本作は、鑓水、修司、相馬の三人が事件の解決に挑む「犯罪者」、「幻夏」に続くシリーズ3作目です。
白昼、正光秀雄という老人が渋谷のスクランブル交差点で何もない空を指さして絶命した。興信所を営む鑓水と修司のもとに、「死の間際に正光はあの空に何を見ていたのかを突き止めて欲しい」という不可解な依頼が舞い込む。そして老人が死んだ同じ日、ひとりの公安警察官が忽然と姿を消した。停職中の刑事・相馬がその捜索を極秘裏に命じられる。鑓水と修司と相馬は、正光の生涯を辿っていき、ついに戦時中に事件の発端があることを突き止める・・・というストーリーです。
「犯罪者」も「幻夏」もすごく面白かったけど、本作も超超超面白かったです。
読み終わった今も余韻がおさまりません。
著者の太田愛さんは、シリーズ3作品の中で、本作のテーマを
一番書きたかったんじゃないかという気がしました。
それほど、本作の中で強く問題提起していると感じました。
・・・・・・言論の自由の大切さ。
・・・・・・言論統制の恐ろしさ。
メディアコントロールによって、間違った情報が国民の間に
広められ、それが国民の生死を左右することもある。
・・・とても恐ろしいことだと思いました。
それと同時に、正しい情報を伝えるメディアの役割の重要さを
再認識させられました。
本作に登場する戦争体験者たちが、戦後70年以上経った現在でも、
悔恨、義憤、遺恨といった様々な思いを押し殺して生きているのが
切なかったです。
彼らにとっては、戦争は終わっていなかったんだと思いました。
このシリーズはもう完結なのかな?
もっと読みたいです。