この演目を選んだのは、菊五郎さんと仁左衛門さんが出ているから。
まあ単純な動機です。
この話、愛情と憎しみは表裏一体であることを
まざまざと見せ付けてくれます。
ちょっとした誤解から菊五郎扮する佐七は、
愛する小糸に対して、殺意を抱くまでの憎悪を抱きます。
まあその感情の変化の具合、さすが菊五郎さんだけあって
なかなかにうまい。
(ちなみに江戸っ子風のしゃべり方も、この人はうまい!)
ただですね、憎しみを爆発させてしまったあと
実は誤解していたことに気づいて、途方にくれて慟哭する場面は
あまり良くなかったな~
なーんか感情がこもってない感じ。
でもってその直後に敵役の侍が現れることで
悲しみモードになっていた憎しみが怒りとなって炸裂。
この場面の見得はさすがにかっちょいい。
たくさんの「音羽屋」コールが沸き起こってました。
たしかにラストはすごかったなあ。
とゆーわけで菊五郎さんを満喫できました。
あ、仁左衛門さんはちょい役で出てますが
これまた存在感たっぷり。
そこにいるだけで空気が変わる気がする。
この雰囲気は残念ながら菊五郎さんには無かったなあ・・
あんなに短い出番なのにこれまた「松嶋屋」コールが鳴り響いてました。
ちなみに外国人の方も頑張って声をかけてまして
「オ・トワヤ!」とか言ってたのが健気でした。
4月の熊野がものすごく見たい。
勧進帳も見たいけどこっちの方が見たい。
■ 江戸育お祭佐七(歌舞伎座三月歌舞伎公演)
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お祭佐七 菊五郎 芸者小糸 時 蔵
鳶頭勘右衛門 仁左衛門 倉田伴平 團 蔵
世話人太兵衛 田之助
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