なんて悲しい日だったんでしょう、Jeff Beckが亡くなるなんて。ブラックバードが大好きなギタリストの一人。両親が健在の時、子供って、親が自分を置いて死ぬなんて思わないじゃないですか。Jeff Beckはまさしくそういう存在。だからブラックバードのショックは計り知れない。ジミが亡くなった日と同じくらいの衝撃と悲しみ。
日本では、三大ロック・ギタリストのひとりとされているけれど、ロックに限る必要はないんじゃないかな。あくなきチャレンジ精神、ここまで自分を進化させて行ける人間はそうそういない。テクニックと言う簡単な言葉では表現しきれない、まさしく巨匠の技とも言えるそのプレイ、息をするのも忘れるほど見入ってしまう。彼のようなギタリストは他には探せない、本当に唯一無二。
ジミ・ヘンドリクスと並ぶほど大好きなギタリストなのに、ブラックバードが彼の生演奏を聴くことができたのは、たったの一度だけ。ニュージャージーはスターライト・ボールルームでのこと。Mrs.、今でも覚えている。すごく興奮したブラックバードから電話があったの。
BB : “今日、Jeff Beckのコンサートに行くんだ!!!!”
前日のパフォーマーはPファンク、彼らはそのままニュージャージーでオフ。それを聞きつけたスターライト・ボールルームが、招待してくれたそうなんですが、それが大好きなJeff Beckだったと言う偶然。自分自身もツアーをしていると、なかなか好きなアーティストのコンサートっていけないんですよね。後にも先にもたった1度となってしまった彼のコンサート、紛れもなく、ブラックバードにとって、生涯忘れられないショーのひとつとなりました。
ブラックバードのDiabloもフィーチャーしていただいた、Lisa S. Johnson氏の写真集“Immortal
Axes”。
確か、Jeff Beckのギターも紹介されていたと思ってページをめくってみると、ええ、ありました。
Immortal Axes
Lisa S. Johnson
1954 Fender Esquire
Access courtesy Seymour Duncan and the collection of the Rock & Roll Hall of Fame
1961 Fender Stratocaster
Access courtesy Bill Butler and the collection of the Rock & Roll Hall of Fame
ボロボロの(なんて失礼な...)Esquireは、John Walker氏から購入したもの。三大ギタリスト全員を輩出した脅威のロックバンドThe Yirdbirds時代に、Johnが分厚いボディをストラトキャスターを真似て薄く削り、その感触をJeff Beckはとても気に入ったと書かれています。ブラックバードも以前のブログでご紹介しましたが、親友のテレキャスターを勝手に削って改造したことがあります。これって、ギタリストに共通する癖なんですかね。
ストラトキャスターの方、ボディーの裏に、”Good Luck(You’ll need it)”と手書きされています。世界国宝のJeff Beckも、こんな験担ぎのようなことをしていたんですね、なんか可愛いです。
今日は絶対に外に持ち出さないFender Stratocaster を取り出すブラックバード。
Jeff Beckモデルです。
太っ腹Fender社からいただいたものなのですが、ツアーに持ち出すと、どうしてもあちこち痛んでガタが出てしまうので、家で宝物のようにしまっています。
誰もJeff Beckにはなれない。でも、彼のギターは確実に、彼を愛して止まないギタリストたちの中に溶け込み、鼓舞し、背中を押し続けてくれる。やりたいことをやればいい、自分の心の赴くままに、そうすれば、Jeff Beckにはなれなくても、ギターをやっていて良かったと思うことができる。自分も、そして聴く人たちもハッピーになれる。
巨匠Jeff Beckがくれたたくさんの勇気とインスピレーションを胸に弾き続ける。悲しいけれども、また、違う何かがスタートした日。本当に、どこまで偉大なんだ、Jeff Beckって。