トレーニングを進めていくと、教えた動きがどんどん上手くなる場面に出会います。

挙げられなかった重さを挙げられるようになったり、タイムが上がったり、バランスがとれるようになったり。

もちろん上手くできるようになった動きをそのまま続けることにもある側面では意味はありますが、多くの場合はそれだけでは上手くパフォーマンスは向上しません。

 

 

 

そこで次は「負荷」を上げるというプロセスに移行するわけですが、このときに考えるべきことは、「負荷」とはなんぞやということ。

 

 

「トレーニング」という言葉から連想される「負荷」は、多くの場合は強度の向上でしょうか。

トレーニングにおける強度とは扱うウエイトの重さを上げる、または反復速度を上げる、反復回数や時間を長くするなどが一般的です。

もちろんそれそのものはトレーニングの負荷を上げるためのファクターとしては適切です。

 

 

ただこのとき考えておかなければならないのは、トレーニングの負荷には「複雑性」という負荷も存在するということです。

 

 

 

例えば、同じリズムでスクワット動作を繰り返すのではなく、そこに「リズムに合わせて」というタスクを追加する、目線を指定するなども、複雑性という観点から見れば負荷の増大にあたります。

 

 

 

つまりトレーニングの複雑性とは同時に実行するファクターを増やすということです。

同時実行能力です。

ボディメイクではなくスポーツのパフォーマンスを向上させるという観点から考えると、この同時実行能力は非常に重要です。

もちろん競技の特性にもよりますが、優れた選手ほど同時に実行できるファクターは多い。

例えばサッカーだと目の前の相手に対処しながら味方の動きやスペースを見たりします。

身体面だけに絞ったとしたらバランスを保ちながらスピードやパワーを発揮したりです。

 

 

*僕はこれをアブレスト能力と名付けてトレーニングの対象としています。

 

 

 

どっしり構えてパワーを発揮することに集中できる場面は、サッカーやテニスなどフットワークが要求されるようなスポーツではほぼありません。

もちろんパワー発揮だけに集中するフェーズは必要だったりもしますが、それ”だけ”では「試合」で使えるパワーには繋がらないことも理解しながら行う必要があります。

 

 

 

***

 

 

 

一般的に、持ち上げるウエイトの重さなど適切な負荷を超えると、身体操作は粗雑になる傾向が強まります。

つまり力任せになったりするということです。

フルパワーで、となると聞こえはいいですが、本来その動きで使うべき筋肉や関節が上手く機能しないまま他の”自分が使いやすいところ”を大動員してパワーを発揮するパターンが起こったりします。

 

このことは多くの場合、試合ではボールコントロールの低下とセットになったりします。

力一杯蹴ったシュートや、力一杯投げたボールが必ず良いボールかと言われると、必ずしもそうとは言えないのがスポーツです。

また、力任せでのパワー発揮が怪我につながるケースもあります。

参照:ハイパフォーマンスゾーン

 

 

 

人間の動きや力の発揮パターンが学習機能と深く関連している以上、過剰な負荷でのトレーニングは、試合でのそんな動きを引き起こしてしまう可能性もあるわけです。

 

 

 

それゆえトレーニングでは適切な負荷で行うことが絶対的な原則になっているわけですが、複雑性が過剰になってしまっても同じことが起こります。

筋力的には問題なく無駄な力みなくスムーズに行えていた動きでも、複雑性が上がるだけで急に力み出したり雑な動きになってしまうケースは多々出会います。

*パターンが出る、ともいいます。→「パターンの破壊と構築」

 

*取扱注意;クロスロールプッシュアップ

 

 

 

トレーニングを指導する立場としては、この点には非常に注意が必要です。

雑な動きのままそれをひたすら繰り返すことでそのような動きが身体に組み込まれてしまったり、元々持っているよくないパターンが強化されたりというケースに繋がるからです。

 

 

 

そういった理由で「トレーニングには下ごしらえが必要だ」と繰り返しているわけです。

動画などで見つけたトレーニングを見よう見まねで断片的に繰り返すだけでは、パフォーマンスに繋がらない理由の一つです。

本当にトレーニングをパフォーマンスアップにつなげていくためには、論理立てた手順と評価が不可欠です。

*もちろん「修正能力・適応化能力」をタスクにしたトレーニングにおいては、敢えて高い難易度の複雑性負荷を与えることもあります。

 

 

 

いずれにせよ、負荷を上げるという作業はトレーナーとしては必ず出会う課題であり、負荷は単に筋肉やタイムや重さだけを見ていてはパフォーマンスアップとは解離していく可能性があることを理解した上で負荷を考える必要があります。

 

 

 

 

 

 

全てはパフォーマンスアップのために。

 

 

 

 

 

中野 崇

 

 

 

 

追伸

【上手くできる=身についた】

では絶対にありません。

新しい技術・動き方が上手くできるようになっただけでは、「身についた」とは言えません。

本当の意味で身についたという状態は、他のことをしながらとか、他のことに意識を集中していても出来るという状態です。

特にスポーツでは必須です。

 

 

 

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