この本の作者の新宮 晋さんは自然のエネルギーで動く彫刻を作る芸術家
として国際的に知られています。彼の作る彫刻は役に立たない水車のように
水がたまった重みで好き勝手に回ったり 飛べない飛行機のように風の中で
はばたいたり 航海にむかない舟のように水をたたいて音楽を演奏します。
雨や風や太陽などの自然の変化に いつも応じつづける物を作ろうとしてい
るのです。これは彼が生まれてはじめて作った絵本です。
(新宮 晋「いちご(Strawberries)より 5ヶ国語で書かれています。)
夕やみの中 すっかりいちごのなくなった畑から まだこんなに
甘い香りが流れてくる。
The strawberries have all gone away,but in the dusk their
sweet fragrance still drifts frorm the field.
つややかなみどりの葉に いちごのいのちがやどっている。
The life of the strawberries is held in the glossy green leaves.
赤いつるが大地にはずむたびに 子供が生まれる。
Each bounce of the red vines gives birth to a child.
子供たちは新しい畑にせいぞろいする。
The children up in the new field.
雪の中で眠る。静かに。静かに。
Tucked under the snow, they sleep peacefully
こごえる夜 数えきれないほどの星を見る。
On freezinng nights they see a multitude of stars.
風が光りをはこんでくる。
The wind brings light.
太陽が金の雨を降らせる。
A golden shower a gift from the sun.
花が咲くと みつばちたちがたずねてくる。
The been come calling when the flowers bloom.
花びらがちると 小さなみどりの星がのこる。
The petals fall, leaving their tiny green stars.
星はやがて 白いいちごに変身する。
The stars turn into white strawberries.
みごとな夕やけを見た。もえるような赤に心がときめいた。
They watch the glow of a brilliant sunset,
enchanted by the red blaze.
いちご畑には色がいっぱい。そして甘い香りもいっぱい。
The strawberry patch bursts with color and sweet fragrance.
風 雨 太陽
Wind Rain Sun
いちごには北極がある。南極がある。
その間には金の鋲が打ってある。
Every strawberry has north and sourth pole,and
golden rivets tacked down in between.
赤い実の真ん中には
太陽のとどかない白いつめたい世界がある。
The sun never touches the cold,white in the center
of the red fruit.
いちごにははてしない風景がある。
A strawberry is boundless landscape.
夕やみの中 すっかりいちごのなくなった畑から まだこんなに
甘い香りが流れてくる。
The strawberries have all gone away,but in the dusk their
sweet fragrance still drifts frorm the field.
いまから十数年、海辺の小さな「絵本屋さん」で見つけた絵本で
す。真っ赤な表紙には大きないちご一粒が描かれています。
小さないちごから見えてくる果てしない宇宙・・・・
あのころ、未来につながる小さな命の誕生など思いもしない
で、、とても大切に持っていました。
いちごを見ると「まんま まんま」と、うれしそうに全身で喜びを表
現する、きょう満一歳になった私の愛する小さな人に今度会った
時読んで(見せて)やりたいと思っています。