日本の二大勢力だった関東山王会と関西花菱会の巨大抗争後、韓国に渡った元大友組組長・大友(ビートたけし)は、日韓を牛耳るフィクサー張会長(金田時男)の下で市川(大森南朋)ら手下を従え、済州島の歓楽街を裏で仕切っている。
ある日、買った女が気に入らないと日本のヤクザからクレームが入る。クレームの主は花菱会直参幹部・花田(ピエール瀧)だったが、女を殴ったことで逆に大友から脅されて大金を請求される。
花田は側近たちに後始末を任せ、ひとり日本に帰国する。
後始末を任された側近が張会長の若い衆を殺害してしまい、激怒した大友は日本に戻ろうとするが、張会長に制止される。
山王会を実質支配下に収める花菱会の新会長の座には、前会長の娘婿で元証券マンの野村(大杉漣)が就いていた。金さえ稼げれば何でもありという野村のやり方に、古参幹部の若頭・西野(西田敏行)は敵意を燃やしていた。
西野を厄介払いしたい野村は、若頭補佐・中田(塩見三省)に若頭の跡目を取らせようと手を回すが、本心は二人を揉めさせ、いずれまとめて捨ててしまう算段だった。
一方、花田が張会長率いる巨大グループを敵に回したことを知った西野は、花菱会の会長代理として、花田を連れて張会長に詫びを入れに行くことにするが、その裏には大金を稼ぐ花田の金をむしり取ろうという魂胆があった。
野村は自分の地位を守るため、この西野の行動を利用しようとするが、野村の思惑に勘づいた西野も奇策を講じる。
花菱会と張グループの揉め事の裏で、野村と西野の覇権争いが始まり、事態は張会長襲撃にまで発展する。張会長の身に危険が及んだことを知った大友は、張会長への恩義に報いるため、また殺害された若い衆と、過去の抗争で殺された兄弟分・木村の仇を取るため、日本に戻る決意をする……。
北野武監督主演のヤクザ映画「アウトレイジ」シリーズ最終作。














今回は、日韓に巨大な影響力を持つ張グループと日本最大勢力花菱会の抗争、その背後で起こる会長の座をめぐっての花菱会内部の抗争に大友が関わる最終章。
どちらかと言うと、銃撃戦より騙し合い裏切り裏切らせ合いの謀略戦が中心のため、西野や張会長の手のひらの上で踊らされる大友や市川のような昔気質のヤクザの悲哀が目立ち、スカッとしない展開が続く。
ただ大友が西野の誘いに乗ったふりをして花菱会の子分大半を殺戮し、花田を始末するシーンは、お偉いさんの思惑すら利用するしたたかさがあって痛快。
大友と市川が釣りをするシーンは、「ソナチネ」のようなユーモラスな味があって、北野武監督作を見てきたファンへのサービスのような感じ。
花田や中田などを巧みに利用して権力を保持する西野のあこぎな悪辣さは、憎めない魅力があるけど、スッキリしない。
抗争すら利用して権力を保持するシステムの悪辣さの怖さが伝わる最終章。


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