極私的映画と音楽のススメ -18ページ目

極私的映画と音楽のススメ

印象に残る映画には印象に残る音楽がある。
思い出の名場面に流れていた音楽、言葉などをご紹介


タイトルから、アラブ諸国を舞台とした映画かと思いきや

フランスの地方都市を舞台とした映画でした。


少年モモは、自分がもう大人だと信じていて、

すべてのことをわかったような気になっている。


親の愛に飢えているのに

強がってそんなそぶりも見せない。



でもあるひ、やさしいまなざしをもった老人イブラヒムに出会います。



彼はこのおじさんとの出会いによって

大きな愛情を感じていきます。



そして、知ったかぶりをして、自分の内面をひた隠しにしていた状態から脱皮して

素直に自分をさらけ出していくことができるようになっていきます。



年長者と、少年の本来あるべき姿がここでは

描かれています。



少年は、年長者の年輪から多くのことを学んでいきます。

大人が魅力的であればこそ、子供もむやみに反抗したりはしないのではないでしょうか?




小学生くらいのお子さんがいるご家族にはぜひ見てもらいたい映画だと感じました。


スパイスは料理に欠かせない要素です。

微妙なさじかげんですぐに顔色をかえてしまいます。


人生にとってのスパイス。
それは人とのつながりや出会いなのではないでしょうか。


この映画の主人公にとっては彼のおじいさんだったんでしょうね。
なかなか会いにこないおじいさんを思うことで彼自信の創造力が喚起されていったのかな。


人生の甘みも辛みも経験することで彼自身も成長していきます。



皆さんにとってのスパイスはなんですか?


人と動物は遥かなこだい意志をつうじあっていたという。


動物と人の間には境界なんてなくてただお互いがお互いの生活エリアをおかさないように

自然とバランスがとれていた。


しかし近代化が進むにつれて境界は目に見える形であらわれ、

人と動物のバランスがくずれはじめた。




この映画をみて感じたのは、

もしかするとまだどこかに人と動物が心根の深い部分でつながっている場所が

あるかもしれないという思い。



きっとお母さんの歌声は馬頭琴の調べにのることでラクダの心根にとどいたんだろうな。

その思いをかんじた瞬間、らくだから涙が自然と溢れでたんだろうな。



決して不思議な出来事ではなくそれはかつて存在した絆。

人と動物の心の共鳴に深く心を揺さぶられる。


これはそんな映画です。


久々に見ましたローワン・アトキンソン

彼が秘密エージェントの一員を演じるというだけで
笑いがこみあげてきそうになります。



お墓の勘違いとか
部屋での特訓風景とか
間違って自分に注射を打ってしまいふらふらになりながらパーティに趣くところとか

もうおかしくておかしくてたまりませんって!


ミスタービーンしかご存じない方も
ぜひご覧になってみてください。



しかしイギリスのコメディはおもしろいですよねえ

モンティパイソンの番組をBBCが放映してしまうくらいだから、
センス・オブ・ユーモアは、かの国で生きるうえで必須の要素なんでしょうね!



というわけで、
きままなGWに、ぜひのんびりとご覧になってください。


静かな


とても静かな映画ですね



これほどまでに日常に接近した映画って近年無かったような気がします。



日常に接近しているということは、人の心の機微をうまく捉えて、描いているということ。



この物語は、
亡き母の墓をたてることになり、兄のもとに
弟が久しぶりにたずねてくるところから始まります。



兄は内向的で職人気質。
判で押したように同じ毎日をたんたんとすごしている


弟は陽気で明るい男。
数々の事業を手がけている。


兄の工場で働く中年女性マルタは、
いつも就業時間前のきまった時間にシャッターの前で
兄がくるのをじっと待っている女性。
彼女もまた同じ毎日をたんたんと歩んでいる。



兄は、弟が来る前に、マルタに
自分の妻のふりをしてくれないかと頼む。


快く引き受けるマルタ。


マルタの心の動き。



たんたんとした日常を送り、日常に埋没しているマルタの心には
このちょっとしたうそをきっかけに久しぶりに感じるであろう、高揚感が
浮かんでくる。


でも兄はそれに気づかない。
マルタがベッドをくっつけても、すぐ話してしまうし
ほとんど語りかけもしない。
自分の人生にあきらめを感じているんだろうな。



弟は陽気な、よく話す男。
マルタにも気さくに話しかける。



マルタの気持ちはだんだんと移ろっていく。



余談ですが、人の心根を映像でもうまく見せてくれる映画でした。
特に、マルタがホテルの弟の部屋を訪ねるシーンは秀逸。

端にある兄のから、さらに端っこの弟の部屋に向かうマルタの後姿を
カメラは、静かにうつしだしています。
その後姿からは、彼女の心の移ろいがとてもよく伝わってきます。



兄はどうか。
彼はホテルの最終日で偶然手にした幸運を目の当たりにして
やっと自分の人生を前向きに生きること、その意味に気づいたんだと思います。

でもそれは遅かった。

もうマルタは工場にもどってこない。



本当にしずかでしずかで
ゆったりと時間が流れていきます。



でもそんな中でも人の心はゆっくりと移ろい
時にはがらりと様相を変えることもある。



ちょっぴりどきっとする映画でした。

大切な人の心を離さないように・・

アメリカって、やっぱ自分の価値観が№1なんだなあ・・


見終わってそんなことを感じてしまった。



どれだけ小さい国でも

人の尊厳は同じはず。


国というのはその人が暮らす舞台であって

それが属しているのは地球という星


宇宙船地球号という呼称がでてきて

もう10年以上たつような気がしますが、

概念的には浸透していても

人の心の中にまではまだ浸透しきっていないんだろうなと思いました。




クラコウジアという架空の小さな国出身の彼が

一番宇宙船地球号という概念を体現しているような気がする。

たとえそんな言葉を知らなかったとしても



だから、彼の周りには、彼に魅かれる人たちが

集まっていったんでしょうね。



とはいえ、気ままなコメディですので

ぜひ気楽にご覧になってくださいね。


ひかりのまち



あたりまえの、とりわけ何か新しいことが起こるわけでもない

淡々としたフツーの日々を、細々と生きる女性たちのお話。



悩んだり、不安になったり。


コレって、ホント、誰にでもおこるもの。


でもなんでだろう、この映画からは、すごくやさしさを感じる。


特に出産のシーンの後、映し出される風景と音楽がそう。


まるで、町全体が静かに祝福しているかのようだったもの。


等身大の女性たちに大いに共感できる静かな名作です。



監督はマイケル・ウィンターボトム。

個人的には一番の名作だと思います。



※このブログは加筆・修正版です

(マイケル・ウィンターボトム監督の映画をご紹介したく、再録しました。

 投稿:2005/08/13、加筆修正:2006/4/26)

¥4,230
いつまでも二人で/クリストファー・エクルストン
¥4,293
Amazon.co.jp



この映画の原題は「with or without you」。



このU2の名曲のタイトルが、そのままこの映画の主題になっているし、

この名曲の雰囲気がそのまま映画のイメージを表していますね。



別の人生を歩んでいたなら、

あの時別の選択をしていたなら・・

もしかするともっと違う人生があったのかもしれない・・



そんな疑問に答えてくれる映画です。



with or without you


個人的な答えは、最初の選択に従うこと。

それが自分の意志だから・・



映画の中の人物はどんな選択をしていくのか・・



ご覧になってみてください。


陰のある女性を主軸に描いたサスペンス系の映画ですね。

女性の性(サガ)がテーマですかね。



やや重たい内容なんですけど、

映像の美しさには目を見張るものがあったなあ・・

なんて思い出しております。


全体的に赤いトーンなんですよね。

断片的に挿入されるシーンとか、結構印象にのこるんですよね。



しかしまあ、レイチェル・ワイズのこの映画でかもし出される

怪しげな魅力は、なんともいえない美しさ!!

彼女をみるためにこの映画をみても損はないでしょう。



映像とあいまって、この映画を特徴付けていますね。



エルビス・コステロの歌う主題歌も、この映画のイメージを十二分に表しています。


歌と、映像と、レイチェルワイズの美しさ・・


そんな要素で成り立っている映画です。



もうすこし、ストーリーが練りこまれていれば・・

なんて思ったりします。




レイチェル・ワイズの過去とかをもう少し旨く描いていれば

ラストの表情もより一層理解できるんですけどね。




固定の作風をあまりもたない

マイケル・ウィンターボトム監督。


レイチェル・ワイズを起用しただけでもOKとしましょうか(笑)


続けてテオ・アンゲロプロス監督の作品を紹介しましょう。


この監督の作品は、2本しか見ていないので
はっきりとは言えないのですが、
”人生の分岐点”を丁寧に丁寧に描く監督だなあと思います。



この映画もまさにそう。


主人公は幼い姉弟。
生き別れたと信じている父親を探すために、母親に黙って
アテネからドイツへの旅へと出ます。



僕は、この二人が、旅にでたという、その行為そのものが
分岐点だったような気がしています。



少年、少女の旅。
当然キケンな出来事がまっています。

旅をするためには、お金が必要。
でもお金がない。
じゃあどうするか・・


とても、ショッキングで切なくなってしまうようなシーンもあります。
それに東欧独特の暗さが拍車をかけていきます。



ラストの霧の中の風景。
霧の中からぼんやりと姿を現す大木。


これが、彼らにとっての父親であり、
大木が彼らをやさしく包み込んでくれたような気がして・・・・・


あまりにも切ないお話だったんで、このラストでものすごく
安堵したのを覚えています。



霧の中の風景
それは、彼女たちにとっての父親を探す旅の終着点でもあると同時に
人生の終着点だったような気がしてなりません。


中盤の展開が、ほんとうに切ないんですけど、
だからこそ、大木の存在にとても感謝したくなってしまう。



決して明るい映画ではありませんが、
最後の大木を見るためだけでも、この映画を見てもいいかもしれません。


皆さんにとっての、大木のような存在は、誰ですか?



※このブログは加筆・修正版です

(素敵な映画をご紹介したく、再録しました。

 投稿:2005/9/27、加筆修正:2006/4/21)