いろんな書評サイトで高評価だったので、読んでみました。
1947年。第二次大戦中に失踪した従妹ローズを探すシャーリーは、役所で照会したローズの痕跡を手掛かりに、ロンドンに住む中年女のイヴを訪ねる。ローズの消息についてイヴが何かを知っていると察したシャーリーは、イヴを伴って、ローズを探す旅に出る。その道中で、シャーリーは、イヴが経験した凄惨な過去を知ることになる。
一方、1915年のロンドン。法律事務所でファイル係として働いていた22歳のイヴは、無垢な容姿と堪能な語学力を買われて、スパイ候補として見い出され、イギリス国内でスパイ教育を受けたのち、アリス(リリー)率いるアリスネットワークの一員として、ドイツ占領下のフランス北部にあるレストランにウェイトレスとして潜入し、スパイ工作を開始する・・・というストーリーです。
タイトルにアリス(リリー)の名が含まれているので、リリーが主人公かと思いきや、リリーの部下というか後輩的立場にあるイヴが主人公でした。
スパイ小説は好きでいろいろ読んできましたが、男性作家によるスパイ小説は、スパイ戦略や政治的背景に重点を置いているものが多いイメージですが、本作は、スパイ活動をする女性たちの生き方や矜持や人間的魅力に重点を置いて描かれている点で、女性作家らしいと思いました。
それぞれの良さがありますね。
本作は、20代のおぼこい娘だった頃のイヴのストーリーと並行して、対比的に、50代のすれっからしで酔いどれの口が悪い中年女になってしまったイヴの現状が描かれることで、イヴがそこまで変貌してしまうほど凄惨な経験をしたことを読者に印象付ける構成が見事でした。
戦時中の史実がベースとなっているので、かなり重い内容ですが、作品としては「勧善懲悪」ものなので、読後感は爽快でした。
ただ、シャーリーの恋愛話にかなりのページが割かれていましたが、この部分は本筋とは無関係だし、無理やり付け足したような不自然さを感じました(はっきり言って、不要だと思いました)。
それでも、総合的にはすごく面白かったです。
今回が初読みの作家さんですが、既に日本で出版されている他の作品も評判がよさそうなので、絶対に読んでみようと思います。
