Pファンク元ネタ特集 - Chocolate City | Blackbyrd McKnight プログレッシブ・ファンク・ロック・ブログ

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伝説のギタリスト、ブラックバード・マックナイト。その一環した職人気質な音作りとは裏腹にお茶目なブラックバードの一面を、日本生まれの日本育ち、ミセス・マックナイトがご紹介します。

今日、元ネタの話をさせていただくきっかけとなったのは、先日、80歳で亡くなったアメリカ公民権運動のレジェンド、ジョン・ルイス下院議員。
 
今日、ルイス下院議員の棺がワシントンDCにある議事堂に帰ってきました。彼の姿を最後に見たのは、 黄色の力強い字体で”Black Lives Matter”とペイントされた、ホワイトハウスへと続く2ブロックのストリート、新たな名称もBlack Lives Matter Plazaを、ワシントンDCのバウザー市長と共に訪れた時だと思う。

 

Photo from Twitter/MayorBowser

 

この写真の意味するところは大きい。DCの市長は黒人かつ、女性。ルイス下院議員の戦いが、時代をここまで変えた。この時、痩せられてはいたけれど、ご自身の足で、しっかりと、時代の変化を象徴するこの偉大な通りに立つお姿は、私達に感動を与えてくれたところだったのに、とても悲しいです。

 

 

ジョン・ルイス下院議員、日本ではあまり知られた名前では無いかもしれないけれど、ワシントン大行進を締めくくる、キング牧師の有名なスピーチ、”I have a dream"ならば、皆さん、よくご存知でしょう。ルイス下院議員はキング牧師と共に平和的人権運動を率いた”Big Six"のお一人、最後の生存者でした。アラバマ州セルマで黒人の選挙権を求めるマーチ中に起きた血の日曜日事件、映画にもなったのでご存知の方も多いかと思いますが、警官隊による殴打で重傷を負うも一命をとりとめ、その後は政界に進出、最後まで戦い続けたアメリカン・ヒーロー、それがジョン・ルイス。

 

ワシントンDC、別名チョコレート・シティ。

 

 
You don't need the bullet when you got the ballot
(銃弾なんていらないのさ。投票さえできればな。)
 
Chocolate City/Parliament
<日本語訳>:Mrs. McKnight
 
この歌詞の元ネタとなるのは、人権活動家マルコムXの演説のタイトル、”The Ballot or the Bullet(投票させろ、さもなければ銃をぶっ放すぞ)”。
 
マルコムX、スパイク・リー監督が映画化されたのでご存知の方も多いでしょう。黒人の権利のために戦ったという点ではキング牧師やジョン・ルイス下院議員と同じなのですが、マルコムXは暴力も辞さないという姿勢に違いがありました。
 
It's time now for you and me to become more politically mature and realize what the ballot is for; what we're supposed to get when we cast a ballot; and that if we don't cast a ballot, it's going to end up in a situation where we're going to have to cast a bullet. It's either a ballot or a bullet.
 
(あなた達も私も、政治的にもっと成長し、投票が何のためのものなのか、私達が投票したら何を得られるのか、そしてもしも私達が投票しなかったら、銃弾が打ち込まれる事態になってしまうだろうという事を理解すべき時なのだ。投票か、銃弾か、そのどちらかしかないのだ。)
 
By Malcolm X
<日本語訳>:Mrs. McKnight
 
先人達が命をかけて手にしてくれた選挙権。今では当たり前の事のように思われているかもしれませんが、そこは深い闇を抱えるこの国、投票したくてもできない現状があります。特定の地域の投票所を閉鎖したり、身分証明書のルールを変更したり、州によっては郵便投票ができなかったり。車もない貧困地区の住民がどうやって車で2時間もかかる投票所に行けるのか。番地のある住所が記載された身分証明が無いと投票できないというルールは、独自の住所表記を用いるアメリカ原住民やホームレスなど、特定のグループをターゲットとしているのは明らか。しかも投票が機械化されて行く中、システムトラブルのせいで何時間も待たされ、結局、投票できない人が沢山出てくる。

 

今日、ジョン・ルイス下院議員を乗せた車が、彼所縁の場所を回るのをテレビで見た。ワシントンDCは緑濃く、歴史を物語る建物が最高のコンディションで保存され、息を呑むほど美しかった。でも本当のチョコレートシティは違う。パンデミック以前から、高い貧困率に喘ぎ、犯罪も後を絶たない。そしてそれは、アメリカの一部の都市だけの話では無い。ルイス下院議員亡き後も、まだまだ戦いは続く。私達は忘れない。今、自分がこの足で立っていることができるのは、全て、先人達の勇気と強さと多大な犠牲のおかげであることを。そして誰もが歴史の一ページの中で、何かができると言うことを。