日本式ジョブ型人事制度のすすめ⑤ジョブ型の世界観 | デジタル社会の行動経済学と人事

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「日本式ジョブ型人事制度のすすめ」シリーズ。

これまでのテーマは以下の通り。

 

📎①記事から考える-1

📎②記事から考える-2

📎③記事から考える-3

📎④成果主義とジョブ型の関係

 

 

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昨今言われるジョブ型とはどのようなものか。

少し具体的にイメージしてみます。

 

 

■ジョブ型とメンバーシップ型の比較表

参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000017667.html

 

 

ジョブである職務内容を明確にし、

その職務を行う雇用契約を結ぶのがジョブ型。

  • 労働者は雇用契約に定めた職務内容の遂行に義務を負う
  • 使用者は職務内容に応じた労働を得る権利を有する

 

ジョブがなくなれば契約は不履行となりますので

原則からすると解雇です。

日本のように配置転換する場合は雇用契約の結び直しです。

 

 

転職市場が形成され、外部からの人材の確保が

比較的容易な社会であれば

特に配置転換をするより、専門性や経験を持った人材を

採用する方が効率的かつ効果的。

配置転換をせずに解雇となるのが妥当でしょうキョロキョロ

 

 

そして給料はその職務に応じて決まる。

ある程度のレンジは日本のようにあるが、

個別の職務で見るとそれほど広くない。

広くすると他の職務との被りが増えますしねニコニコ

 

 

例えば人事部内での話(定義次第だが)

  • 人事制度設計の担当:35万
  • 新卒採用の担当:25万
  • 給与計算の担当:23万

 

と定められる。熟練していくと多少上がるが

幅は原則狭いため、同じ仕事をし続けていると

50歳でも同じ給与となる。

また人事部内で異動をした場合は給与は変わる。

 

 

これまで制度設計をしていたので35万だったのに

給与計算に異動することになり23万になった口笛

 

 

他にも・・・

本社の人事課長で年収700万だったのに

会社都合で工場の総務課長に異動となった。

給料は600万となった。

 

 

上記の事例を自分事に置き換えてイメージしてみてください。

  • そんなことはうちの会社ではできないよ。
  • 社員から文句が出る。
  • それまでやってきたことがチャラになるのは耐えられない
  • 会社都合の異動なんだからおかしい
  • 家族の生活はどうなるの
  • 本人のモチベーションが下がる

 

こんなことを思った方はメンバーシップ型の方です。

ジョブ型なら当然の世界観。

だからこそ異動を勝手にできませんウインク

 

 

日本においては職種別採用やスペシャリスト雇用だと

イメージしやすいですね。

 

 

なお、メンバーシップ型の制度とされる職能資格制度であれば

能力は積み上がるものと捉えられてしまい(元々は違う)

異動しても給与は下がることはない。

 

 

管理職を外れること自体も抵抗感があり、

外す場合は、管理職の横に専門職や専任職コースがあって

処遇が少し下がる程度に抑え、一般社員には落さないようにする。

 

 

なお、アメリカではジョブ型の狭い定義やレンジは

事業の変化への柔軟性が欠けるということで

ある程度広い定義にし、報酬もブロードバンド化させる

ケースがずっと出てきています。

 

 

このVUCAの時代にあって、細かい職務を定義する

ような形でジョブ型移行をするのであれば、停滞しかイメージできません。

少なくとも、ジョブ型のようなメンバーシップ型の制度が

でき上がるだけだと感じてしまいます。

 

 

皆さんはどうお感じになりますか?

 

 

最後に参考図書を一冊。

やはり人事の歴史を捉えるならこの書籍でしょう。

 

名著17冊の著者との往復書簡で読み解く 人事の成り立ち: 「誰もが階段を上れる社会」の希望と葛藤

 

 

この書籍は人事なら必読です!

参考にしてください。

 

 

次回に続く。。。

 

 

 

 

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