子供のころとある山でキャンプをしたことがあります。
街から遠く離れた山の上だから、キャンプ周辺の明かり以外は
漆黒の闇に包まれていました。
どこからか、ふくろうの鳴き声が聞こえてきそうなそんな夜。
空を見上げると、いまにも降ってきそうなくらいの無数の星たちが輝いていました。
仲間達と寝そべってその空をいつまでも眺めていたのを覚えています。
静かな、あまりにも静かな夜。
聞こえるのは、ときおりそよぐ風に揺れる草や木の音
そして仲間達の息吹。
そんなときに
満天の星空をみていると
だれもがきっと、この星のどこかに生物が存在していることを
信じる気になるに違いありません。
もしかすると、その生物も遥かかなたに輝く星で、
山の上でねそべってこちらを眺めているかもしれない。
そんな想像すらしてしまうくらい、
すばらしい星空でした。
この風景は太古の昔から変わっていないのでしょう。
原始人も、古代文明の人々も、江戸時代の人たちも
夜になるとこんな星空を眺めていたに違いありません。
宇宙への憧れ。
これは人類が誕生した瞬間から共通して抱いている
夢想なのかもしれません。
表題作はこんな幻想を
疑似体験することができる秀作だと思います。
人類のDNAに刷り込まれた宇宙への共通の憧れ。
それがあればこそ、この映画はいつまでも語り継がれるのだと思います。
子供のころ。
遥か遠い世界の住人の姿を思いながら。
星空をじっと眺めたまま
その星空に包まれるように眠りに入っていきました。