故鈴木三郎先生   元東医泌尿器科教授

先生には、

信州大に来訪された際の偶然の出会いから、

長く可愛がって頂きました。


先生は、泌尿器科のフランス学派であり、

モンペリエ大学にて、共同研究されていましたので、

 私がパリに留学した4年間の間も、

毎年、私を訪ねて来てくださいました。


よく有名なレストランで御馳走になったものです。

いつもダンディーな先生は、

フランス人に間違えられたりもしました。


先生が翻訳した「シベール泌尿器科学」は、

今や、泌尿器科学のバイブルであります。


私のアパルトマンにも、必ず寄って頂きました。


先生のお帰りになった後には、

日本語の雑誌が下駄箱の上に置いてありましたが、

開いてみると、中には100フラン札が数枚挟んであったのです。


留学中、頼りになるはパスポート現金しかないのを、

先生もよくご存知であり、

ご配慮が本当に嬉しかったことを思い出します。


ご子息の故鈴木満先生にも大変お世話になり、

東京医科大学病院が、

医療事故で特定機能病院を剥奪された時、

日本医師会常務理事としてお力を頂いたことは、

大学にとっても勲章ものです。


鈴木先生の御自宅は、

季節のご挨拶に良くお邪魔しました。

冬に訪れると、

必ずボルドー色のカーデガンを羽織られていました。


「海のない信州人は寿司が好きだから」と言って、

私に特上のお寿司を出前してくださりました。

文京区伝通院の東屋風のご自宅で御馳走になった、

あの特上寿司の美味は、

東医の先輩の味として忘れられません。