現代女性の貧困を描く~~畑野智美著「神さまを待っている」 | 非正規独身女の読書日記ときどき手芸etc.

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貧乏暇なし生活の合間に読書するのが生きがいです。面白くない本は最後まで読まないので、面白かった本の書評だけをブログにあげています。だから更新頻度は低いですが、ブログに挙げた本は、お薦めできるものばかりなので、読書好きの方は参考にしていただけると幸いです。

現代女性の貧困を描いた小説です。

 

主人公の水越愛は、大学を卒業後、正社員になれずに派遣社員として働くのですが、派遣切りにあい、家賃が払えなくなり、ホームレスになり、漫画喫茶に寝泊まりしながら出会い喫茶で日銭を稼ぐようになる・・という物語です。

 

氷河期世代の私には、身につまされるストーリーでした。

自分も一歩間違えば、主人公の愛と同じように転落人生を歩んでいたかも・・っていう恐怖感を覚えました。

一寸先にある地獄・・・ある意味ホラー小説を読むより怖かった。

主人公の水越愛が派遣社員から派遣切りに会い、ホームレスになり出会い喫茶に出入りするようになる・・という転落の過程が淡々とした文章で描かれているので、ルポルタージュを読んでいるかのようなリアリティを感じられて、それが一層恐怖感を掻き立てられました。

また、愛がホームレスになってから出会う様々な貧困女子達の生い立ちも救いが無さ過ぎて、辛くなりました。

 

Amazonを見ていると、著者の畑野智美さんの作品の中で本作がずば抜けてコメントが多く寄せられているころからも、本作に関心を持つ人がたくさんいることが伺えます。

 

私が子供の頃には、「貧困」なんて、発展途上国とか遠い外国の話だったのに、今では当然のように日本で聞かれるようになりました。コロナ禍もあったし、これからますます、日本の貧困問題が拡大しそうで不安です。