唯一無二の異色作~~パトリック・ジュースキント著「香水 ある人殺しの物語」 | 貧乏暇なし独身女の読書日記ときどき手芸etc.

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貧乏暇なし生活の合間に読書するのが生きがいです。面白くない本は最後まで読まないので、面白かった本の書評だけをブログにあげています。だから更新頻度は低いですが、ブログに挙げた本は、お薦めできるものばかりなので、読書好きの方は参考にしていただけると幸いです。

世界的なベストセラー作品ということで読もう読もうと思いながら

長い間、積読本の中に埋もれていた本です。

 

ジャンルはダークファンタジーっていうことになるかな?

普段読まないタイプの作品なので、本当に面白いのかな?

と半信半疑で読み始めたんだけど、

読み始めてすぐに「これは傑作!」と確信しました。

実際に、すごく面白かったです。

 

18世紀パリを舞台に、

生まれつき図抜けた嗅覚を持つ孤児のグルヌイユは、

香水調合師としての才能を発揮するようになり、

やがて、自分好みの究極の香水を作るために、

材料となる若い女性を求めて犯罪に手を染めることになり

・・・というストーリーです。

 

本作で特に面白いと思った点は、

グルヌイユが作る香水の概念というか、香水の使い道です。

例えば、巷にある数種類の匂いを採取して合成し、

ある場所の匂いを再現した香水を作ったり、

また別の場面では、

グルヌイユが自分に振りかける香水の成分を調整することによって、

自分のキャラクターを演じ分けたり

・・・この部分は特に面白いので、

詳細は、是非、本作を読んでみて欲しいです。

 

物語の全般にわたって多種多様の臭い・匂いが

描写されているんですが、

この描写が素晴らしくて、

文章を読んでいるだけでその臭いや匂いが漂ってきそうでした。

 

物語自体はかなり不気味なんですが、

全体的に幻想的に美しく描写されているので、

嫌悪感は感じませんでした。

 

何というか、不思議な読後感でした。

 

唯一無二の異色作であり、傑作だと思います。

 

2007年に映画化されたそうですが、映画も観てみたいです。