ドイル・ブラムホールⅡ 『Shades』 | Music and others

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ドイル・ブラムホール・セカンドDoyle Bramhall II)、1968年12月テキサス州ダラス生れ左利きのギタリスト、通称、 DBII (ディービーツゥ)の5枚目のアルバムになります。
 
Shdes(DB-II)00
 
 
2016年9月にリリースした4枚目のアルバム『Rich Man』に続く『Shades』が2018年10月5日にリリースされました。 もっとセールスを伸ばしても良いのではと思わせる内容に仕上がっています。
   ※)前作『Rich Man』を紹介したブログはこちらになります(↓↑
 
日本では馴染みの薄いアーティストですが、ドイル・ブラムホール セカンド(Doyle Bramhall II )は、エリック・クラプトン(Eric Clapton)のツアー、レコーディングのサポート・メンバーとして2000年位から2010年までの間、重要な役割を果たしてきました。
2014年から15年には、テデスキ・トラックス・バンド(Tedeschi Trucks Band)のメンバーとしてもツアー(“Wheels of SoulTour )を行い、来日をしております。
 
最近でも、シェリル・クロウ(Sheryl Crow)、ボズ・スキャッグス(Boz Scaggs)、ノラ・ジョーンズ(Nora Jones)などのレコーディングやツアーに顔を出しており、重要な役割を果たしています。
 ※)ボズ・スキャッグスの最新作、Out of the Blues』を紹介したブログはこちらになります(↓↑
 
上に挙げたアーティストのレコーディングやツアーのサポートを続けた結果、15年近くの間自身のソロアルバムを制作することが叶わず、「今振り返ると収穫と刺激もあったけれど、少しばかり回り道をしたように感じて来た。」とは、最近アップされたインタヴューでのコメントです。
 
従って、全てを一新する為に所属するマネージメントを変更し、更には契約するレコード・レーベルをも変えて、自身の創作活動と他のアーティストのサポートとの間のバランスを取るようになり、常に自身の楽曲のアイデアを記録しストックしてきたそうである。
 
2016年リリースの『Rich Man』のプロモーション・ツアー(イギリスやドイツ)の合間に、現地のスタジオで本作のレコーディングをスタートさせています。 その後、アメリカに戻りアレンジを磨き、更にはゲスト・ミュージシャンによるオーヴァーダブを加えて完成に至った訳です。
 
全11曲の内、”Consciousness”のみ前作『Rich Man』用のデモ・テイクだったものを再演して完成させたが、残りは全てこのアルバムのために書下ろしたものとなっています。
新しいパートナー、オスカー女優のレネー・キャスリーン・ゼルウィガー(Renée Kathleen Zellweger )を得て充実した生活を取り戻したことがターニングポイントになっていることは明らかですネ。
 
 
□ Track Listing *****
 
1.Love and Pain   (Akie Bermiss / Doyle Bramhall II)
2.Hammer Ring   (Doyle Bramhall II)
3.Everything You Need   (Althea Grace / Doyle Bramhall II / Adam Minkoff / Gabby Sherba)
4.London to Tokyo   (Althea Grace / Doyle Bramhall II / Adam Minkoff)
5.Searching for Love   (Doyle Bramhall II / Norah Jones)
6.Live Forever   (Doyle Bramhall II / Andrew Trube)
7.Break Apart to Mend   (Doyle Bramhall II / Elizabeth Ziman)
8.She'll Come Around   (Doyle Bramhall II / Elizabeth Ziman)
9.The Night   (Althea Grace / Doyle Bramhall II)
10.Parvanah  (Doyle Bramhall II / Adam Minkoff / Elizabeth Ziman)
11.Consciousness   (Althea Grace / Doyle Bramhall II)
12.Going Going Gone   (Bob Dylan)
 
 
 
 
□ Personnel;
Doyle Bramhall II     ass, Composer, Drums, Guitar, Guitar (Acoustic), Guitar (Electric),
Guitar (Resonator), Oud, Piano, Producer, Vocals, Vocals (Background)
Carla Azar     Drums, Percussion, Triangle
Chris Bruce     Guitar, Guitar (Acoustic), Guitar (Electric)
Abe Rounds     Drums, Percussion
Adam Minkoff     Additional Production, Bass, Bass (Electric), Bass (Upright), Bongos, Clavinet, Composer, Farfisa Organ, Guitar (Acoustic), Hammond B3, Harmonium, Horn Arrangements,Mellotron, Moog Bass, Organ, Piano, Resonator, Strings, Vibraphone, Wurlitzer
 
Eric Clapton     Guitar
Norah Jones     Piano, Vocals
Steve Jordan     Drums
Blake Mills     Guitar (Synthesizer)
Charlie Sexton     Piano
Tedeschi Trucks Band ;
Derek Trucks     Guitar, Producer
Susan Tedeschi     Guitar, Vocals
Mike Mattison     Vocals (Background)
Tim Lefebvre     Bass
Kofi Burbridge     Organ, Piano
Kebbi Williams     Saxophone
Mark Rivers     Saxophone, Vocals (Background)
JJ Johnson     Drums
Tyler Greenwell     Drums
Tchad Blake     Mixing, Percussion
 
Abby Ahmad     Choir/Chorus
Akie Bermiss     Piano, Vocals, Wurlitzer
Dan Brantigan     Trumpet
Todd Caldwell     Hammond B3, Organ
Alecia Chakour     Drums, Percussion, Vocals (Background)
Conrad Choucroun     Percussion, Shaker
Anthony Cole     Drums
Jay Collins     Horn Arrangements
Anthony Farrell (Greyhounds)     Keyboard
Andrew Trube(Greyhounds)     Guitar
Elizabeth Ziman     Piano, Vocals
Althea Grace     Choir/Chorus
 
 
冒頭の曲、“Love and Pain”は2017年10月にラスヴェガスで起きた野外ライヴ会場での銃乱射事件に触発されて書き上げた曲です。 DBIIは割とこう言った社会的な題材をモティーフにする事が多い人ですネ。 R&Bフレイヴァーのする曲です。
 
□   " Love and Pain"  by Doyle Bramhall II 

 

 

 
 
 
 
 
続いて粘っこいアップテンポの曲、“Hammer Ring”、あのアイズリー・ブラザーズ( The Isley Brothers)を彷彿とさせる曲です。
 
3曲目の“Everything You Need”は最もイイ曲だと思います。多彩なギターワークが堪能できる曲で、長年に亘りスタジオ、ツアー、楽曲の提供と時間を共にしたエリック・クラプトンが客演しています。 最初は、エリック御大のギター・ソロを全面的にフューチャーする構成を考えていたようです。 アメリカのオハイオ州にあるエリックの自宅を訪ねて、併設されているスタジオでギターソロをレコーディングしました。 
 
 
□   " Everything You Need" feat. Eric Clapton  by Doyle Bramhall II 

 

 

 
 
 
当初は、DBIIのソロと置き換えることが前提でしたが、そのコンセプトを聞いたエリック御大は2人のギターのコンビネーションをハイライトにするように提案しました。そして、スタジオに入りもう何テイクかギター・ソロを取り直します。
 
さて、1曲飛ばして次の曲、”Searching for Love”はノラ・ジョーンズ(Nora Jones)との共作であり、ハーモニー・ヴォーカルでの彼女が客演しています。 前作の同様の 共作曲、”New Faith”に比べるとノラのヴォーカルの特性がより表に出て来ており、より一体感のあるヴォーカル・ハーモニーとなり聴き応えのある曲になっています。 前回の様な、あくまでもゲストと言ったよそゆきの感覚がなくなりました。 終盤に繰り出されるギターソロは流石の出来栄えで、数々のセッション・ワークで磨かれた変幻自在さが光ります。
 
 
□   "Searching for Love" feat. Nora Jones  by Doyle Bramhall II 

 

 

 
 
 
 
続いての曲、”Live Forever”は同じテキサス州オースティン出身のデュオであるグレイハウンズ(Greyhounds)を招いてのストレートなテキサス・ファンクを聴かせてくれます。
 
□   " Live Forever" feat. Greyhounds  by Doyle Bramhall II 

 

 

 
 
 
 
続く2曲は、ツアーバンドのメンバーとの演奏でこなれたサウンドを聴かせてくれます。 スローなバラッドの”Break Apart to Mend”、続いてミディアムなR&Bテイストの”She'll Come Around”とエリザベス・ジーマン(Elizabeth Ziman)との共作曲です。 そのエリザベス・ジーマンについては詳しいことは知りませんが、ニューヨークのブルックリン出身のシンガー・ソングライターでElizabeth & The Catapultとして活動しています。 もう1曲”Parvanah”と合わせて3曲を共作しています。
 
9曲目の”The Night”は、ドイルがデヴュー・アルバムをプロデュースしたシカゴ出身のシンガー・ソングライターであるアルセア・グレイス(Althea Grace)との共作曲ですね。 ツアーのオープニング・アクトを務めており、一緒にツアーを廻る過程で曲の構想を創り上げたのでしょうか、コーラス部分にはドイルにはない音楽性を感じます。 良い意味での刺激を得たのではないでしょうか?
 
次の曲”Parvanah”は前作『Rich Man』にもあったアラビックな感じの曲です。 おそらくは、毎日行なっているメディテーションからの影響なのでしょうが、余り印象に残るようには思えません。
 
最後の曲は、ボブ・ディラン(Bob Dylan)のカヴァー、”Going Going Gone”です。 グレッグ・オールマン(Gregg Allman)の遺作、『Southern Blood』(ブログはこちらです ↓↑)でも取り上げられていた、ダークなトーンに覆われた曲です。 何がきっかけになってこの曲を取り上げたのかは不明ですが、ゲストとしてテデスキ・トラックス・バンド(Tedeschi Trucks Band)が来ていることを考えると、何か関連があるように感じます。 相性抜群のバンドとのコラボレーションは素晴らしくて、もう少し長く聴いていたいと思わせます。 やはり、ドイルとデレク・トラックス(Derek Trucks)とのトゥイン・ギターは唯一無比のコンビネーションで最高です。
 
 
□   " Going Going Gone"  by Doyle Bramhall II 

 


 

 

 

 

 

 
余談ですが、テデスキ・トラックス・バンド(Tedeschi Trucks Band)の来日公演が決定しました、6月です。 またこの目の前でデレクのギターを聴きたいものです!!