名鉄瀬戸線の写真集 | 書斎の汽車・電車

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インドア派鉄道趣味人のブログです。
鉄道書、鉄道模型の話題等、つれづれに記していきます。

 久しぶりに、ガチ(?)な鉄道書をご紹介しようと思います。

 モデル8の「模型製作参考資料集」シリーズの1冊『600V時代 名鉄 瀬戸線の車輌たち』です。

 

 600V時代の名鉄瀬戸線といえば、とにかく「離れ小島」的存在で、走る車輛は独特でしたし、沿線風景も特に名古屋城三の丸のお濠の中を走る区間は有名でした。

 この写真集は、その名鉄瀬戸線昇圧前の車輛を取り上げたものです。沿線風景の写真も巻頭にありますが、本町駅付近の「ガントレット」の写真はさすがにありますが、大津町~土居下にあった通称「サンチャインカーブ」(曲線半径60mというほぼ直角に曲がるカーブ)の写真はなく少々残念ではあります。まあ、この時代の車輛写真集ですから、致し方ありませんが。

 

 さて、その車輛ですが、モ700形、モ750形という、その後は揖斐・谷汲線で余生を送ることになる電車がまず登場します。この電車、昇圧前夜の1970年代半ばでも相当のオールドタイマーといった印象です。実際に乗ったこともありますので、好きな電車ではあります。モデモから出ていた緑色仕様が欲しくなってしまいます。

 元東美鉄道デボ101というク2191も、側面の丸窓がアクセントになったいい電車です。また、元三河鉄道の流線形ガソリンカー改造のク2222のユーモラスな姿も紹介されています。

 知多鉄道のデハ910形を前身とするモ900形が、この時代の名鉄瀬戸線の「白眉」と言えましょう。ク2300形、ク2320形と編成を組み、スカーレットに白帯を巻き「特急」として活躍したその姿は、正に千両役者!名鉄電車というとお気に入りも多い小生ですが、その中でも本車は別格かも知れません。

 そんな瀬戸線のスターたちですから、本書でもこの3形式については形式写真や細部写真をたっぷり紹介していまして、ファンとしてはたまりません。「鉄コレ」なんかで出ていれば、迷わず購入するところですが、ちとマイナー過ぎますかね。

 その「鉄コレ」製品が存在するモ3700形、ク2700形ももちろん登場します。600V時代の瀬戸線では最新鋭の電車(吊掛車ですが)となります。当鉄道では、製品発売と同時に購入し、瀬戸線を気取って白帯を巻きましたが、後に名古屋地区限定で白帯車が発売された模様です。モ900形の前ではどうしても影が薄い印象ですが、こちらも姿の佳い電車です。

 本書には、昇圧直後に投入された3780系、6600系も出てきます。これらは昇圧に備えて運び込まれて留置されていた時に撮影されたもののようです。特に6600系は「デビュー前の秘蔵写真」といったところでしょうか。

 

 電機(これまた味のある凸電)、貨車そして台車の写真でしめくくりとなりますが、何分個人的に思い入れたっぷりの瀬戸線の車輛写真集ですから、大いに楽しめました。欲を言えば各車の簡単な車歴表があるとよかったのではと思いますが、ともあれ私鉄電車ファンの方には特にお薦めの写真集です。