2020年6月、何となくFK8型シビックタイプR(前期型)に試乗したくなったので試乗に行きました。
フロント

リア

外観のデザインは、ランエボみたいなガンダム顔です。とてもワイド(全幅が何と1875mm)で、色んな意味でシビックとは思えない位デカくて厳ついデザインです。

運転席周りです。ブラックにレッドのアクセントを加えたデザインです。個人的に450万の車にしては安っぽいかな?と思いますが、この車の真価はその辺では無いと思います。

フロントシートです。赤色デザインが凄く印象的です。ホールド性とシートポジションが非常に良く、正直、社外品が不要な位優秀なシートだと思います。

リアシートは5ドアハッチバック車なため非常に広く、後席に人を乗せるのは全く問題ありません。ただ、フロントシートがハイバックですので、前面への視界は少し良くないような気がします。

ステアリングです。肌触りのよいスムースレザーで赤の配色が特徴的です。特に違和感は感じなかったですが、スムースレザー故にグリップ部分が少しツルツルして滑る事がありました。

メーターです。液晶式でモードによってデザインが色々と変わります。時代の関係上仕方のない事ですが、タコメーターが8000rpmスケールでレッドゾーンが7000rpmまでしかなく、個人的に、HONDAのTYPE-R車にしては寂しい気がします。また、液晶式のためか、晴れ間、特に逆光時はメーターが見えにくいように感じました。

シフト周りです。TYPE-Rらしく金属製のシフトノブが特徴です。非常にショートストロークで節度感が高いです。ただ、金属製のシフトノブ故に夏場は火傷しそうな位に熱くなります。
また、このFK8型シビックタイプRの大きな特徴として、シフトダウンをした時に、自動で回転を合わせてくれる、レブマッチシステムが搭載されています。
この試乗で試してみた感じでは、3→2速へのシフトダウン時では、上手くシステムが効き、ショック等もほとんど起きなかったですが、ギア比が離れている2→1速へのシフトダウン時は、回転を全く合わさずに行ったら普通にショックが発生しました。ですので、シフトダウンを行う際はある程度回転を合わせた方が良いと私は思います。

サスペンションのモードセレクターです。FK8にはザックス製の電制サスが採用されていて、COMFOT,SPORT,+Rの計3種類が備わっています。
COMFOTは、街乗り向けで、スポーツカーとは思えない位とても乗り心地が良いです。
SPORTは、峠等のワイディングに適したモードで、今回の試乗ではあまり使用しなかったのではっきりとした事は言えないですが、COMFORTと比べてアクセルレスポンスが良くなった気がします。乗り心地もCOMFORTより気持ち引き締まった感じがしました。
+Rは、サーキット走行等に適した最もスポーティーなモードで、これまでのモードと比べてアクセルレスポンスがとても鋭く、脚も前者2つに比べてかなり引き締まった感じがします。ただ、このモードでも乗り心地は非常に良く、街乗り等も全然余裕でこなせます。
3つのモードですが、どのモードも非常に乗り心地が良く、個人的には+Rモードが非常にオススメです。ただ+Rモードだと燃費が悪化しそうですね(笑)

サイドブレーキです。電子式となっています。個人的には油圧式の方が好きですが、これのおかげで、後述のブレーキホールドが使用できます。

ブレーキホールドです。このボタンを押すと自動的にブレーキがかかります。最初はいらない機能かな?と思っていましたが、いざ使用してみると、信号待ちが非常に楽でした。正直侮っていました(笑)

ペダル周りです。アルミ製となっていて、アクセルレスポンスは良い方だと思います。個人的に特筆すべき所はクラッチペダルで、非常に軽くて操作しやすいかつ、ミートポイントが奥で半クラの領域も広いので、非常に扱い易く、街中の渋滞でも苦になりませんでした。

エンジンはHONDAのスポーツカーの中では異例とも言える、ターボ式のK20C型エンジンです。このエンジンの最大の特徴は、恐ろしい位に低速トルクが太いです。夏場でエアコンをガンガンかけた状態でも1000rpm台でガンガン走れます。いい意味でターボエンジンとは全く思えず、自然吸気の大排気量エンジンのようなトルクフルさを感じました。
正直、前述のクラッチの特性も相まって、エンストする姿が全く想像が付かないです。街中の渋滞でも全く苦になりませんでした。
ただ、FF故のフロントタイヤのロス?と電子制御によるためか、320PSですが、308PSのフルタイム4WD車のWRX STIと比べて、加速はある程度劣るように感じました。この辺は駆動方式の差が大きいのかなと思います。
フロントタイヤ

リアタイヤ

フロント&リアのタイヤ周りです。20インチ30扁平というスーパーカー顔負けの装備です。見た目は非常に格好良いですが、恐ろしいタイヤ代になりそうですね((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
ブレーキはフロントがブレンボの対抗4pot,リアが電子式の片押し1potキャリパーで、ローターがフロントがドリルド、リアがプレーンタイプとなっていて(後期型はFドリルドから2ピースへ変更)、大きさもかなりの差があります。このブレーキ構成のためか、通常では全く違和感は無いですが、激しくブレーキを踏むとフロントばかりが効きすぎるような感じがしました。
以上がFK8型シビックタイプR前期モデルに試乗した感想です。正直、いい意味でTYPE-Rのイメージを裏切る、非常に洗練された現代のスポーツカーです。最初は、TYPE-Rの癖にNAエンジンじゃない、450万円は高過ぎるというイメージを持っていましたが、試乗をしてみればこれぞ現代のスポーツカー!と思える非常に良い車でした。街中も運転しやすく、積載量も多いので、家族連れの方にもオススメです。数少ない欠点を挙げるなら、全幅が1875mmもあるので駐車等は中々制約が生じるかもしれませんね。
ただ、悲しい事に生産地のイギリス工場閉鎖の関係で、後期型がほとんど販売されず?に終了してしまいました、ただ、次期モデルの開発をされてはいるみたいですので、次期モデル登場に期待ですね。