ダイバーシティな教育と実践心理学 -2ページ目

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28Jul
- 東医大の学生さんとの思い出② 美術部新設
  前回のブログで載せたように、美術部は、最初は同好会でした。X君の指導力とカリスマ性、そして、顧問である私のお節介で、更に会員が増え、同好会は、あっと言う間に部に昇格しました。部になると、大学から部費の補助金が入り、部室がもらえるようになります。部員は更に増え、皆それぞれの製作に取り組みました。夏休みには、焼物製作の合宿まで行われ、文化祭の展覧会は大賑わいでありました。また、当時の学長であった第三内科学主任教授の故伊藤久雄先生も、自分が作成した焼物を出品してくださりました。伊藤先生は、山形県出身の優秀で芯のある先生でした。私は内科学の先輩として、そして、人間として尊敬していました。先生のご趣味は焼物であり、自宅に轆轤と電気釜を完備していました。お酒に滅法強く、お好きだった先生は、自分の徳利とおちょこを焼かれていました。そこで、伊藤先生に直談判し、文化祭の美術部展覧会に特別出展頂きました。これには、部員一堂感激したものでした。絵画の方は、ブログ名医②の故松尾治亘先生（元学長、眼科学主任教授）にも、特別出展して頂きました。展覧会が終わり、学生が出展した絵を返却しに松尾先生のところへ伺うと、先生は学生を大歓迎くださったそうです。先生の学生好きが偲ばれます。
26Jul
- 東医大の学生さんとの思い出① 賑やかな文化祭
  最近は文化祭よりも、オープンキャンパスがあり、AO入試が大流行りです。東医も早く導入し、青田刈りをしていれば、今回のような、役人に騙された（？）裏口スキャンダルはなかったのに、と悔しい思いで一杯です。東医大の文化祭は、つんく♂さんのいる近大ほど派手ではありませんが、賑やかで楽しいものです。ある年の夜、騒がしかった様で、近所からクレームが来ました。クレームと言いましても、大学の周りは、沢山の歌舞伎町のお姉さんや、社会不適合者が住んでいたので、当たり屋的なクレームでした。しかし、当時の幹部は、騒いだ学生を処分する、と言い出しました。私は猛反対をして、その学生を助けました。東京医大の幹部は、すぐにトカゲの尻尾切りをすると言われてましたので、「幹部は自分自身を守ってるのではないだろうか」と感じたものです。その後、私自身が茨城医療センター不正請求問題で、尻尾となり切られることになるとは、夢にも思いませんでした。（私は大学を訴え、名誉を回復しました。）さて、新任内科学主任教授となり、無料採血検査や、内科診断学同好会のブースがあるので、文化祭を訪れた時の話です。東医大の医学で、血液学は有名であります。その血液学のブースには、沢山の高校生が群がっていて、宣伝効果は抜群でした。今の血液学や臨床検査学の主任教授は、有名で素晴らしい方です。在任年数がお二人とも長いですが、裏口入試には縁遠い学者で名医であります。そして文化祭の行われているキャンパスの隅の方には、美術部同好会がありました。素敵な絵が飾られており、そこに3年生がひとりで立っていました。その美術部同好会の学生に話を聞くと、2、3人だけの同好会だそうです。私がフランス4年間の留学時代にスケッチをしたり、美術に親しんだ話をすると、是非、顧問になってくれと懇願されました。その場で、YESと即答したことを覚えています。その日から、美術部の学生さんとの楽しい日々が、始まったのです。
24Jul
- 東医大の恩師は皆心理学の名医③
  【故新井正治先生元東医解剖学教授】新井先生は、慈恵医大を退官されてから、東京医科大学にて、10年もの間、教鞭をとられた解剖学の権威者です。先生とは、信濃の会（長野県出身学生教職員の会会長）でお逢いしました。会で必ず歌われるのは県歌であり、長野県出身者は国歌より馴染み深いものであります。先生と歌った山の唄や、踊った解剖踊りは懐かしく思い出されます。因みに、ニューヨークのカラオケでも、信濃国の唄は歌うことが出来ます。私が3年生の時は、バイト三昧でした。インターン闘争に明け暮れ、案の定、解剖学の追試に引っ掛かってしまい、新井教授に呼ばれ、激しく叱責されました。解剖学の追試は、全身のどの部分が出るのかが分からず、落第を覚悟していたのですが、先生は僕を怒りながら、やたらと頭を掻いていました。「さては！局所解剖は頭部を出題してくるのかも！？」と、ヤマを張って猛勉強し、見事にヤマが当たり、無事進級することが出来ました。もし落第していたら...。私は、配偶者にも出会うことが出来ず、学生運動にのめり込んでいったことでしょう。その後、縁あって母校の主任教授を18年もの間務めました。私は、たくさんの学生さんを再試で引っ掛けはしましたが、自分の担当している内科学で、原級させた学生さんはゼロでありました。落第者を出さないのが良いか悪いかは別として、新井教授からは、ダイバーシテイな教育が何かを教えられた気がします。
22Jul
- 東医大の恩師は皆心理学の名医②
  【故松尾治亘元学長元東医眼科学教授】私がパリに4年間留学していた際には、毎年学会などで訪ねて来てくれました。私の配偶者が、先生の教え子のこともあり、心配であったのか、お声を掛けてくださりました。パリ郊外のスケッチ旅行のお供など、たくさん可愛がって頂いたものです。先生が、ボソッと言った言葉の中に、「勉強も大事だけど、ピレネー山脈のルルドの泉に行ってみたら、医者として涙が出るよ」というものがあります。涙が出るのは本当か？と思いましたので、早速、車で訪れてみました。谷には、何千人の不治の病と思われる人々が、ミサを聞き、聖水と聖体（ビスケットのようなもの）に群れていました。泉が出る洞窟の周りには、無数の松葉杖が掛けてありました。その光景を目にして、「医者の無力。医者の松岡君よ、驕るなかれ」と、松尾先生が教えて下さったと思いました。浄土真宗である私の目に、涙が溜まったのは言うまでもありません。その後、縁あって、母校の東京医科大学第五内科主任教授選に立候補しました。松尾先生は、私のためにコピーなしの、手書きの推薦状を肩を痛めながら、30人もの先生方に送ってくださりました。私は30数票を取り、トップ当選しました。推薦状のお礼に、お菓子と寸志をお持ちしたが、寸志は突っ返され、「学生の為に頑張りなさい」と仰いました。私は、志半ばにして大学を去っってしまったことを松尾先生に申し訳なく思います。ルルドの泉の松葉杖
19Jul
- 東医大の恩師は皆心理学の名医①
  【故鈴木三郎先生元東医泌尿器科教授】先生には、信州大に来訪された際の偶然の出会いから、長く可愛がって頂きました。先生は、泌尿器科のフランス学派であり、モンペリエ大学にて、共同研究されていましたので、私がパリに留学した4年間の間も、毎年、私を訪ねて来てくださいました。よく有名なレストランで御馳走になったものです。いつもダンディーな先生は、フランス人に間違えられたりもしました。先生が翻訳した「シベール泌尿器科学」は、今や、泌尿器科学のバイブルであります。私のアパルトマンにも、必ず寄って頂きました。先生のお帰りになった後には、日本語の雑誌が下駄箱の上に置いてありましたが、開いてみると、中には100フラン札が数枚挟んであったのです。留学中、頼りになるはパスポートと現金しかないのを、先生もよくご存知であり、ご配慮が本当に嬉しかったことを思い出します。ご子息の故鈴木満先生にも大変お世話になり、東京医科大学病院が、医療事故で特定機能病院を剥奪された時、日本医師会常務理事としてお力を頂いたことは、大学にとっても勲章ものです。鈴木先生の御自宅は、季節のご挨拶に良くお邪魔しました。冬に訪れると、必ずボルドー色のカーデガンを羽織られていました。「海のない信州人は寿司が好きだから」と言って、私に特上のお寿司を出前してくださりました。文京区伝通院の東屋風のご自宅で御馳走になった、あの特上寿司の美味は、東医の先輩の味として忘れられません。
16Jul
- 東医大裏口入学の報道に接して
  私は、東京医大出身者であり、かつての職場であるゆえ、衝撃的なニュースであります。特に、主任教授時代、医学教育を専門にしていましたので、入試の素点に、手を加えた事が信じられません。私は、幼少期より母子家庭に育ち、高校、大学、大学院で、日本育英会特別奨学金生でした。そのお陰で、医師になることが出来たのです。貧乏学生でありましたから、学生時代はバイトに明け暮れました。出席も悪く、友人や、先生方には大変お世話になったものです。縁あって、母校の主任教授になりましたが、裏口入学が出来ない家庭の学生が、大半を占めるような大学なのです。私は、教授として特例で、陸上部、美術部、音楽部といった貧乏部の部長をしていました。よくメシを食わせたり、酒を酌み交わしました。彼らは、貧乏学生ばかりであり、お金がかかるような部活に、入りたくても入れなく、必死に良い医者なろうと、勉強し、そして懸命に生きていました。彼らを思い出すと、今回の事件はあまりにも悲しく、号泣してしまいます。今、患者さんのため、必死に生きている東医出身の医師、在学生のためにも、1日も早く、金権体質から脱皮し、健全な大学として再創生して欲しい。心を揺さぶって願うばかりです。
10Jul
- 老健施設の誓詩に触れて
  先日、2週間という短い期間でしたが、老健施設で代診をして来ました。病院長が、海外出張となったための代診でした。自分自身が、将来患者として入所するかも知れない・・・そんな気持ちで、手弁当で働いてみましたが、むしろ、現在働いている亜急性期の病院において、参考になることばかりでした。その１つが、朝礼で読まれている「誓詩」です。1つ、言葉遣いは「です・ます・ですか」を使用します。1つ、「ちゃん」ではなく、「さん」でお呼びします。1つ、悪口、噂話はしません。1つ、いつも「整理・整頓・清掃・清潔」を心掛けます。以上、これらのことが、現在の急性期の病院で、守られているか疑問です。この誓詩の言葉は、特に中学教育にも必要であり、学校の朝礼にも実行されれば、いじめはなくなるのではないでしょうか。因みに、2週間臨時で働いた老健施設のAの園は、笑顔が絶えない素晴らしい職員に支えられていたことは、言うまでもありません。
29Jun
- Al(人工知能)に勝つには！
  Al（人工知能）は、人間の能力を超えることが出来るのでしょうか？答えはNoです。一般に、AIを擬人化する傾向が強いのですが、今のAIは、人間にとってのツールでしかないからです。今のところ、AIに知識やルールを学ばせて、特定の要素で、AIに力を発揮させています。特に、閃きが求められる仕事や、臨機応変な対応が必須な仕事は、将来も人間が担うことになるでしょう。今日までの日本教育は、詰め込み方式で、表層的な知識は豊富です。しかしながら、文章を精読して、自分の考えを深めるだけの読む力、読解力が更に必要となってきます。かつて、フランスに滞在したとき、友人のお子さんのフランス教育を目の当たりにしました。全ての課題になぜの疑問符がつき、頻繁にディベートが行われていました。この教育手法を初めて見た時、衝撃を受けたことを思い出します。
18Jun
- 患者さんから趣味の演歌録音CDを頂いて
  患者さんから、素敵なものを頂きました。ご自身が歌われた演歌カラオケCDです。お世話になったということでしたが、このようなプレゼントは初めてでした。私は大学生時代からJazzが好きで、Jazzを演奏する事が趣味でありますが、演歌も嫌いではありません。かつて、演歌歌手の医療コンサルタントをしたこともありましたが、CDを頂いたのは初めてのことでした。Jazzは、アメリカ合衆国でいうところの演歌です。特に、合衆国の建国の際には、言葉の違う人々のコミュニケーションに、Jazzが大いに役に立ったのです。先日、映画「ララランド」を観ました。Jazzの話がたくさん出てくるこの映画ですが、昨年、なぜアカデミー賞を獲ることが出来なかったのでしょうか。Jazzの感性を擽る、本当に素晴らしい映画でありました。今、患者さんに頂いたCDを聴きながら、筆を走らしています。病に侵されてるのに、素晴らしい哀愁の曲を歌い上げられています。私の筆も、思わず涙で滲んでしまいました。映画「ララランド」公式ホームページより
14Jun
- 小学生の運動会の思い出
  私の小学生の時は、もっぱらガキ大将の悪ガキでした。母子家庭であったため、母親を泣かせてばかりいました。祖父は、父親代わりでしたが、私の好きな様にやらせてくれて無干渉でした。勉強は中くらいでしたが、運動は大好きで、寒い冬でも外を飛び回っていたものです。松本市の深志神社では、長靴に竹スキーを付けて楽しみ、学校の校庭にはスケートリンクが出来ていたため、下駄スケートで遊んでいました。運動会はいつも花形でした。小学校1年の時、母と別れた父の姿を校庭の隅に見つけました。別れてからは、離れて暮らしていましたが、子供を見ることが出来るのが運動会だけなのか、父は、校庭の隅から私を見ていました。その視線を思い出すと、ほろ苦い思いになります。家族を捨て、好きな女性に走った父を、許せた瞬間が運動会であったのかも知れません。運動会で最も忘れられないのは、やはり母の手作り握り飯が美味であったことです。母は、どんなことがあっても、一番強しです。
10Jun
- ハワイ永住の難しさ
  長年、ハワイ大学で教鞭を取り、カメハメハ病院で臨床を行っていたN先生が、この度、ご家族皆様でハワイから日本へ引き上げて来られました。そして、先日、久しぶりに一献交えながら、話を聞く機会がありました。奥様が、慢性疾患の膠原病を患い、莫大な医療費がかるため、二進も三進もいかなくなり、日本に引き上げて来られたそうです。米国では、医療に携わる彼でさえも大変であるということです。例え、悠々自適の人でも、医療費は莫大であり、日本の医療費とは比でありません。元日本医師会長武見太郎先生の功績がいかに大きいか気付かされます。戦後の日本、資本主義社会が構築されていく中で、敢えて自費診療でなく、社会資本主義である国民皆保険制度を導入されました。現在、国の予算を医療費が圧迫しているのは事実です。しかし、我々医療人こそが、弱者である患者さん側に立ち、国民皆保険制度を死守する信念が必要だと思います。
05Jun
- 45からの睡眠不足は若年性認知症(MCI) のはじまり
  認知症の患者さんに既往歴を確認すると、若い頃の睡眠障害を経験していることが多いことが分かります。子沢山による睡眠不足・・・仕事、仕事による睡眠不足・・・などなど・・・認知症は脳の老廃物であるアミロイドβが蓄積し、海馬機能が障害が起きる病気です。海馬は記憶を行なう場所で、睡眠中に記憶が行われます。そして、脳の老廃物であるアミロイドβも、睡眠中に代謝されます。睡眠不足の人は、45才頃からアミロイドβの蓄積が始まり、少しずつ海馬の記憶機能が衰え、結果として、徐々に認知症に進むのです。認知症の患者さんは、玉ねぎでいう芯の部分にある、過去に蓄積された記憶は覚えています。幼い時の記憶が鮮明であるのにもかかわらず、玉ねぎの皮の部分は忘れてしまいます。例えば、先程玄関の鍵を掛けた事を忘れ、ガスの栓を閉めたことも忘れ、家に戻る事を度々行なうようになります。玉ねぎの皮を剥く様に、ボロボロ物事を忘れるのであります。晩年の祖母が、オレオレ詐欺に引っ掛かり、送金をさせられていました。物忘れを感じる方、送金は慎重に！
28May
- いびきは体の赤信号
  先日、都市型温泉サウナに行き、その後、仮眠室に寄りました。50人くらいの男子が休んでいましたが、どの場所でも、「いびき」がステレオのように聞こえて来ました。お陰で、一睡もすることが出来ませんでした。よく新幹線最終列車内で、若い男性が、轟音でいびきをかいている場面を見かけます。「実は、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあり、放っておくと、心筋梗塞や脳梗塞など、突然死で亡くなるかもしれない。だから検査を受けるように！」この若者を起こして、説明したいという思いにかられていました。今回の仮眠室での経験から、現在、外来で診察している睡眠時無呼吸症候群の患者さんをさらに増やし、突然死を減らさなくてはいけないという使命を感じました。そして、医学会で啓蒙活動を行い、年齢問わず陸海空の運転手さん、会社の企業戦士など、会社検診の項目に、血圧測定や心電図と同じく、簡易法睡眠時無呼吸検査を入れるべきである、と、つくづく思いました。睡眠時無呼吸症候群が原因で起こった事故は、山陽新幹線、スペースシャトルのチャレンジャー号などが有名でありますが、ご主人様が若くして心筋梗塞や脳梗塞で突然死した奥様は、皆人生の悲哀を一身に受けています。「いびき」されど「いびき」。「いびき」は「雑音」から、れっきとした病気に昇格？したのです。
20May
- Jazz アルトサックスの師匠菅野浩先生の素晴らしさ
  昨年、縁があり、川崎医師会JAZZ同好会に入りました。同好会は、大変レベルが高く、そして、伝統があり、既に通算18回の定例会が催されているそうです。代表者は精神科医で、プロのボーカルとしても活躍さらています。ベースは耳鼻科医で、時々ライブをされています。お二人とも、医者と演奏家であり、天は二物を与えるほど素晴らしい方々です。私自身も、大学時代にJAZZをかじり、アルトサックス奏者を夢見ていました。医師になってからは、たまに病棟慰問で演奏するくらいで、最近はすっかり、ご無沙汰しておりました。（ブログ2017年7月4日参照）この際、奮起して、医師会同好会についていけるよう、プロの先生を紹介していただきました。その先生が、菅野浩先生です。先生は、第一線で活躍されており、日本で3本の指に入るアルトサックス奏者です。既に、数回レッスンを受けました。私自身はと言いますと、素晴らしいレッスンにも関わらず、なかなか上達出来ず、出来の悪い生徒でありますが...。先生のライブは、時々拝聴しています。ニックネーム「ポール」の如く、世界的アルトサックス奏者のポールデスモンドとそっくり、いや、それ以上であります。先日の横浜でのライブは、浜らしいジャズで、心臓を揺さぶるような感動を覚えました。菅野浩先生
16May
- 運動と脳
  運動をすると、脳の前脳前野が働いて活性化します。前脳前野は、ワーキングメモリーを携わる場所であります。ワーキングメモリーとは、脳の働きの一つを指し、「作業記憶」あるいは「作動記憶」とも言えるものです。人は、何かを作業する時に、過去に経験した記憶を参考にしながら、複数のことを同時に行っています。運動をしていると、前脳前野にて、脳活性化が行われます。運動して、活性酸素を増やす事により、更なる代謝復活となります。脳化学の世界的権威者である久保田競先生は、90才になっても、京都の街をジョギングしていました。ちなみに、先生が執筆された脳活習慣の本には、①思い出す習慣は、前頭葉を使うので、習慣として良い②歌うことは、脳活性化に良い。詞やメロディーを思い出すので作用が良い③指を動かす作用は、前頭前野を使うので良いなど示唆に富むお話があります。脳の萎縮は、60才で始まります。運動している人は、アルツハイマーになるのが遅く、運動により、海馬の細胞が増えていきます。食べものは、コリンを含むものが良く、地中海食、魚、豆、ワイン、オリーブが脳細胞に良いそうです。適度な運動とよい食事が、脳を活性化するのであります。
12May
- 日野皓正のジャズコンサートを聴いて
  私の趣味は、ジャズを聴き演奏することと、絵画を鑑賞し絵画を描くことです。かつて、4年間パリ大学に留学したとき、美味なワインを飲みながら、ジャズを聴いたり、絵を見ていました。その習慣が抜けないのせいなのでしょうか。今だにジャズを聴き、絵を観に行きます。趣味として、かつてゴルフをしましたが、人に気を使うタイプ故に、周りに気を使ってしまい、どうも熱中出来ませんでした。その点、音楽と絵画の社会は、自分だけの社会で楽しめ、演奏したり描くという行為には生産性があり、没頭出来るので、全ての事を忘れられる。先日、久しぶりに日野皓正氏の演奏を聴きました。76才と信じられない肺機能であり、スイングなアドリブは拍手喝采でした。私もジャズを嗜みますが、このところは忙しさにかまけてアルトサックスを休んでいました。菅野浩先生のレッスンを復活しようと思います。
08May
- 情報過多による素人診断の怖さ
  患者さんの多くは、自分の症状から、医師の診察を受けます。昔は診察前に、「家庭の医学」をさらっと読んで、医師を訪ね、医師を信頼して、そして、医者の診断に委ねていました。現代社会では、簡単にスマホで、専門医学書と同じ情報を得ることが出来ます。そのため、重い疾患であるにも関わらず、軽く考えて診察前に診断をつけてくる患者さんが少なくありません。医者も、患者さん本位の医療故に、ついつい仰る通り、となってしまい、考えず、裏付けの検査をせず、安易に診断してしまう傾向にあり、これが誤診に繋がってしまうことがあります。私の恩師である、故戸塚忠政先生（元信州大学第１内科教授）は、「患者さんの症状を天与の声と思い、その言葉を意味ずけしなさい、安易に診断付けてはいけない」と仰いました。医者は何年も勉強してきていますが、図書館ほどの情報はありません。「スマホ医学書から得た、頭でっかち患者さん」には、どう対応すればよいのでしょうか？そんな時、私の役に立っているのが、実践心理学であり、患者さんとのラポール「信頼」関係構築こそが重要であります。今日の診察も、3分診療にせず、電子カルテばかりに向き合わず、患者さんの症状である天与の声をアイコンコンタクトしながら傾聴しようと思います。
04May
- 画伯は皆さんお元気
  ある総合病院で拝見している、女子美大名誉教授の金山桂子先生が、先日、転倒して頭部を打ち、脳外科に入院されました。３月9日のブログでも書きましたが、親友の磯山君が、転倒してこの世を去ってしまいました。それ故に、転倒した金山先生も大変心配しました。幸い大事に至らなく、みるみるお元気になり、胸をなでおろしています。先生の素晴らしい作品は、明るく透明感があり、生命力に溢れています。そんな作品を描きたい気持ちが、病気の回復に繋がっているのだと思います。生き方が身体に及ぼす影響は、極めて重要であり、名医シンドラーの実践心理学でもあります。かつて、パリ大学に留学した時、数名の画伯と友達となりました。皆さん人柄が良く、明るく生命力に溢れていました。美しい作品をたくさん残したい心理が、健康な身体となるのでしょう。第4回日展（2017）「二つのイチジク皿」金山桂子先生
30Apr
- 実践され臨床応用される研究こそ評価対象
  医学部に長年勤務していましたが、基礎講座で行われていた研究は、往々にして、研究のための研究であり、「ネズミとご挨拶ばかりしていて実践的でない」と批判されています。一方で、医学部においては、臨床学から出た研究こそが、患者さんに直接的に役に立つということで、その評価は高いものとなっています。若かりし頃、パリ大学に4年間、信州大学に10年間、防衛医科大学に12年間在籍していました。当時の研究は、臨床呼吸生理学での研究であり、肺機能検査や飲み薬、貼り薬、吸入薬などの分野で、呼吸器疾患の患者さんに使用されています。最も評価された研究は、運動負荷喘のメカニズムを冷気吸入で研究した論文です。この論文は、ハンガリーのブタベストで行われた、第28回国際生理学会（1979年）で賞をいただいた研究でした。ブタベストの帰り、パリで恩師Htzzferudo先生と、「ボンサンテ乾杯！」と言って、テタンジェのシャンパンを飲みました。あの美味を今でも忘れられません。
26Apr
- 添削と削除改ざんの違い
  以前、大学の病院長をしたり、主任教授をしていた時には、よく書類の添削をしたものです。博士論文の添削は、データそのものを改善してはいけませんが、解釈なり、読者が解るように添削しました。また、病院の公的文書も、数字を改ざんしては犯罪ですが、その解釈で、文章を添削し、理事会等で分かりやすくするために、よく見直しました。料理で言えば、原料は同じでも、スープの違いで、フランス料理にも、イタリア料理にもなるのです。森友問題では、国の公文書が、忖度とは言え300箇所も、削除改ざんされたとは信じ難いものです。日本の官僚は、国民を騙さない優秀な人材と思っていたが。とても残念です。