国鉄改革雑感 昭和は遠くなりにけり。第44章 国鉄本社の見解 (南谷昌二郎労働課長見解) | 鉄道ジャーナリスト加藤好啓(blackcat)blog

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福祉と公共交通の視点から、鉄道のあり方を熱く語る?
blackcat こと加藤好啓です。
現在の公共交通の問題点などを過去の歴史などと比較しながら提言していきます。
随時更新予定です。

皆様、しばらく更新出来ずに延び延びになってしまいましたが、改めて更新させていただこうと思います。
今回も動労の見解ということでアップさせていただきます。

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動労が取った方策は、国鉄当局からはどう見えたのでしょうか、、後のJR西日本会長、南谷正二郎氏の見解を公企労レポートからアップさせていただきたいと思いますが、当局としては総評から脱退したことは当然の流れであろうという評価をしております。
当局は、組合の運動に対して何も言える立場ではありませんから、積極的に動労が総評との距離を置くと言うことに対して一定の評価をしているようです。

ただ、国鉄改革はNTTの民営化と異なり、分割民営化に関しては反対派の勢いが強く、当初は国鉄本社の中でも守旧派はでもいいますか分割民営化は反対派が主流を握っていたと言う事実があります、何とか分割だけは阻止したいと言う思惑は有ったかと思われます。
そこで、ここからは想像の世界であることをお断りしておきますが、国労幹部と国鉄本社幹部の間で「国鉄民営化は止む無しだが分割は阻止したい」といった密約的な動きがあったのではないかと想像しています。

結果的には、こうした動きも6月に電撃的に仁杉総裁が更迭され杉浦喬也氏が国鉄第10代総裁として就任してからは、守旧派の幹部は追いやられ改革派が中心となり分割民営化実現に向けて動き出すことになったという当時の流れなどは私ももう一度きちんと時系列を踏まえながら書いていこうと思っています。

さて、今回のインタビューで南谷昌二郎氏は、今回の動労による総評脱退劇は当然の結果でありむしろ国鉄改革に向けて動きやすくなったのではないかと言う一定の評価しています。

早速、公企労レポートから引用したいと思います。
当時の役職は国鉄本社の労働課長【昭和60年9月から現職】でした。

【動労の総評脱退は、国鉄の今後の労使関係にどういう影響をもたらすでしょうか。また、この実情をどう理解しておられるでしょうか】

動労が最近とっている行動様式からすれば、むしろ総評内にいうことが動労にとってこう動きたい、こうあるべきだということに対してブレーキになっていたのではないかなという感じがしていました。しかし、動労としても自ら飛び出すというようなことは極力避けたかっただろうし、かといって現実的な動きをしようとすれば、総評にいればやりにくい、行動の自由を確保できないということがありその意味では今回の行動は結果として、こんご動労が意思決定するうえでプラスになると思います。

私どもにとっても現在の動労の考え方は、国鉄改革を進めていく、新しい労使関係を作っていくことに足場をおき、労組の基本である雇用を確保していくということで、これは私どもと歩調が合っているわけで、総評からの脱退が行動の自由を確保できるという意味において好結果だと思います。何故動労が総評にいることによって拘束を受けるかといえば、国労の行き方と動労の行き方が違うわけで、それが同じ総評内におり、国鉄闘争対策本部という形で調整したわけですが、総評も動労の行動に対して同情を寄せ理解を示しながらも、そしきこくろうのこうどうに対して注文をつけながらも数の上で国労が大きいということから、国労のほうにひっぱられいうか、ると、そちらに足並みをそろえさせる努力が行われてきました。本来ならば総評が指導力を発揮するためには、動労の動き出したすれば、国労を動労の方向へ引っぱるべきです。しかし、それが出来ず逆の動きをしたことから、こういう結果になったのだろうと思います。総評大会での議論の場というのは、動労が包囲された格好で、動労悪者論の中でとび出さざるを得なくなった状況作りがされたとどもは見ています。
総評の昨年来の動きからみますと、何か解しがたい動きだと思います。役員構成の問題も、聞くところではいろいろあったようですが、それもさることながらそれ以前に動労に対する厳しい非難があったことは理解しがたいことです。動労は労組として本当に真面目にやってきたと思いますよ。少なくとも国労よりはるかに真面目ですよ。それが総評大会の論議はまるでアベコベですから私達にとって総評というところは全く不可解としかいいようがありませんね。

【動労は今回の脱退で足かせが取れ基本路線を従来以上に積極的に展開するとおもいますが、これから、よりスピーディに対応できることになりますね】

そのとおりと思います。逆に総評としては、結果として今後、国労と一体で進めざるを得なくなったわけですから、それがどういう形で出てくるか、推移を見守りたいと思います。

というわけで、国鉄当局とすれば総評を脱退した動労に対し大変高い評価を与えています。
そして、総評という組織に関してはこの時点では国労の動きを支えざるを得ない状態となったわけで、ある意味、国鉄改革という荒波に国労という総評という泥舟から降りられなかったのが国労なのかもしれません。

そして、泥舟から素早く逃げることが出来たのが動労だったのかもしれません。

これを現在の政治状況に置き換えてみると・・・そうならないように皆様の賢明な判断を仰ぎたいと思います。