今回の旅の一番の目的は、このシンポジウムでした。
『稀才・江藤新平の真に迫る』
聴いてきました。
終わったあと、すごく胸がいっぱいになってしまって…
ホテルに帰り着いたあと、ボーっとしていました。
彼の功績は調べればいろんなとこに載ってるので数え上げれば偉大さが語れるんですけどね、今回、佐賀藩とか江藤研究の第一人者の皆さまが語る、彼の人となりの部分が胸にズキュンときまして、すっかり心を持っていかれちゃったよ〜
特に心に残ったのが、
「江藤新平は急進的に過ぎて、生き急いで、死に急いだ」
っていう言葉でした。
ああ、なんかわかるなあ、と。
勝海舟とか渋沢栄一からの評価でも、彼の稀有な才能は認めながら、ピリピリして実に危ないとか、自我の強い性急な人とか、口を揃えて危うさを指摘しているわけだけど…
親友の大木喬任や久米邦武は若い頃から一緒にいるので、もちろんそれ以上に彼の性格をよく分かっていて、「お前なぁ」みたいに忠告したり諫めたりしてたらしいんです。
「もうちょっと周りに配慮しろよ」
てなことを久米邦武が言った時に、江藤は笑ったといいます。
笑ったって…どんな…?
フフッていう感じだったのかなあ。
どうも江藤は、自分のせっかちな性格を自覚しており、気をつけてはいるんだけどどうにもできないんだ、自分はこういう風にしか進めないんだと思っていたらしい。それが彼の詠む自戒の和歌にも出ている。
なぜこんなせっかちな性格になったのかという理由も推測されていました。
江藤はものすごく貧しい家に生まれ(父親がダメ藩士だったかららしいが)普通は6〜7歳で弘道館に入るところを、貧しさゆえ遅れに遅れて16歳で入学し、そこから追いつくために猛勉強したのが影響しているのではないかと。
せっかちであり、負けず嫌いであり、自分の考えをためらわずに述べ、自己アピールが激しく、時節を待つということをしない。
話にリアリティがあって、まるで目の前にこの人がいるかのような感覚になってきました。
けれど、あまり功名心に走るという感じはしないですね。それより、次々とやらねばならぬ事が見つかるという正義感や焦燥感の方が勝ってるのではないでしょうか。
そら大久保利通とぶつかるわ。
大久保も、やりたいことがいっぱいあって、あれもこれも自分の傘下におきたいんだろうからな。自我の強い二人の衝突か。
たくさんのエピソードは書簡から紐解いていかれたようで、意を決して、この本買ってみた。
『江藤新平関係書翰』
9350円(フンパツした)
研究者でもないくせに何やってんだわたしは…
でも、さすがね〜
江藤新平に関する1300通の書翰が収録されている。
内訳はこんならしい。
やっぱり親友と言われる大木喬任のお手紙が突出して多い。三条実美も多いんだな。
こういうカキコミとかメモが生々しい。特別展の展示物にもあった。
江藤はメモ魔であり、グワワワワーっと頭の中のものを書き出して整理した様を目の当たりにすると、本当に迫力。
ところで展示物の中には、シルクハットが。
シルクハット🎩?
洋装をお召しになっていたこともあるのか?いつも和装だったというイメージがあるが。
あとこの羽織、東京で暴漢に襲われた時のものらしく、右脇に切り裂かれた跡や血痕あり。ほんと物騒だな明治は!
というわけで、まとめ。
特別展のキャンペーン「江藤新平って実は…」という投稿。
わたしの感想は、
激烈
かつ
純潔
でした。
あまりにもピュアすぎる情熱で、猛スピードで駆け抜けて逝った人…
いい勉強させていただきました。
あと、京都で江藤新平の面倒をみてたという桂小五郎に興味がわいたわ。思想的に長州藩とは合わない気がするんだが、なんでそんな親切にしてたんだ?
このあたりが次の研究(萌え)テーマかな。