こんにちは。

スポーツトレーナー協会JARTA代表の中野崇です。

 

 

 

前回記事まで、

トレーナーとお金の話(コチラ

トレーナーとルールを作る者の話(コチラ

と話を進めてきました。



 

前回ご案内した講義資料の無料ダウンロードがパスワードの不備などでご覧いただけなかった方が多かったようで、大変申し訳ありませんでした。

改めて。→コチラ。

 

 

 

今回は、トレーナーの現状と市場価値について。

 

 

 

トレーナーといえば、身体や動きを扱う専門職の領域にあるため、どうしても知識や技術に没頭する傾向にあります。

 

それはもちろん非常に重要なのですが、考えてみればそんなことは「当たり前」の基準のはず。

 

個々が生き残り、業界そのものが生き残っていくためには、専門領域に加えてもっと俯瞰した視点が必要です。

 

 

 

トレーナーといえば、専門家の間ではメディカルとフィジカルに大別されています。

 

フィジカルの間では、ボディメイクの分野とパフォーマンスアップに分類されます。

 

 

 

しかし、世間的にみれば、どれも全て「トレーナー」。

「何か違うの?」というのが一般的です。

 

 

 

テレビのダイエット企画に登場するトレーナーも、プロのトップアスリートのパフォーマンスを支えるトレーナーも、世間的には、同じ「トレーナー」。

 

 

 

つまりやっていることはほとんど同じだと思われています。

 

 

 

まだまだそんな認知度なのです。

我々はまずそのことを深く認めなければなりません。

 

 

 

そして、昨年政府が発表した「日本再興戦略2016」。

スポーツ庁・経済産業省が関わります。

 

 

 

「2025年までに、スポーツ産業市場規模を2012年時点での5.5兆円から15.2兆円に拡大する」という目標を掲げています。

 

 

 

これまでスポーツ産業は、ほとんどが広告扱いで直接的に利益を期待しない「コストセンター」という扱いでした。

 

 

 

しかし、政府のこのような指針の元、多くの企業で今、直接的に利益が期待できる「プロフィットセンター」という扱いに変化しているのです。

 

 

 

実際、上記省庁が発表しているデータでは、市場規模で先を行くMLBやプレミアリーグがその方針の元に市場を5倍近く伸ばしています。

 

パーソナルトレーニングフェスタ2017講義資料より抜粋

 

 

スポーツ業界は、発展産業としてめちゃくちゃ期待されているのです。

 

 

 

問題は、日本政府の市場拡大の具体的施策の中に、スポーツトレーナーの市場規模の拡大がどれだけ期待されているか。

 

 

 

もちろん具体的な数値としては発表されていませんが、現状としてトッププロチームでトレーナーがもらっている報酬額から考えても、残念ながら非常に低いと感じています。

(スポーツトレーナーの平均給与は、いろんなところで調査されているので、検索してみるとわかると思います)

 

 

 

これは日本に限った話だけでなく、数億の報酬をもらっている選手が多数いるセリエAのASローマなどでも選手報酬に比較してトレーナーの報酬は非常に抑えられています。

 

 

 

これらのことに対して不満や危惧を抱くのはもちろん必要なことですが、それよりももっと重要なことは、分析です。

 

 

 

「なぜ、トレーナーに対する報酬が低いのか。」

 

 

 

経営の観点から考えると、利益を生み出せる部門には予算を投入します。だからその部門の人件費は上げられます。

 

 

 

それに対して利益を生み出せない、でも必要だ、ぐらいの部門の予算は当然最低限保証に止まります。というかそうしないと会社が回らない。

 

 

 

この前提条件から考えるに、トレーナーはまだ後者であるという位置付けにあるということがわかります。

 

 

 

少しまとめると、、

 

 

 

世間ではトレーナーの仕事や存在に対しての認知は少しずつ増えてきた、でも仕事内容への認知はあまりにも不十分。→世間的に仕事が十分正確に評価されない。

 

 

 

スポーツ業界では、トレーナーはまだまだ「コストセンター」扱い。

 

 

 

トレーナーがこの先どうやって市場価値を高めていくかは、この2点をクリアしなければなりません。

 

 

 

前者はトレーナーという仕事の拡散と信頼において欠かすことはできません。

メディアの方々と話していても、全く仕事内容や存在の重要性が伝わっていない。

 

 

 

そして特に重要なのは後者。

 

 

 

トレーナーを雇うことの経済的効果を感じてもらわなければ、市場価値は絶対に上がりません。

 

 

 

そのトレーナーを雇ったら、怪我が大幅に減った→選手が稼働する期間が増える。つまり報酬のロスが大幅に削減できる。

 

 

 

そのトレーナーを雇ったら、選手のパフォーマンスが上がって勝利が増えた。観客やメディアへの露出が増えて収益増につながった。

 

 

 

こういう構図をトレーナーが作ることができなければなりません。

 

 

 

トレーナーそれぞれが、そしてトレーナー業界が一致団結してこのような構図を構築することができなければ、継続性という観点から考えてもトレーナー業界は将来厳しいです。

 

 

 

これが僕が今考えている現状と将来予測、そして対策です。

 

 

 

現状についてもう一つ気になることは、トレーナー間で「他者批判や他理論批判」がまだまだ多いこと。

 

 

 

あの人はダメだ、あの理論はダメだ。

自分の推す、この理論じゃないと。

ナワバリ争い。

 

 

 

こんな話がとても多い。

しかもそれをSNS上でやりあったりする。

 

 

 

どちらにも正義はあるでしょう。

だからやり合う。

 

 

 

けれど、違う業界にいる第三者から見たとき、それはどう見えるか。

 

 

 

「電車の中で喧嘩してるおっちゃん」にしか見えてません。

 

 

 

つまりどっちも外部からの評価を地に落としている。

 

 

 

我々の業界は、市場規模から考えても、認知度から考えても、仕事の信頼性から考えても、非常に矮小で脆弱です。

 

 

 

そんな業界が、小さなパイを奪い合う。

そんな業界を、内情を詳しく知らない第三者が見たときにどうなるでしょうか。

 

 

 

そんなことも俯瞰できない、想定できない人に、財産である自分の身体や自分のチームの選手を預けますか?

 

 

 

 

 

イベントの最後にやった講師3名でのディスカッション。

先輩方の話はめっちゃ勉強になった。。

 

 

 

 

 

 

お読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

全てはパフォーマンスアップのために。

 

今回イベントを運営してくれた、そしてオファーをくれたパーソナルトレーナーの山戸くん。

そしてそこを繋いでくれた元プロ野球選手の生山くん。

 

今回の講義の場は、僕にとってもとてもとても貴重な経験となりました。

本当にありがとう。

 

 

 

 

 

 

中野 崇

 

 

 

 

 

追伸

今回の内容は、「みんなでチームワークを」「仲良くしなければ」という話ではありません。

僕は仲良くすることが目的になってしまうような、ベクトルのないチームワークは嫌いです。

仲良くすることが目的で集まるほど、我々の業界は余裕はありません。

個々の活躍、業界の発展、をトレーナーみんなが目的化し、そのための手段としてのチームワークのはずです。

その第一歩が他者批判を一切なくすこと。

あと自分を大きく見せるような表現を一切なくすこと。

どれも、我々自身がやることではなく、第三者がやるはずのことだからです。

 

 

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