日経電子版に『"個"客時代の幕開け 小売業は「私だけの店」へ』という記事が掲載されており、その中に、良品計画が山形県酒田市で軽トラックを利用した移動販売を2020年6月から始めた事例が取り上げられていました。
高齢化で車を運転できない人も増えてくること等を念頭に、車がなくても気軽に買い物ができるようにしたサービスを展開しているとのことです。記事では『顧客に会いに行く店』として紹介され、現地社員が立ち上げた事業として紹介されています。
KOIPは、昨年「技術を用いたストーリーを構築することが融資や出資を受けるためのポイントかもしれない」(2020年4月26日の記事)において以下の内容を記載しました。
『自動車を自動車単体として捉えるか、社会の中における存在として捉えるかで解決策は大きく異なってきます。それにより、社会に与える価値も(望ましいか否かにかかわらず)変わってくると思います。』
『例えば、自動車を社会の中における一つの存在である、と考えれば、公共交通機関の充実やカーシェアリングという発想、更にはいかに自動車を使わないで済むかという発想も出てきます(例えば、生協のように自分から買い物に行かずに届けてもらう仕組み等)。』
『移動手段としては公共交通機関やカーシェアリングの利用はどうか。ステータスシンボルが欲しい人にはそれ用のハイブリッド車はどうか。あるいは、人が自動車を使って所定の場所に移動しているが(そして、その場所で商品を購入したり、サービスの提供を受けているが)、場所が人のところに来るのはどうか(これは、高齢者向けの食料品・日用品販売や弁当宅配等に見られます。)等と様々なアイデアを創出することができ(以下略)』
上記に記載したように、実際に生活している人々に焦点を合わせ、社会にどういった価値を提供するのかを考えることで、自動車を単なる移動手段とは異なるモノ・コトとして捉える発想が生じてきます。
良品計画の事業も、実際に生活している人々に焦点を合わせ(あるいは、実際に生活している人々の立場に立って)、生まれてきたのだろうと思います。
◆ドラッカーのイノベーション
そこで思い出すのがドラッカーです。
ドラッカーは著書「マネジメント」の中でイノベーションの意味について『第一に、イノベーションを行う組織は、イノベーションの意味を知っている。イノベーションとは、科学や技術そのものではなく価値である。組織の中ではなく組織の外にもたらす変化である。イノベーションの尺度は、外の世界への影響の大きさである。』とし、『企業におけるイノベーションは、常に市場に焦点を合わせなければならない。』と指摘しています(P.F.ドラッカー「マネジメント」下、ダイヤモンド社(2010)p.272より引用)。
上記の良品計画の事例もそうですが、結局、市場、つまり顧客に焦点を合わせて考えるという点は、本質的な考え方だと思います。
「ドラッカー」について何か述べると、もう古い!とか、当然分かっている!と考える方もいると思います。
しかし、良品計画が上記事業を開始したのが2020年6月からということからの勝手な推測ですが、思っていることと実際に行動することとの間には壁があり、日本企業(特に大企業)においては、その壁が極めて厚く・高いところが多いような気がします。
一方、中小企業の中には、そういった壁をいとも容易に壊し、即、実行するような企業が多く存在しています。
フットワークの違いに基づくのでしょうか?
それはともかく、毎年、様々なビジネス書が出版されますが、様々な大変な状況が次々と起こる昨今、ドラッカーを再度読み返すことで本質的な考え方についていま一度思考を巡らすと、重要なヒントが得られるかもしれませんね。
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