日本海に来た低気圧のせいで、頭痛とかだいぶ往生していました。あんまり気圧にやられない人なのですが、今回は参ったなあ。
本の感想が溜まってしまいました。
久々のアガサ・クリスティです。
ノン・シリーズって言うんですかね?ポアロとかミス・マープルとかのお馴染み探偵が出てこないやつ。そのうちの一冊です。
たまたまネットの片隅にて見つけ、「名作だ」との書評を目にして読んでみました。うん、確かに名作、、、という感想ですが、評価が分かれるのではないかなぁとの気もしました。
というのはこれ、
何も起こらない
んです。殺人事件はおろか、何の犯罪も。
起こったことといえば、バグダットに住む娘を訪ねてイギリスから来た女性が、帰り道に悪天候で鉄道がストップしてしまい、砂漠の真ん中の宿泊所で数日間取り残されてしまったこと。
ただし、備蓄食料がたくさんあるし、インド人の従業員もいるし、とりあえず衣食住面での安泰は確保されている。
毎日がおっそろしくヒマだけど。
この孤立した環境の中で、主人公のイギリス人主婦・ジョーンは、考えることしかやる事はありません。
くる日もくる日も自分の人生を顧みるわけですが、その中で、自分が正しいと思ってやってきたことが、実は全然勘違いだったのでは?との疑問が沸々と湧いてくるのです。
自分で自分を追い詰めてる感じですね。
しかしジョーンが考える内容が、夫を持ち、子供を育て上げた主婦で、自分がそこそこ幸せだったと感じる中年女性を震撼させる内容になっているわけです。
きっとこの本は、わたしが若い時に出会って読んでみたとしたら、全然面白くない内容だったろうなあと思うのです。今この時に出会ったから、共感できる内容なんでしょう。
だから人におすすめしても、「なんだこりゃ」という感想になるかもしれません。少なくともわたしは充分楽しめました。っていうか、ヒーってなった
ジョーンは優等生だし知性もあるし、女学院の旧友たちには「模範的な生徒」と言われるような女性です。そのため勝気なところがあり、優しくて気弱な夫・ロドニーに対して、臆せず自分の意見を述べることができます。
優しいロドニーは弁護士として成功し、毎日ほとんど休みもなく忙しく仕事をしている。安定した収入があるので、子供たちも皆、ちゃんとした学校に入れることができた。
本当なら夫にも子供たちにも、すごく感謝されてもいいはずなのに、なぜジョーンは家族の中で子供たちに疎まれ、一人だけ浮いてるのでしょう?
いや、たった今まで、自分が疎まれており浮いているなんて考えたこともなかった。そうすると、アレもコレも、皆自分の独りよがりだった・・・?
このお話、結末はどうなるんだろうとドキドキしながら読み進めました。数日後に汽車が動いて、帰国するジョーン。
あーーーーー、
っと、そうなるのか。
拍子抜けするような、これはこれで怖いような。
この本は今後もたまに思い出して、じんわり噛み締めるような一冊になりそうです。
お散歩中に何気なく撮った一枚。iPhone優秀だな!