久しぶりに、荻原浩さんの作品を読んでみました。直木賞受賞作品です。
亡き父の形見である腕時計を修理するために「私」が訪れた古びた時計屋で、店主が店内に飾られる時計にまつわるこれまでの生涯を語る「時のない時計」、事情により親戚の家に身を寄せて肩身の狭い思いをして過ごしている小学生の「茜」は、家出中にひょんなことから見知らぬ男の子と出会い、ともに海を目指して旅をするうちにその男の子の家庭の問題が明るみになっていく「空は今日もスカイ」等、父と息子、母と娘、妻と夫など多様な家族のかたちを描いた連作短編集です。
流石の荻原浩さん、ユーモアやミステリー要素も取り入れて、それでいてひねりも効かせた面白い作品ばかりでした。
特に、「時のない時計」と「空は今日もスカイ」が面白かったです。
・・・が、本作で直木賞というのは、納得できないかも。
荻原作品の中には、もっとすごい傑作がたくさんあるので。
例えば、「噂」、「ハードボイルドエッグ」、「あの日にドライブ」とか。
同じ連作短編集でいえば、「月の上の観覧車」で受賞して欲しかったです。
本作は、ずっとファンだった荻原浩さんの作品で、直木賞受賞作品ということで、期待しすぎたかもしれません。