新型コロナウイルスの影響で「密閉空間、密集場所、密接場面」を避けるため、多人数が集まるようなイベント等の自粛が求められています。とはいえ、例えば冠婚葬祭やどうしてもしなければならない仕事については避けられない場合もあるでしょうショボーン

 そんな中、『スタートアップのWeddingLive(ウェディングライブ、東京・港)は結婚式をライブ配信するアプリの提供を始めた』というニュースがありました(→記事はこちら)。

 結婚式の様子がライブ配信され、スマホ等から見ることができ、かつ、ライブ配信を見ながらご祝儀も送れるサービスとのこと(WeddingLibeのHPはコチラびっくり。また、先日は慶応大学も卒業式の式典の一部をウェブから動画配信していました(→慶応大学のお知らせはこちら)。


(Photo by BLM BLMさんが2017年9月に表参道で偶然見かけた結婚式


 リモートワークもそうですが、多人数が集まることができなくてもウェブを活用すればある程度、用は足りることがありますキョロキョロ

 もちろん、「みんなで直接参加したかった!」という点では残念ですが、例えば、親戚が遠方に住んでいる場合や遠方でなくても病気等で参加できない場合等、新型コロナウイルスの影響がなくてもウェブを活用した技術は役に立つ場合があると思います。

◆これから何が起こるか?
 上記スタートアップのサービスもそうですが、リモートワークが多くの企業で実践されると、その場に実際に行かなくても十分対応できるものと、やはり実際に行かなければ話にならないものとがはっきりしてくると思います。

 つまり、これまでは「実際に人と会わなければ仕事なんて進まない」「実際にその場に行かなければだめに決まっている」という先入観を持っていたものの、実際にリモートワークを体験してみると「リモートでも十分に仕事ができる!」とか「リモートの方が実ははかどった」というような場合も出てくると思います。

 例えば、実際にリモートワークを実行したある企業さんは、自社の外部の業者ともテレビ会議やチャット用コミュニケーションツール等を使って連絡を取り合うことを可能にしたところ、これまで以上に話す機会が増え、かえって密なコミュニケーションをとるようになった、とお話しされていましたニコニコ

 このように、特に「仕事」の点から考えると、「働き方が変わる」職業や職種が今後は出て来そうです。

◆「産業構造の変化」がやってくる?
 「予期せぬことを、どう活用すればよいか?」でドラッカーのイノベーションの7つの機会を取り上げました。

 そのうちの一つが『産業構造の変化』です。

 ドラッカーは「イノベーションと企業家精神」(P.F.ドラッカー著、ダイヤモンド社(2009))において、『仕事の仕方が急速に変わるときにも産業構造の変化が起こる』と指摘し、かつ、『産業構造の変化が起こっているとき、リーダー的な生産者や供給者は』、『急速に陳腐化し、機能しなくなりつつある仕事の仕方にしがみつく。だが、それまで通用していた市場へのアプローチや組織や見方が正しいものであり続けることはほとんどない。』と指摘しています(『』内は引用)。

 「働き方改革」が表面上は進められてきましたが、新型コロナウイルス問題が発生するまでは、どちらかというと真の意味での改革ではなかったように思いますショボーン

 新型コロナウイルスという危機が来て初めて(おしりに火が付いたように)、やっぱりこれまでのやり方は大きな付加価値を生まないよね、ということに気が付くかもしれません。とすると、新型コロナウイルスの襲来により、「産業構造の変化」が起こるか、加速する可能性があります。

 新型コロナウイルスは早く収まってほしいと思いますが、収まった後にスタートダッシュできるよう、いまから「産業構造の変化」に向けていろいろと仕込みをしているスタートアップやベンチャー、中小企業は多いのではないでしょうか(上記のWeddingLiveさんはその一例でしょう。)。

◆知財実務者は何ができるか?
 「産業構造の変化」が起こる場合、これまでのやり方を変えるわけなので、新たなやり方や商品・サービスのアイデア自体を創出する必要が出てくる場合があります。

 例えば、WeddingLiveさんの新たなサービスについて考えてみると、結婚式のイベント等のライブ配信自体は何ら新しいアイデアではないと思います。
 
 一例を挙げると、特開2003-030105号には、「コンテンツ配信システム」が開示されており、その公報の段落【0133】には「ライブ配信するコンテンツが例えば結構式の中継であり、新郎新婦の友人であるクライアントユーザが結婚式に出席できないためにコンテンツを視聴しているような場合であれば、当該クライアントユーザがライブ配信の終了後に結婚式のご祝儀としてコンテンツ提供者に寄付することもでき、このようにコンテンツ提供者に対する寄付を種々の形態に利用し得るようになされている。」と記載されています。

 ただし、特開2003-030105号では既に結婚式をライブ配信する技術について開示されていますが、ご祝儀については「ライブ配信の終了後」「寄付する」としています。

 一方、WeddingLiveさんのサービスは、「ご祝儀をライブ配信中に送ることができる」点で「新しいアイデア」といえるかもしれません(他の公報をきちんと調べていないので断言できるわけではありません)。

 WeddingLiveさんのHPには『遠く離れたご家族やご友人と、一生に一度の大切な時間を共有する』と記載されており、おそらく、この点がWeddingLiveさんのサービスのコンセプトなのだろうと推測されます。

 とすると、あくまで推測ですが、双方向通信であったとしても、単に結婚式のライブ配信を見ているだけでは『共有』感が薄いが、とはいえ臨場感を出すためにブーケトスをしようにもブーケのような有体物を扱うのは難しいという状況下(VRを使えば臨場感を出すことは可能ですが)、いかにして『時間を共有』している感を出せばよいか?をウンウン考えて「ご祝儀をライブ配信中に送る」システムに至ったのではないかと思います。

 このように、自分たちのコンセプトを実現するために新たなやり方や商品・サービスを考え、それを実現するアイデアを創り出すに際し、「これまでのものとはここが違う!」という点を見出すことが知財実務者には必要です。

 ただし、アイデア創出の際には、本来実現すべきコンセプトから離れないようにする必要があります。「違い」自体はいくらでも創り出すことができますが、創り出した「違い」によって実現しようとするコンセプトが蔑ろにされてしまっては意味がないからです。

◆まとめ
 知財実務者としては、新たな商品・サービスのアイデアを考える際に、
 ・そのサービスは誰が、どう喜ぶのか?(誰にどんな価値を与えるか?)
 ・そのサービスの既存サービスと異なる点はどこか?
 ・そのサービスをリリースした場合に、他社に真似されてもよいのか悪いのか?
 ・他社に真似されたくないのであれば、どういう対策をとるのか?
等々を考えることが必要になってきます。

 そして、考えて出てきた内容は、きちんと文章や絵にして残しておくことが必要です。それが、将来、特許出願や商標登録出願等をする際の「原料」になるからです。

 

by KOIP

 

 

 

 

 

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