横山秀夫さんは、特に好きな作家なんですが、本作はなぜか未読でした。
たまたま積読本の中から引っ張りだして読んでみたんですが、今まで読んでなかったことを後悔するほど面白かったです。
アルツハイマー病を患う妻を警察官が殺害するというセンセーショナルな事件に関わることになった警察官、検事、記者、弁護士、裁判官、刑務官のそれぞれの視点から事件を解き明かす連作短編集の構成となっています。
それぞれ違う立場から同じ事件に関わることになった彼らの矜持、組織内外のしがらみや力関係に翻弄されて信念を貫けない葛藤、事件への関わりを自らの昇進の足掛かりにしようと目論む野心etc.
これぞ横山秀夫さんのワールドですね。
連作短編集の形式をとっていて章ごとに主人公が代わるので、彼らの一人一人の心情や葛藤や背景が深く掘り下げられている点も良かったです。
それに、横山秀夫さんは、なんといっても文章が上手いです。格調高く美しい文章をたっぷり堪能しました。
本作のラストに関しては賛否両論があるそうですが(直木賞の選考でも問題になりましたね)、私的にはスッキリと納得いくものでした。横山先生に直木賞を受賞してほしかったです。
久しぶりに横山秀夫さんの作品を読みましたが、やっぱり横山先生はすごい!!!