こんばんは、ヘチマです。
このところ、仕事から逃避するかのように、
楽しいBLを好んで読んでいたのですが、
先ほど猛烈にヘチマ文庫を整理したくなって、
書棚を片づけていたら、ものすごく懐かしいBL漫画に再会しました。
知ってる人いるかな?
10年前に出版された、古きよき耽美時代を彷彿とさせる作品です。
『鎌本健一、十五歳』上・下巻 加藤冬紀 ヒット出版 1998年
「JUNE」で連載していたこの作品。
今見ると、タイトルからして古めかしいな…。
いや、ストーリーも絵柄も古めかしいんですけどね。
時代は明治か昭和か不明。
学生帽をかぶり、マントをはおり、下駄を履き、
ズボンのポケットに手ぬぐいをぶら下げるような
バンカラな気風が息づいていた頃の全寮制男子校が舞台。
名作「摩利と新吾」と雰囲気が似てるから、好きな人にはめっちゃツボやと思う。
子供の頃に南高の学生に淡い思いを抱いた思い出を持つ
鎌本健一ことカマケンは、念願の南高に入学。
そこでその学生と同じ手ぬぐいを持っていた大野先輩に恋をする。
大野先輩もカマケンがいつも自分を見ていることに気づき、気になっていた。
この大野先輩が素敵なんですわ。
昔部活の先輩を傷つけてしまったトラウマからか、
相手の気持ちをとっても気遣うやさしい紳士なのです。
ある日カマケンは大野先輩に呼び出され、
なぜいつもおれを見ているのか、と問われ、
「自分は先輩をひと目見た時から、憧れてしまいました」と告白(?)。
カマケンが上級生に人気があることを知り妙な焦りを感じていた大野先輩は、
照れくさそうに、
「もしよかったら、おれの弟に…ならんか」
このセリフ!弟ですよ、弟!まさに耽美。
今時使いませんで!
ガチムチの「兄貴!」「弟!」じゃなくて、
精神的に兄弟のちぎりを結び、慕いかわいがるという楚々とした奥ゆかしい関係。
まあカマケンは大野先輩のこと好きやから、
いつかは…と思っていたようですが。カマケンはけっこう乙女なんです。
ということで、2人は一緒に登下校したり、一緒にキャンプにいったり。
ゆっくりと季節を経るごとに仲が深まり、
大野先輩もカマケンのことが好きになっていき、ついに結ばれる。
ちょっとしょっぱいけど、味わい深い恋愛物語です。
他にもレゲエ研究会の松永先輩と武田先輩の話、
おねえな応援団団長とカマケンと同室の黒崎の話も
並列して展開。こちらは切なく、しみじみとします。
読後は切ない気持ちとあったかい気持ちが入り混じり、
心地いい感覚に包まれます。
耽美時代の終焉を静かに告げるようなこの作品、
数年ごとに読み返したくなる不思議な魅力を持っています。
落ち着いて読めるBLに出会いたい、心温まる純粋な恋愛が読みたい。
そんな人の飢餓感を満たすサプリメントのような作品です。
男子校の生活や寮での暮らしぶりも、
リアリティたっぷりで楽しめます。