ぼくの秘密日記 -36ページ目

不便(その4)

視界が明るくなったが、いくら店を見渡しても、ワタシには、さっきまで誰がメガネを薦めてくれていた店員なのかさっぱりわからなかった。

しかし、暗い顔で目を細め、絆創膏と包帯にくるまれた両手をしたワタシは、かなり強烈なんだろうと思う。
更にさっきはレトルトカレーの入った袋をぶら下げて、怯えるように歩いていたはずだ。

かなり憐れで不便そうに見えたに違いない。

老後に不便を感じたら、メガネをかけずに包帯を巻いて外出したらよいのかも。
入院させられないように注意は必要だが。

こんなワタシでも受け止められる人さえいればワタシは不便じゃなくなるのかな。

不便(その3)

しかし、照れ屋のワタシはできるだけ地味なメガネにした。
すると更に、メガネの調整に普段は45分かかるところを30分で済ませてくれるという。
その間に福引ができるからと、先に福引券を渡してくれた(メガネ代が元手だ)。
福引をしにいったが、さっぱり訳がわからない。
なにしろほとんど見えず、当たりの商品名が読めないのだ。
仕方ないから言われるがママに3回福引を回す。
赤2つと白1つがでた。
赤は2つの入浴剤になり、白はレトルトカレーになった。
やっぱりそれも見えないので、ワゴンから袋に積めてもらう。
メガネ屋に戻り、出来たメガネをかけてようやく世界が見えた。(続く)

不便(その2)

しかし、見た目が不便な状態でいると、周りがいろいろ助けてくれるのは有り難い。

事故の晩のタクシー運転手は、自宅近くでコンビニにバンドエイドを買いに寄り道したワタシを「雨が降っているから待ってます」とメーターを止めて待っていてくれた。
顔が血まみれで憐れだったのかも知れない。
今日のメガネ屋の店員は、ワタシの顔と事件の説明に大変同情してくれた。
その後、店員が入れ替わり立ち代わり、メガネをいろいろもってきては目がよく見えないワタシの代わりに'似合う''似合わない'の評論をしてメガネを選んでくれた。
明るい色のメガネの方が評判がよかったのは発見だ。(続く)

不便

'不便'とは普段なにげなくできることができないことである。
そのことを身をもって体験中だ。

いつもは何気なくしている行動が、打撲により、握力を使うと激痛の走るワタシにはかなり障害になっている。
トイレでパンツを下ろすときでさえ、握力を使っていたことに気づいたのは驚きだった。
いずれはぜひ論文として発表したい。

その他には風呂場でシャワーのノズルを握るとか、ヤカンの湯を移しかえるときも握力を使っていた。
握力を測るための単位として、今後は'イタ'を使うことを提唱したい。
爪を切るのは'イタ'程度だが、これがクツヒモを結ぶと'アイタタタ'と変わるのだ。(続く)

痛みに耐える(その4)

かくしてワタシは、今年の十大ニュースを飾るにふさわしい事件を、今年も残すところ後少しというところで引き起こしたのである。
プロジェクト本番直前に酔って自転車で転んで、顔面中を擦り剥いた事件を彷彿とさせる。
あれは2003年の暮れだった。
3年近くたってから、今度は骨折とは。

昔からいろいろと事件を引き起こしてきたが、さすがにそろそろ一生分は経験したつもりだったが甘かった。

そして今、傷だらけの顔と手をみながら、ワタシはベッドで仰向けに携帯電話をいじっている。
近い将来、ワタシの前に白衣の天使が現れることを切に祈りつつ。

…階段のドアホー(ToT)

痛みに耐える(その3)

その瞬間、ワタシは宙を舞っていた。

さようなら、ワタシの人生よ。
走馬灯のようにワタシの過去がナガレテイク。


そんなわけあるかい。
ワタシはゆっくりスローモーションで、でんぐりがえりながら階段をころげおちた。

気がついたら階段の最後の段にキスをしていた。
踏ん張れないどころか、オシリをつくのを避けようとしたら、前回りに転んだので受け身ができなかった。

被害は想像以上だ。
顔面を強打し、眼鏡を破損(フレームが砕ける)。
更にフレームで右顔面を深くえぐる。
両足の膝打撲。
右手の小指骨折。
左手全体打撲の上、手首軽い捻挫。
各指の関節は擦り傷だらけ。(続く)

痛みに耐える(その2)

昨日は、小雨が降っていた。
帰宅時に同僚と一緒になり、二人で駅まで歩いていた。

途中、雨宿りがわりに居酒屋に寄り道する。
二人で他愛もない話をして、二時間程盛り上がった。

外の雨はやみそうもない。
雨があがるのは諦めて仕方なしに帰路に着くことにした。
会計を済ませて外にでる。
小高い斜面の途中の店で呑んでいたので、駅のあるところまで階段を降りなくてはいけない。


…やはりワタシは階段が弱点だった。
最初の一歩で既に靴のかかとのブレーキは機能しなかった。
タイルで出来た階段の上を滑っていく革靴の制御はもはや不可能だった。(続く)

痛みに耐える

ワタシはいま、痛みに耐えている。

誰も誉めてくれないので、自我自賛したい。
顔はコワバリ、指は擦り傷と打撲で動かない。
手首はよく見るとズンドウにみえる。
魔法使いサリーちゃんの手足のようだ。
腫れあがっていて、あるべきくるぶしがない。

普通赤ちゃんでもニギニギはできるはずだが、ワタシはひどい痛みでできない。

そのような不幸な事態がワタシを襲ったのは、昨晩、某駅に至る階段の一番上だった。


昨日、ワタシはご機嫌だった。
少なくとも恐怖の落下事件が起きるまでは。
それは冬の冷たい雨が降る中で起こった、とても寂しくて哀しい出来事だった。(続く)

ワタシの常識(その3)

実直で物静かだが、その頭脳の記憶回路は恐ろしい性能だ。
しかし、彼のデータベースには致命的な欠点がある。
基本的に内容が某スポーツ紙に依存し、高校野球を始め、競馬の血統やレース結果(予想は含まない)といった記憶なので、ビジネスや学問として評価されないのだ。

ただし、ワタシは彼の能力を大いに称賛したい。
限られたコミュニティ内でしか通用しなくてもこれはある種の才能なのだ。


ワタシもなにか才能があるはずだ。

…もう16時か。

世間的に、遅刻は非常識な行為だが、どこかのコミュニティで常識として受け止められないかな。
いま、出社中にそんなことを考えている。

ワタシの常識(その2)

恥をかいたが、残念ながらワタシの行きつけの店には、'シーザーサラダ'がなかった。

一体'常識'とはなんなのか。
似た社会に属する人間の共通語やルールをそうくくっただけではないか。

ワタシの知り合いにスーパーマンがいる。
彼は頭の中に数十年分の様々な情報が、データベース化されている。
一度記憶するとそのあらゆる記録が、瞬時に思い出せるのだ。
才能の片鱗を見せる逸話としては、彼はいくつもの麻雀ゲーム店に出入り禁止になった。
ゲームのアルゴリズムを記憶してしまうため、何度かやるとパターンを理解して負けなくなるからだ。
結果、店は大損してしまうことになる。(続く)