相続バトル -343ページ目

65

家の中を見回すレッド叔母。



レッド「もうだってブルー2くん、これ(タンスなど)全部処分しちゃうんでしょ?」


ブルー2「そうするかどうかはまだ考えてなかったんだけど」


レッド「これ今年中にやんないと。これタンス処分したいとブルー2くん言ってたからさ」


ブルー2「いや、タンスを処分したいとは言ってないよ。布団とかは処分したいと言ったけど」


レッド「じゃ間違えたんだ」


見るからに高価そうなタンスなのに、間違えるわけなかろうに…。

何かあると難癖つけてきて、相続に関してあれこれ言ってくるであろうレッドなので、こちらは細心の注意を払い続けてきた。



レッド
「でほら、ここ。こんなのあっても邪魔だからタンスを処分したいんだって言ってたよ」
「じゃほら。そのころ、まだあれなのに」
「今年中に私が来なければ悪いなと思って」
「その話だと、これ、見るのに?」
「うん、悪いなぁと思って」


ブルー2「(自分の都合のいいように、よく次々に言葉が出てくるな…)」



その後もレッド叔母はタンスの中のチェックを続けた。



レッド「ブルー2くん、こういうの着ない?」


ブルー2「うん、着ない」



私は『62 』にも書いたように、あのテーブルを欲しがると思っていた。
そもそも、祖父はお客さんをおもてなしするために購入したのは間違いない。
でも遺産分けでそのテーブルが欲しいと言うのは間違っている。
いつその話題になるか、気にしながら私はレッドのそばにいた。



レッド
「あのブルー2くんさ、このくらい小さいラジオがあったでしょ。あれある?」
「私あれ、子供のころから知ってるし」



私もそのラジオはなんとなく覚えています。
探し始めましたが、その際もレッド叔母は何か盗まないかと気にしていました。



ブルー2「これじゃないよね。もっと小さかったやつ?」


レッド「それそれそれ」


ブルー「皮っぽいカバーが被さってるやつじゃないの?」


レッド「あ、これじゃないや。もっと古いやつ」


ブルー2
「んー、あるべきとこにあるのがこれだから、もしかしたら買い換えたのかもしれない」
「いつもここからラジオを出してたから」


レッド
「うんうん」
「ガチっとしたやつ」
「これくらいかな。大きい…」


ブルー2
「皮っぽいカバーが付いてたのは見たことあるんだけど」
「レッド叔母さんのいう、それは見たことないんだけど」


レッド
「カバー付いてたかな」


レッド
「それとブルー2くん、あの一番奥の部屋にあるさ、あのテーブル」
「あのテーブル、もう使わないでしょ?」
「私あのテーブルもらっていきたいんだけどさ」
「おじいさんに前に持ってけって言われたんだけど」



本題来たよ…。
そして奥の部屋に移動。
テーブルは二個あります。
普通のテーブルと、それより一回り大きいその高そうなテーブル。



ブルー2「小さいこれじゃなく、大きいこっちのほう?」


レッド
「それ」
「それにこっちの物は下着だよね」



レッド叔母はテーブルに興味がないようなそぶりをした。
テーブルが置いてある所より、目の前にあるタンスの中身の話題を振ってきた。


めんどくせぇ…。
レッド叔母なりに、いきなりテーブルの話をするのは避けようとしているのか?
でも私はレッド叔母の話の進め方を尊重しました。



ブルー2「下着みたいなものとか軍手だとか」


レッド
「着るものだとかは~~」
「そこのはじゃあ前に~~」
「おばあさんの上着なんか入ってた気がするのよ」
「あ、おじいさんの書道の道具もらってっていいかしら」
「ね、使わないもんね」



お前の言いたいことはそれじゃないだろ。
レッド叔母が来て、すでに1時間くらい経っている。
私は早く仕事に戻りたい気持ちもあって、自分から話題を振った。



ブルー2「テーブルの大きいほう(高いほう)は、ちょっと法事の為にとっておきたいんですけど」


レッド「で、私はこれを持ってけって言われたんだけど」



じいさんがそんなこと言うはずがないのに。
それにもし言われたとしても遠慮するべきというか、家財道具は形見分けじゃないだろ。



ブルー2
「でも親戚が大勢いる分、やっぱ大きいほうが助かるんだけど」
「小さいほうならまだいいんだけど」


レッド
「そしたらじゃあうちにある大きいテーブル持ってくる」
「それ、形見でもらいたいんだけど」


ブルー2「大きさどれくらいなの?」


レッド「(小さいテーブルを指し)これより大きい…これくらいかな」


ブルー2「それじゃ交換?」


レッド
「これね、私思い出があるの、このテーブル」
「おじいさんがそのときに持ってけよって言ってくれたんだけど」
「私の車はもちろん普通の乗用車だったからって…、じゃあ(そのうちにってことで)」
「それでその後、置きっぱなしだったのね」
「で、うちに使わないテーブルが置いてあるんだけど、それを持ってくる」
「そうすると、それと、これよりちょっと一回りぐらい小さいけど」
「それはね折りたたみになるんだ」
「だからこれを今日もらって行こうと思って」
「それと交換で」



私はここで、どうして今日は娘のレッド2と来たか理解した。
レッドの普段乗っている車はワゴンRです。
でもレッド2のマイカーは、3リットルクラスのワゴン車。
レッド2の車には余裕でテーブルが載せられる。
だからレッド2の車で一緒に来たのか。
レッドは『思い出がある』と言っていても、祖母の遺品(貴金属)と同様に質屋とか、そういうところに売り飛ばされるであろう。
形見分け以前に、そういうことは受け入れることはできない。



ブルー2「交換じゃなくて、大きいからちょっととっておきたいんだけど」


レッド
「そんな、うちのだってそんな小さくないよ」
「私は形見としてそれをもらいたい」


ブルー2「じゃ今度持ってくよ。それでまた、そっちのを引き取るから」


レッド
「じゃあそうしてもらえれば助かるけど」
「じゃあ暇があったら来てもらって」
「うん、じゃあそれじゃあ」



レッド叔母は、それ以上テーブルについて何も言わなかった。
娘のレッド2がそばにいるからだろうか。

そしてその後は祖父が趣味でやっていた習字の掛け軸の話になった。



ブルー2「この前、四十九日のときにおじいさんの妹達に言ったら『別に置く場所がないから(いらない)』とは言ってたんだけど」


レッド「じゃあもらっとくわ」


ブルー2「もし妹の誰かがこの一つぐらい欲しいと言われたら(言ったら)、レッド叔母さんから一つ分けてもらる?」


レッド「うん、もちろん」



その後も室内を物色するレッド。



レッド
「でも、ブルー2くん、あれ」
「あのテーブルを持ってきてもらえるのは今年は無理だもんね」
「別に急いでるわけじゃないんだけど」
「もし来れれば、銀行に行くならお金払えるから」
「15日かさぁ、そしたら振り込まないと」
「持ってきてもらう形になるんだけど」
「そうならない?お金を」
「もし来れるようなら電話を」
「だから持ってきてくれたときに払うんでよければ」
「じゃあ一応じゃあ今月いっぱいでお金を」
「じゃあテーブルをお願いします」



レッドはそばにいる私の母に挨拶もなく、そそくさと帰っていきました。


レッドは、遺産分割協議の費用の一部は、そのテーブルがないと払わないと言っているようです。
私はそのテーブルに沢山の傷をつけて持って行こうかとも思った。
足を削ってガタガタするような状態にして持って行ってやろうか、とも思った。
所詮レッド叔母のいう思い出は、お金になるかならないかです。


素直に『お金が欲しい』『お金に困っている』と言えばいいのに。
自分を良く見せようという気持ちがこれだけ問題になっているし、面倒なことになっている。