以前から気になっていた本です。
高級呉服売り場の紀美子。エレベーターガールのサユリ。食品売り場の節子。同じ高校の同窓生である仲良し三人がデパートのそれぞれ違う売り場に配属されてから4年が経過し、三者三様の恋愛や仕事の問題に直面し、それぞれの生き方を模索していく・・・といったストーリーです。
有吉佐和子さんは、特殊な職業に就く女性を描くことが多かったけど、本作は、どこにでもいそうな普通の女の子達が主人公です。それでも、流石は有吉先生、普通の女性達を描いても上手いです。
序盤はあまり大きな事件も起こらず、ちょっと退屈だったけど、中盤以降からは修羅場みたいな深刻な問題が発生したりと、先が気になって読むのを止められなくなりました。特に、立場が弱い出入り業者の社員に食品売り場の主任がパワハラするくだりは、読むのがつらかったです。こういう奴って、いつの時代にもどこの職場にもいるんですね。(私が以前勤務していた職場にも、派遣社員に怒鳴り散らす奴がいました)。
1963年に刊行された作品ということもあって、男女の昇進の差が当然のようにあったり、女性社員が結婚したら仕事を続けるか辞めるかを上司から問い詰められたりと、当時ならではの時代背景が垣間見えました。
その一方で、社内不倫する社員とか、部下とのジェネレーションギャップに悩む課長とか、ストーカーまがいの客、万引きする客とかは、今でもありそうなエピソードです。
ラストでは、高校からの仲良しだった三人がその後それぞれ別の人生を歩んでいくことを暗示していて、ちょっと寂しい気持ちにもなりましたが、社会人がいつまでも仲良しこよしというわけにはいかないし、かえってリアリティのある結末で良いと思います。
やっぱり有吉佐和子さんは凄い!!!