JR東日本の交直流通勤形電車で、常磐線で活躍していたE501系のうち8両が九州に向けて甲種輸送されました。JR九州への譲渡の場合、下関ー小倉間などを走る交直流近郊形電車415系1500番台を置き換えへつながる可能性もあります。今後が注目されるE501系を9月12日に下関駅で見てみました。

 

 

夜のJR下関駅を通って九州に向かう甲種輸送中のE501系。うわさは以前から聞いていましたが、本当にこの顔を本州西端で見ることになろうとは…

 

 

 

E501系は常磐線向けに1995年に登場しました。当時京浜東北線向けに量産されていた209系に似た外観で、交流電化の取手以北に直通できるよう、通勤形電車では初の交直両用となりました。勝田車両センターの所属で、現在は水戸駅以北でわずかに運用されています。

 

今回九州入りしたE501系は、97年製のK752、K753編成(5両編成)からサハE501形を抜いて4両編成とした計8両で、甲種輸送は9月9日に郡山車両センター(福島県)を出発。途中、大雨などで抑止となり、12日夜に小倉総合車両センターに到着しました。

 

 

下関駅を通過するE501系の甲種輸送。けん引を担当したEH500-65は仙台から門司に移ってきた東日本エリアゆかりの機関車。もしかするとE501系を出迎える演出だったかも…と考えてしまいます

 

 

 

関門間は交直流電気機関車EH500-65がけん引。19時前に通過した下関駅では、数十人の鉄道ファンがカメラを構えていました。筆者は仕事があって諦めていましたが、甲種輸送の日時が遅れたために見ることができました。

 

E501系は関門トンネルを抜けて九州入りすると、門司駅では17年近く前に同様に常磐線から移ってきた「先輩」の415系1500番台Fo1501編成(元K525編成)と「再会」したようです。偶然とは思いますが、こういったドラマはうれしくなります。

 

 

JR東日本の車両らしさが感じられるクハE500-3。西日本エリアで見ると本当に新鮮です

 

 

エメラルドグリーンの帯や車番が剝がされたクハE500-3。今後、車番や外観がどう変わるか注目されます

 

 

 

九州入りしたE501系は今後どこで活用されるのでしょうか。JR九州の公式発表はありませんが、同社への譲渡を考えると、交直流電車が必要なのは直流電化の関門トンネル区間に直通する下関ー小倉間の列車となります。

 

現在は国鉄末期の86〜87年に製造された415系1500番台が活躍しています。しかし、来年以降に製造から40年を迎え、後継車両が注目されています。

 

 

下関—小倉間の列車に充当される415系1500番台。国鉄末期の新車も、気づけば車齢40年が迫っています。写真は常磐線から移ってきたFo1501編成=小倉駅

 

 

※最近の415系1500番台

 

 

 

ただ、関門シャトル運用は今回のE501系2編成では足りないことから、もし本当に関門間で使われる場合は、今後数編成が追加譲渡される可能性があります。

 

それでも、現在4両編成14本が在籍し、鹿児島本線でも活躍する415系1500番台の全運用はこなせません。そのためE501系は乗降ドア数の関係もあり、関門・北九州地区専属となるかもしれません。

 

また、E501系の内外装のデザインや形式名がどう変わるかも気になります。個人的には「501」の形式自体はそのままが良いように感じますが、今後に注目です。

 

 

勝田車両センターで657系(右)と休むE501系。常磐線に残る10両編成4本の今後も注目されます。九州への転身第2陣はあるのでしょうか=9月13日(友人提供)

 

 

 

現在下関駅を発着する定期列車は「国鉄形」のみで、JR西日本227系の下関地区への投入次第ですが、E501系が初の「JR形」になるかもしれません。

 

個人的には東京在住時に親しんだ「209系顔」が再び日常乗れるようになるのは楽しみですが、一方で長年乗ってきた415系1500番台の終わりも見えてきそうで、寂しさが募ります。

 

 

※小倉総合車両センターに入場中のE501系と東京臨海高速鉄道の70-000形

 

 

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