「日本式ジョブ型人事制度のすすめ」シリーズ。
これまでのテーマは以下の通り。
昨今言われるジョブ型とはどのようなものか。
少し具体的にイメージしてみます。
■ジョブ型とメンバーシップ型の比較表
参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000017667.html
ジョブである職務内容を明確にし、
その職務を行う雇用契約を結ぶのがジョブ型。
- 労働者は雇用契約に定めた職務内容の遂行に義務を負う
- 使用者は職務内容に応じた労働を得る権利を有する
ジョブがなくなれば契約は不履行となりますので
原則からすると解雇です。
日本のように配置転換する場合は雇用契約の結び直しです。
転職市場が形成され、外部からの人材の確保が
比較的容易な社会であれば
特に配置転換をするより、専門性や経験を持った人材を
採用する方が効率的かつ効果的。
配置転換をせずに解雇となるのが妥当でしょう
そして給料はその職務に応じて決まる。
ある程度のレンジは日本のようにあるが、
個別の職務で見るとそれほど広くない。
広くすると他の職務との被りが増えますしね
例えば人事部内での話(定義次第だが)
- 人事制度設計の担当:35万
- 新卒採用の担当:25万
- 給与計算の担当:23万
と定められる。熟練していくと多少上がるが
幅は原則狭いため、同じ仕事をし続けていると
50歳でも同じ給与となる。
また人事部内で異動をした場合は給与は変わる。
これまで制度設計をしていたので35万だったのに
給与計算に異動することになり23万になった
他にも・・・
本社の人事課長で年収700万だったのに
会社都合で工場の総務課長に異動となった。
給料は600万となった。
上記の事例を自分事に置き換えてイメージしてみてください。
- そんなことはうちの会社ではできないよ。
- 社員から文句が出る。
- それまでやってきたことがチャラになるのは耐えられない
- 会社都合の異動なんだからおかしい
- 家族の生活はどうなるの
- 本人のモチベーションが下がる
こんなことを思った方はメンバーシップ型の方です。
ジョブ型なら当然の世界観。
だからこそ異動を勝手にできません
日本においては職種別採用やスペシャリスト雇用だと
イメージしやすいですね。
なお、メンバーシップ型の制度とされる職能資格制度であれば
能力は積み上がるものと捉えられてしまい(元々は違う)
異動しても給与は下がることはない。
管理職を外れること自体も抵抗感があり、
外す場合は、管理職の横に専門職や専任職コースがあって
処遇が少し下がる程度に抑え、一般社員には落さないようにする。
なお、アメリカではジョブ型の狭い定義やレンジは
事業の変化への柔軟性が欠けるということで
ある程度広い定義にし、報酬もブロードバンド化させる
ケースがずっと出てきています。
このVUCAの時代にあって、細かい職務を定義する
ような形でジョブ型移行をするのであれば、停滞しかイメージできません。
少なくとも、ジョブ型のようなメンバーシップ型の制度が
でき上がるだけだと感じてしまいます。
皆さんはどうお感じになりますか?
最後に参考図書を一冊。
やはり人事の歴史を捉えるならこの書籍でしょう。
この書籍は人事なら必読です
参考にしてください。