フランスの鬼才ピエール・ルメートルの三部作の完結編です。
三部作第一弾の「天国でまた会おう」が面白かったので、続編の本作を読んでみました。
1940年パリ。小学校教師でありながらレストランでウェイトレスとしても働くルイーズは、常連客の老医師からの奇妙な願いに応えたことから、亡き母親の過去の悲恋を知ることとなる。ドイツ軍によるパリへの侵攻が進む中、ルイーズは、母親の悲恋の痕跡を探し求めてパリを脱出する。一方で、兵士のガブリエル&ラウール、詐欺師のデジレ、機動憲兵隊の曹長フェルナンが、戦争の混乱に巻き込まれてそれぞれの旅路を流れて行きながらルイーズの旅路に交錯する・・・というストーリーです。
すごく面白くて、久しぶりに、小説を一気読みしました。
(アラフィフともなると、集中力が続かなくて、一気読みが出来ないんですよね。)
中盤以降は、ロードムービーのような様相になり、ルイーズ、ガブリエル&ラウールの兵士コンビ、詐欺師デジレ、曹長フェルナンがそれぞれ別々の旅路を辿りながら、やがて一点に合流していくというストーリー展開が見事でした。
私は、特に、ガブリエル&ラウールの兵士コンビのパートが面白かったです。
軍の中では、ずる賢くて抜け目のないラウールに利用されたりそそのかされたりして問題行動(犯罪?)の片棒を担がされていたガブリエル。そんな二人が、成り行き上、逃亡兵になってしまい、共に過酷な旅路を辿ることになるんですが、その過程で、二人の関係性も徐々に変わっていきます。最初は反目しあっていたラウールとガブリエルが、共に過酷な状況を乗り越えることで、”良き相棒”になっていく・・・という一見よくある王道の”友情もの”ストーリーですが、切迫した時代背景を反映したプロットとラウールのキャラクターの魅力のおかげで、全く陳腐には感じませんでした。
ルメートルの作品は、いつも、登場人物のキャラクター設定が面白いと思います。
分かりやすい善人や悪人ではなく、狡さや弱さや滑稽さを併せ持つリアルな人間味があるキャラクターが描かれていると思います。
本作では、特に、詐欺師のデジレのキャラクターが面白く、それによって、作品にユーモアが加わっています。
少し残念なのは、終盤の展開が予定調和の大円団のようになってしまった点です。
もう少しひねりのある結末を期待していました。
それでも、全体として傑作なのは間違いないので、未読の方は、是非読んでみてください。
三部作ですが、本作だけを単独で読んでも問題なく楽しめると思います。
