いまいち・・・とは言いながら続きが気になって読んでしまった。サーベル警視庁の続編。
刑事ものの明治時代バージョンて感じです。
あらためて思ったのが、このチームのボスである鳥居部長が「太陽にほえろ」の石原裕次郎ポジだな〜(また歳がばれる)
ちなみに鳥居部長は江戸弁をしゃべる、粋でいなせなボス。あの鳥居耀蔵の縁者という噂だが、真相は定かではない。
鳥居部長の部下である若手巡査や角袖(刑事)のメンツは皆、東北出身なので薩長藩閥の政府にはちょっと反抗精神あり。
何よりもまた藤田五郎さんが渋かったですねー!敵も味方も、藤田老人が出てくるとその気迫から
「誰だ・・・まさかあの、元新選組の斎藤一?!」
と、タジタジです。
藤田さんはいっとき勤めた警視庁はすでに退職して、女子高等師範学校の庶務のおじいさんとして余生を送っています。でも次々と帝都で起こる事件は、藤田さんを放っとかないのだ。
さて、今回のお話はというと・・・
時は明治38年夏。
日露戦争勝利の提灯行列に沸く東京。
ロシアとの講和条約締結のため、小村寿太郎外相がポーツマスに出発しました。
それまで戦費のための大増税に苦しみ抜いた民衆は、これでロシアから巨額の賠償金が得られて、やっと生活が楽になると期待しています。新聞社は賠償金の額を「三十億だ、いや五十億だ」と煽り立てる記事を掲載。
それがフタを開けてみたら、戦果は南樺太の割譲のみ、賠償金はゼロ。だって日露戦争は日本が勝ったわけじゃなかったから。
怒りまくった民衆は、桂太郎首相や、その愛妾である「お鯉さん」に憎悪を向けます。鳥居部長に命じられて、岡崎巡査たちはお鯉さんの屋敷を警備に当たりますが、迫り来る民衆と睨み合いになり、一触即発の状態。
すぐ近くでは、日比谷焼打事件が発生。
そちらに気を取られた隙に、お鯉さんの屋敷で殺人事件の遺体が見つかる。・・・
日比谷焼打事件は別の本で読みましたけど、酷いですね・・・いちおう数日で収まりはしましたが、新聞社とか警察署とかが襲撃され東京に火の手が上がりました。警察官が市民に向かって抜刀しちゃったのは痛恨のミスだったようです。
けど、民衆の気持ちを考えると、さもありなん。
この物語の主題はそっちじゃなくて、お鯉さんの屋敷でドサクサに紛れて行われた殺人の調査だったわけだけど、日比谷の事件に比べたら些細なことなんじゃないのか・・・(そういうことを言ってはいけないが)
なので犯罪の推理そのものよりも、前半部分の民衆の暴動が膨れ上がる様子がドキドキものでした。
被害者の身元が判明するにつれ、あらあらまあまあ・・・また政治色の濃い話になってくわけです。桂太郎首相は、長州閥ですね。
そして周りまわって、
山縣有朋、、、
またオマエかよ!!
どんだけラスボスなんだよって思いました。いや流石に桂太郎も山縣有朋も日露戦争は必死で舵取りしたと思うよ?
全体的な感想としては、前巻よりもスケールがでかくて面白かったです。
〜おまけ〜
ブックカフェ風舟さんにて読書です。
今の時期はテラス席が最高に気持ちいいです。
ちなみに今読んでる『江藤新平と明治維新』がめっちゃ面白い!!終わったら感想書きます。
↓ウグイスの鳴き声に癒されます(※音が出ます)