流を もつ ひとだろうか

それとも これで 終わりだろうか


それぞれ はそれぞれ の生活 と人生を おくるが
出会うことによって 

お互いの 生活と人生の中に
そのひと の印象を 取り込む


その印象は 的を得てるか はずしているか は
わからぬが お互いの記憶に 残る


何十年 と月日は 流れ
みな 等しく 年老いて ゆくが
印象と記憶は 年老うこと などないであろう


過ぎ去って しまった 時間は
記憶の中にだけ あり
それは 誰とも 共有できず


いつ 忘れ去られる のかも 知れぬ
危機 に いつも瀕し ている


人間は 忘れる という
しかし 忘れたくない 記憶は どうすればよい
頻繁に 思い出せば よいのか


そのたびに きおくは 都合 よいもの に
つくり 変えられて ゆくので あろうか


まだ 人生の 半分
遺伝子 の設定年齢 では 三分の一

 

新しい 出会いと
あらたに 記憶される 出来事が


楽しいことや すてきなひと との出会い が 
今まで の分 以上 待ち受けて いる


あいさつ をかわす

表情 をみて
声 を聞き
ことば を受け渡す


何故 今まで このひと と出会わなかったのか
何故 今ここで このひとに 出会ったのか


今後 ずっと 交流を もつ ひとだろうか
それとも これで 終わりだろうか






























 



 


裕次郎 走る

石原裕次郎 が とつぜん
カフェ の 奥のへや から
あらわれ


コーヒー の勘定を払っている
私たち の前を
走り去って いった


入り口 扉の 前あたりで
消えたかと 思うと


また


奥のへや から
あらわれ

太陽にほえろ のテーマ が
流れ出し
 
私たちの 目の前 を
黒くて 太った  
晩年の 裕次郎 が 

走り去って いった


ふしぎに 思いながら
コーヒー の勘定を払っている
私たち の前を


黒くて 太った  晩年の 
石原裕次郎 が 
走り去って いったのだ




















ハエ払い機

くるくるまわる 

ハエ払い機が


早朝の 夢に 突然 あらわれ
それで 目が さめました


40年以上前の さかなや 

木製の トロ箱の 氷の うえに
並んだ さかな


そのうえを うすよごれた 目の粗い
赤い リボンが 
くるっくるっ と まわる


天井から ぶらさがる
小さな モーターは オイルで 汚れ
ほこりが こびりつく


ゼンマイじかけ  
ブリキの ちいさな 列車 が
トンネル を出たり はいったり
くるっくるっ とまわる


上空で アトムが
くるっくるっ と まわる


天井の 鉄人28号が 
足のうらの プロペラで
くるっくるっ とまわる
 
魚屋の 赤い リボンも
くるっくるっ とまわる 


とてもさわりたくて 手を出したら

小さな わたしの 手の甲を
かるく たたいて  
くるっくるっ とまわる


また

かるく たたいて
くるっくるっ とまわる


まっくろなゴムの 前かけを した
大きな おじさんが


木の 札に
マジックインキ で

呪文を 書いて


さかなの 山に
突き刺して いました
























31ねん


31ねんも かりたまま の
まんねん筆 を


こっそりと かえすなんて
ずるいじゃないか


そんなふうに おもっているのかな


差出人の なまえをみて
誰だか わかるかな


ああ あいつか
今頃なんだ
万年筆 とは
なんや


すらすらすら


あまり の 書きやすさに
かしてもらった 15歳のころ


なんと すてきな 万年筆

おい そろそろ  返してよ って


それで そのあと 
31ねん で


もう 僕の こどもが
15歳に なってるじゃあないか


ごめんなさい


ほんとうに すいません
返さない つもりは  なかったのに

借りて つかったのも 

最初の 2ヶ月 くらい

だったんですよ


何度の引越しにも 必ず 持ち運びました


そしていつも机の上にありました 


31年ぶりに かえってきた
黒くて細身のパーカーを
みて

どうか 憤慨 しないでください


かんにん


それで


ながい あいだ おおきにな
















































































ひとっ走り

13時間かけて 東京から北九州まで
ラシーンを すっ飛ばす


山陽道では 星空 うつくしく
オリオン が 目前に近づく


夜空には こんなにも
たくさん 星があったのか


16時間かけて 北九州から東京まで
ラシーン すっ飛ばせず


渋滞箇所 多数
世の中には こんなにも
たくさん 自動車が あったのか


16号は
横浜から 八王子まで ラシーン一台きり
午前3時前


家族は眠り 街は眠り 
私とエンジンだけが おきている


1000キロ ひとっ走り