日本式ジョブ型人事制度のすすめ⑦コンサルタントが推奨するジョブ型 | デジタル社会の行動経済学と人事

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「日本式ジョブ型人事制度のすすめ」シリーズ。

これまでのテーマは以下の通り。

 

📎①記事から考える-1

📎②記事から考える-2

📎③記事から考える-3

📎④成果主義とジョブ型の関係

📎⑤ジョブ型の世界観

📎⑥ジョブ型の先はタスク型?

 

 

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今回のテーマは各種突っ込みが来そうな内容です。

「コンサルタントが推奨するジョブ型」

 

  • お前もコンサルタントじゃないか!
  • 人の批判ばかりするな!
  • 結局、お前はどんなジョブ型を示すのか!

 

今日はこんな声が聞こえそうなことを書いてみたいと思います口笛

 

 

私は15年以上、人事のコンサルをしており、

職務型の人事制度設計にも関わったことがあります。

 

 

当時行ったことをざっと言うと

  • 職務の洗い出しと内容確認(ヒアリング中心)
  • キーワードの抽出とJDの作成
  • 同時に、アンケートによる職務の重み確認
    (ジョブエバリュエーション・通称ジョブエバ)
  • 算出した点数に基づく序列の作成
  • グレードの設定と職務の当てはめ

 

ざっくり言うとこんな感じです。

機械的に進めば簡単そうですが、これが結構大変。

当時は若かったため、分からないことも多かったキョロキョロ

 

 

 

当時、一番記憶に残ったのが

せっかくつけた序列が「調整」により崩れていく様です。

 

 

現職の「人」に影響されないようにと伝えますが、

結局、議論をするとメンバーは「人」を思い浮かべる。

 

  • この職務は○○ということもあり、影響度は△△で、非常に重い
  • 困難度はそれほどでもない
  • このポジションは社長が□□と言っており、重要度が高い

 

さらにひどいのが、でき上がった序列を見て、

こっちの方が何で高いんだ、低いんだとなり、

また「調整」を行う。

 

 

こんな調整するなら最初から感覚で付けたらよかったのに

そう思ったのを覚えています。

まあ当時のプロマネの力量も関係したのかもしれませんが、、、てへぺろ

 

 

その後、似たような制度を導入した企業もいくつか見てきました。

大体は、せっかく作った職務記述書が、全く機能していない。

 

 

まず字だらけ。読みたくありません。

それから新人育成に使えるるかもしれないが(実際は使っていない)

中堅ベテランは見ても仕方ないと思われています。

 

 

つまり職務の明確化というより、能力伸長の目安になり、

しかも使わなくても問題なく、形骸化した書き物になっていた。

 

 

こうした経験から「ジョブ型」を入れるというニュースを見ると

反応してしまうのでしょうね。

またコンサルにお金だけ行って、現場は置いてかれる。

 

 

日本にはあまりよいジョブ型設計の書籍はありません。

時々見るのが職務分析、職務評価の書籍です。

ただ、中身を見ると、かつて各社で使われなくなった書類の山を

見ているようで、多少怒りを覚えます。

 

 

こうした手間暇かけて設計する制度は大体自社では修正できません。

結果としてコンサルを使い続ける羽目になる。

 

 

更に「機能」として考えるとこんな制度にしないで

もっとシンプルなもので同等、

又はそれ以上に目的を達成できる制度があると感じます。

 

 

これって詐欺?なんて思ってしまう。

・・・怒られそう口笛

 

 

最近、外資コンサルの一部が「ジョブ型」を冠に

セミナーや記事の寄稿を行っています。

その記事の一つを見ました。とても勉強になります。

 

『年功序列の 打破 日本企業に適したジョブ型人事制度とは』

 

 

記事では

今回のジョブ型の流行は年功序列の打破であり

適性がないのに幹部に居続けてしまう実態を

改めるために必要と書かれています。

また、記事の最後に、「制度だけでは解決しない」と

書かれています。その通りですねグッ

 

 

ただ、ジョブ型を入れたとしても

経営幹部の適正配置が出来るとは思えません。

年功序列も、昇格を今まで通り行えば

ジョブ型だろうが関係ないでしょう。

 

 

結局は運用でどうにでもなるのであれば、

基盤となる制度は誰の目にも明らかな制度にする。

衆目にさらされても矛盾のない方が良いでしょう。

そしてシンプルでコンサルに頼らず、

自分たちで改変できるような制度。

運用しやすい形で、必要に応じ昇格・降格運用できる

そんな設計が良いのではないでしょうか。

 

 

昇格運用は現実問題として難しい部分もあります。

制度で補完することも少しは出来ます。

より客観性を持たせる意味でアセスメントを使うのも良いでしょう。

 

 

人事制度だけで求める変化を実現するのは難しい。

ただ流行に流されてとか、コンサルに言われてとかで

制度を変えることはやはりどうかと思いますキョロキョロ

 

 

自分たちの求める変化は何か、

実現するために何が必要なのかをしっかり捉える

一瞬で解決できるものではない前提で

自分たちで改変できるシンプルなものにする

 

 

こうしたポイントを押さえてあれば、

あとは作るだけです。

その時、必要であればコンサルを使ってもいいでしょう。

自分の首を絞めてる気が・・・てへぺろ

 

 

最後に参考図書を一冊。

人事制度の書籍は参考になる部分もありますが

どうしても違和感を覚えるものが多い。

その中では参考になる部分が比較的多かった書籍がこちらです。

 

進化する人事制度「仕事基準」 人事改革の進め方 (労政時報選書)

 

ご興味があれば、参考にしてください。

 

 

次回に続く。。。

 

 

 

 

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