JR東日本からJR九州に譲渡された415系交直流近郊形電車で唯一現役で残る1500番台のトップナンバーFo1501編成。2023年末に1年2カ月ぶりに運用復帰し、今年5月には全般検査も施工されました。同編成に乗車して特徴を見てみました。

 

 

 

415系1500番台のトップナンバーでJR東日本からの譲渡車のFo1501編成=下関駅

 

 

 

415系1500番台は1986(昭和61)年に登場。現在は九州地区のみに残り、大分車両センターに4両編成14本が在籍しています。

 

かつてJR東日本に在籍し常磐線で活躍した1500番台のトップナンバーFo1501編成(元K525編成)は、2009年に九州にやって来ました。22年10月に運用離脱しましたが23年12月に復帰。現在も関門・北九州、福岡エリアで注目を集めています。

 

 

115系3000番台のN-01編成(右)とトップナンバー同士で並ぶ415系1500番台Fo1501編成。下関地区の山陽本線では国鉄形による乗り継ぎが楽しめます

 

 

 

私が乗車した日、Fo1501編成は下関—小倉を何往復もするシャトル運用に入っていました。特にチェックしていなかった分、14分の1の確率に当たるとうれしいものです(同行していた家族は同じ電車に見えたそうですが…)。

 

今回の全検でも1500番台初期型の特徴である、側面の行き先表示器横の車端部にビード加工と帯がないところは変わっていません。ただ、以前から転落防止ほろの帯色撤去や冷房装置の変更などが行われていて、常磐線時代の面影は年々薄れているようです。

 

 

モハ415-1501の車番。昔のフォントのままで懐かしい思いです

 

 

現存する415系1500番台で唯一見られる、行き先表示器横の車端部に帯とビード加工がない形状(写真左側の部分)。Fo1501編成を容易に識別できるポイントです

 

 

 

客室内は、九州地区に直接投入されたFo1509編成以降とは異なる、乗務員室背面仕切り壁の窓が小さいことや、天井部に張り出した車内放送用スピーカーなど初期型の特徴が残っています。

 

私が乗ったのは休日で乗客が多かったため、Fo1501編成の細部をじっくり見ることはできませんでしたが、平日の関門シャトル運用では朝夕を回避すると空いている時もあります。特に下関駅改札に最も遠い下り方先頭車クハ411-1601は観察に適しているかもしれません。

 

 

Fo1501編成のクハ411-1601の乗務員室背面の仕切り壁。3枚の窓が小さいのが特徴です

 

 

【参考】Fo1510編成のクハ411-1610の同部分。窓が大きくなっているのが分かります

 

 

Fo1501編成の車内放送用スピーカー。出っ張ったタイプになっています

 

 

Fo1501編成のトイレのドア横には鏡があります

 

 

 

415系1500番台は、同系鋼製車の運用離脱後はJR九州唯一の交直流電車として、直流・交流の切り替えがある関門トンネル区間では欠かせない存在です。最近は運用が増えたようで、鹿児島本線でも以前より見かけるようになりました。

 

JR九州の個性的な電車群に比べるとおとなしい印象の415系1500番台は、細かい部分を除けば国鉄末期の新型車両の形態をよく残しています。特にFo1501編成は常磐線時代に親しんだ方々にはなじみがあり、来歴を知るファンからは今後も注目されそうです。

 

 

下関駅を発車した415系Fo1501編成。今後も長く活躍してほしいものです

 

 

 

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