あの日の続き
夫はリビングの座椅子に座っていた。
でもなんか様子がおかしい。
とりあえずフラフラで歩けない。
話し方も顔つきもおかしい。
夫の第一声は「病院行こうと思って!」だった。
でも声が裏返っていてかすれ声。
そして顔はこっちを向いているけど、視線だけが全然違う方を見て話してる。
娘と顔を見合わせる。
私「大丈夫?なんか様子がおかしいよ!」
夫「なにが?」
娘「パパ、お顔も声も変だよ。どうしたの?」
コロナだとばかり思っていた私は、なんかこれは違うかも?と感じ始めた。
とりあえず近くの病院に電話して、一度発熱しているが今は下がっているので診てくれるか聞いてみた。
2件電話して、2件とも断られた。
理由は、この時期なので一度発熱があった人は診れないとの事だった。
もう歩けないし、とにかくすごい様子がおかしい!
急がなきゃ!と救急車を呼んだ。
10分くらいで救急隊が到着した。
やはり、まず熱を計っていた。
34.2℃。
低すぎる!
もう一度…
34.5℃。
救急車を呼んだ時に、事前に発熱があったことを伝えていた為、てっきりコロナだと思って完全防備で到着した救急隊の人たち、熱が低すぎると拍子抜け。
搬送する際、救急隊の人に体を支えられないと立っていられない夫。
靴下を履いているのに「靴下は?」と聞いてくる。
私が「もう履いてるよ!」と言うと、夫は「あ、そうか」と言って自分の足元を見た。
何この感じ。こんなの初めて。
分かりやすく言えば、泥酔しきってもう何が何だか分からないくらいの状態。
もちろんその日はお酒は飲んでない。
やっと救急車の中へ。
娘も私も同乗していた。
一件目の搬送先には、やはり発熱経験ありで断られた。二件目がなかなか見つからない。
15分くらい探していただろうか。
二件目の搬送先は受け入れ可能との事だった。
夫はその時「俺、病院行かなくてもいいような気がする。」と、相変わらず視線が定まらず裏声の様な声で言った。
そんなこんなで搬送先の病院に到着し、すぐに血液検査やCT検査が行われていった。
かれこれ5時間ほど待っただろうか。
18時前に到着したが、時刻は23時を過ぎていた。
医者に呼ばれて話を聞きに行った。
医者「旦那さんは血糖値が下がり過ぎていた為、ブドウ糖を点滴し、話し方や表情は今は戻ってきています。」
私「そうですか。ありがとうございます。」
医者「お話もできますから話をしてきてもいいですよ。」
ベッドに寝ている夫に会う。
私「大丈夫?」
夫「うん、大丈夫。」
私「どうしたんだろうね。今検査結果待ちだけど。」
夫「さっきよりだいぶいいよ。」
みたいな事を話したと思う。
夫は逆流性食道炎で今までに2回救急搬送されたことがあり、2回とも点滴を小一時間しただけで回復して帰ってきている。
この時もたいした事なく、このブドウ糖の点滴が終われば帰れると思っていたので、それよりこんな夜中までご飯も何も食べさせていない娘の方を心配していた。
でもなんか様子がおかしい。
とりあえずフラフラで歩けない。
話し方も顔つきもおかしい。
夫の第一声は「病院行こうと思って!」だった。
でも声が裏返っていてかすれ声。
そして顔はこっちを向いているけど、視線だけが全然違う方を見て話してる。
娘と顔を見合わせる。
私「大丈夫?なんか様子がおかしいよ!」
夫「なにが?」
娘「パパ、お顔も声も変だよ。どうしたの?」
コロナだとばかり思っていた私は、なんかこれは違うかも?と感じ始めた。
とりあえず近くの病院に電話して、一度発熱しているが今は下がっているので診てくれるか聞いてみた。
2件電話して、2件とも断られた。
理由は、この時期なので一度発熱があった人は診れないとの事だった。
もう歩けないし、とにかくすごい様子がおかしい!
急がなきゃ!と救急車を呼んだ。
10分くらいで救急隊が到着した。
やはり、まず熱を計っていた。
34.2℃。
低すぎる!
もう一度…
34.5℃。
救急車を呼んだ時に、事前に発熱があったことを伝えていた為、てっきりコロナだと思って完全防備で到着した救急隊の人たち、熱が低すぎると拍子抜け。
搬送する際、救急隊の人に体を支えられないと立っていられない夫。
靴下を履いているのに「靴下は?」と聞いてくる。
私が「もう履いてるよ!」と言うと、夫は「あ、そうか」と言って自分の足元を見た。
何この感じ。こんなの初めて。
分かりやすく言えば、泥酔しきってもう何が何だか分からないくらいの状態。
もちろんその日はお酒は飲んでない。
やっと救急車の中へ。
娘も私も同乗していた。
一件目の搬送先には、やはり発熱経験ありで断られた。二件目がなかなか見つからない。
15分くらい探していただろうか。
二件目の搬送先は受け入れ可能との事だった。
夫はその時「俺、病院行かなくてもいいような気がする。」と、相変わらず視線が定まらず裏声の様な声で言った。
そんなこんなで搬送先の病院に到着し、すぐに血液検査やCT検査が行われていった。
かれこれ5時間ほど待っただろうか。
18時前に到着したが、時刻は23時を過ぎていた。
医者に呼ばれて話を聞きに行った。
医者「旦那さんは血糖値が下がり過ぎていた為、ブドウ糖を点滴し、話し方や表情は今は戻ってきています。」
私「そうですか。ありがとうございます。」
医者「お話もできますから話をしてきてもいいですよ。」
ベッドに寝ている夫に会う。
私「大丈夫?」
夫「うん、大丈夫。」
私「どうしたんだろうね。今検査結果待ちだけど。」
夫「さっきよりだいぶいいよ。」
みたいな事を話したと思う。
夫は逆流性食道炎で今までに2回救急搬送されたことがあり、2回とも点滴を小一時間しただけで回復して帰ってきている。
この時もたいした事なく、このブドウ糖の点滴が終われば帰れると思っていたので、それよりこんな夜中までご飯も何も食べさせていない娘の方を心配していた。
あの日
あの日、2月26日に全てが変わった。
夫は前日まで、いつもと変わらず出勤していた。
数日前に、夜中に具合が悪かったと翌朝に聞いた。
仕事柄、夫は人と会う事や食事をすることが多かった。コロナが蔓延してからも、週の半分は飲んできていた。
私は、夫から具合が悪くなったと聞いた時、迷いもなく「コロナじゃない!?そんなに飲んでくるから!」と冷たく言った。
あの日、2月26日、夫は具合が悪いから会社を休むと言った。発熱もしたが、もう下がったと言っていた。
私は普通に出勤し、娘は学校へ。
家を出る時、「ちゃんと病院へ行っておいてね!」と言ったら、夫は「分かった。」と言った。
しかし仕事中も気になり、夫に何度かラインをした。
私「体調どう?」
夫「よろしくない。」
私「病院行った?」
夫「行ってない。というより行けなかった。」
夕方になり、仕事を終えて学童まで娘を迎えに行く。
その電車の中で夫にもう一度ラインした。
私「熱、計った?」
夫「とったよー!」
ん!?なんか返事の内容噛み合ってない…
何?とったって。
なんか嫌な胸騒ぎがして、急いで娘を迎えに行き、自宅に帰った。
頭が回らない…
役所の手続きや、四十九日の準備や、保険金の手続き等やらなきゃならない事を毎日こなしている。
ただ、ひたすら何も考えられずにこなしている。
やらなきゃならないから、ただやっている。
現実から逃げている私は、夫がいなくなったことを毎日思い知らされる。
戸籍から夫が抜けたり、世帯主を私にしたり、振込先が夫になっている子供手当を私宛にしたり。
毎日、夫の存在を消していく作業…
つらい…
どんどん消されていく…
この前までそばにいたのに。
現実でもいなくなって、書類上でもいなくなる…
役所での手続き中に、いつものくせで配偶者有りに丸をつけてしまった。
あ…ふとペンを止めた…
役所の人も申し訳なさそうに、「あ…すみません、配偶者の欄は無しになります。」と言った。
そうだよね…
配偶者無しだよね…
もういないんだもんね…
思わぬところで急に悲しくなって、帰り道で涙が出てしまった…
家に帰ってから思いきり泣こう、さすがに外で泣くのは恥ずかしいと思いながらも涙は止まらなかった…
なんでいないんだろう…
夢だったらいいのに…
長い夢だったなぁって目覚めて、夫がいつもの様にいて、「ママは、ネボスケだからなぁ」って言って欲しいな…