すごいものを読んでしまった。
それほど読書量が多いわけではないけれど、読書が習慣づいてくると一冊一冊への感動量は自ずと減少していきます。
自分の人生を変えるような、感動の一冊というものには、そう簡単に出会えないようになっていく。
知識が増えれば増えるほど、読書体験を重ねれば重ねるほど、もうあの時のような、心が震えるような、全身に鳥肌が立つような体験はできなくなっていきます。
僕たちは、そんな悪魔のような取引を、読書体験を通してずっとしてきたのかもしれません。
しかし、今回ばかりは、その悪魔でさえも勝てなかった。
そう断言できる一冊に出会いました。
『あなたへ』響月ケシ-さん
引用します。
この本は、何者でもないあなたの心の奥深く、この世界に肉体を持ってやってくると決めた「あなたそのもの」に向けて書かれています。そしてそれは、この世界に肉体を持ってやってくると決めた「私そのもの」から届けています。
「私そのもの」と「あなたそのもの」は同じ目的を持ってこの世界にやってきています。それは「私を生きる」ということ。つまり、「あなたがあなたを生きる」ということ。
あなたの魂が、私の魂を「使って」ここにこれを書かせて、あなたに読ませています。だから、ここに残されているすべてのメッセージや、あなたがハッと気がついたことはすべて、「あなたの中から湧き出ていること」にほかならないのです。
この本の裏表紙にはこう記されています。
『わたしへ』
「わたし」が「わたし」に向けた、最後の手紙。
それが、この本なのです。
ウエダミツトシです
こんにちは
この本は、かつてケシ-さんがブログに書かれていた「これからシリーズ」を元に、まとめられたものです。
全部で三章から成っており、それぞれ
第一章 これからの生き方
第二章 これからの働き方
第三章 これからの豊かさ
という構成です。
本のサイズは、A5判で一般書と比べると少し大きめ。
ハードカバーで、表紙のデザインがまた素晴らしく、そして何より、重量感が違います。
本というのは、実に不思議なもので、その内容に比例して重みも変わってくるように思います。
僕は、初めてこの本を手にした瞬間、あまりに心地よい重量感に、言葉では言い表せない「何か」が伝わってくるような手応えをすでに感じ取っていました。
そして、その感覚は間違ってはいなかった。
「深み」と「重み」
この本の中に綴られている言葉には、そのすべて、一文字一文字に魂が込められている。
命が宿っているのです。
正直言って、想像以上でした。
心に響くのです。
魂に届くのです。
言葉とは、これほどまでに強力で、人間の魂を揺さぶるものなのかということを、この本を通じて体感させられました。
おそらく僕の中では、ここ十年でもっとも感銘を受けた一冊となることは間違いありません。
本としては、200ページにも満たないです。
時間にして、約1時間もあれば読んでしまえる分量と言ってもいいでしょう。
しかし、話しはそう単純ではありません。
読み進めるほどに、深く、より深く、僕の奥底にまでアクセスしてくるのです。
「わたしそのもの」が、言葉を超えて「わたしそのもの」に語りかけてくる。
そんな感覚になるのです。
僕は、この本を読み進めながら、その時に感じ取った命の言葉を、どうしても残しておきたいという衝動に駆られ、読書ノートをとることにしました。
僕は、「読演会」という本の内容を解説する読書会を定期的に開催しています。
その活動の中で、解説する本の内容を、詳細に読書ノートにまとめていくということをしています。
しかしそれは、あくまで「解説するため」という目的があってのことです。
「ただ書き残したい」という衝動に駆られて読書ノートをとったことは一度もありません。
普段は、付箋を貼る、本のページを折る(ドッグイヤー)、直接書き込む等をしながら本を読みます。
あとで読み返した時に、自分が何にひっかかりを感じたのかを思い出すためです。
この本も、当初はそのようにして読み進めていくつもりでした。
でも、できませんでした。
忘れたくなかったのです。
失くしたくなかったのです。
一度目でしか感じられない心の震えを。
初めて本を読んだ時の感動は、たった一度きりです。
二度目以降となると、また別の、より深みのある気づきを得ることはできるでしょう。
しかし、一度目は一度しかありません。
その時に感じ取った心の震えは、もう二度と感じることはできないのです。
そのため、僕は読書ノートに残そうと思いました。
形あるものとして残せない心の震えを、どうにかして記しておきたいと思ったのです。
それに何より、この本自体に何も手を加えたくないという思いもありました。
凛とした佇まい。
美しい。
とても綺麗。
本が美しいと思ったのも、もしかしたらこれが初めてかもしれません。
その美しさを、できるだけそのままの状態で残しておきたいと思いました。
そのような思いがあって書きはじめて読書ノートは、見開き10ページにも及びました。
まる二日かけて、読書ノートを取りながら、じっくりと読みました。
時に、熟考しながら
時に、この世界の不思議に驚きながら
時に、理由のない妙な納得感を味わいながら
そして、深い感動を伴って。
僕はこの本を読み終えた時、思わず天井を見上げて、自然に溢れ出るあたたかい涙を流れるままにしておきました。
そして、自らの手に、力が漲ってくるのを静かに感じていました。
まるで高級レストランのフルコースでも味わっているかのような、深く、贅沢に時間をかけた、そんな読書体験でした。
おそらく、とても陳腐な表現になってしまいますが、この本は「自分に安心できる」を体感させてくれる本だと思います。
そして、「自分を生きる」ことに覚悟を迫る本でもあります。
「わたしは何も欠けていない」
「自分ですべてを生み出せる」
だからこそ、自分以外の外側にある「何か」に依存して、求めて、条件をつけるということを放棄するように迫る本です。
何のために、そして、どのような意図を持って、今ここに「自分」として存在しているのか。
この本を読む人は、おそらく読み終える頃に、言葉を超えた深い理解と「そうでしかない」という納得感を手にすることができるでしょう。
わたしはわたしでよかったのです。
あなたはあなたでよかったのです。
改善する必要はなかったのです。
自分には何も生み出せないというドラマから、ただ降りればいいのです。
何者でもないわたしでよかったのです。
そして、しっかりと目を見開いて、もう「恐怖ポルノ」に踊らないと決めるのです。
この世界には、ただのひとつも偶然はなく、すべてが最善で動いています。
たとえ、今どんな状況であったとしても。
そうは思えなくても。
「わたし」が「わたし」に向けた最後の手紙。
どうやら、初版分は完売となったようです。
自費出版からか、価格は少々お高めですが、それに余りある、とても示唆に富んだ、自信をもってオススメできる一冊です。
ご興味のある方はぜひ。
次回の販売分は、ケシ-さんのサイトをチェックしてみてください。
縁あって、この本に出会えたことに、僕はとても感謝しています。
これからも大切に、何度も読み返したいと思います。
ありがとうございました。
《終わり》